女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。

ことばとは、その人自身

普段、ことばづかいに気を配っていますか? ことばは姿形と共に、その人自身を表すもの。

誰かのことを思い出すとき、服や髪型だけでなく、その人のことばづかいや口ぐせ、口調なども一緒に頭に浮かびませんか? そう、口から発せられることばたちはすべて、その人自身と言っても過言ではありません。

「不注意に乱暴なことばやカジュアル過ぎることばを使うと、行為も雑になりかねません。反対にエレガントなことばづかいは、エレガントな振る舞いや行為に繋がります。知的な会話は、知的な生活行為を導きます」(179ページ)

思い当たるふしがある方もいるのでは? ことばは明日の自分をつくります。それなら、できるだけ美しいことばを使いたい。では、美しいことばとは?

気品を感じさせることばつかいを目指したい

教科書となるのが、加藤ゑみ子さん著です。「お嬢さま」とついていますが、ここでの“お嬢さま”とは“気品を感じさせる女性”のこと。お金持ちや高貴な家柄の女性を指すわけではありません。

第一部では「お嬢さまことば速修15条」として、15のことばやことばの用法、第二部では「実践の心得」として、お嬢さまことばを使いこなす上での心構え、第三部では「お嬢さまことば小辞典」として、お嬢さまならではの褒めことばやけなしことばなどが収録されています。

気品のあることばづかいを学び尽くせる本書から、今日からでも実践できる項目をいくつかよりすぐってご紹介します。

「恐れ入ります」を口ぐせに

「恐れ入ります」なんて、ビジネスメールでしか使わないなあ……と我が身を振り返った方は、筆者だけではないはず。お嬢さまことばを習得するにあたり、入門ワードともいえるのが「恐れ入ります」のようです。というのも、これが実に万能なことばだから。

無意識のうちに使いがちな、「どうも」や「すみません」の代わりにもなります。誰かの家におじゃましたとき、座るよう勧められたとき、お茶を出されたとき……いかなるときも「恐れ入ります」で華麗に対応していけるのです。

ただ、ひとつ注意点も。「ぺこぺこ頭を下げながら、『恐れ入ります』とおっしゃらないこと。『恐れ入ります』には、背筋を伸ばしたまま、せいぜい小首を傾げる程度の会釈が似合うかと存じます」(17ページ)

相づちは「さようでございますか」に

人と会話をする中で欠かせない相づち。「はい」「はあ」「ええ」「うん」「へえ」「ほお」など、さまざまな相づちがあります。多くの方がこれらのいずれかを使っているのではないでしょうか。

しかし、本書が勧める基本の相づちは、「さようでございますか」です。同意するときも、反対するときも、常に「さようでございますか」を使おう、というのです。

同意の気持ちをより強調したいときは、「まことに、おっしゃる通りです」、一方で、否定の気持ちをより強調したいときは、「さようでございましょうか」。

ただ、前出の「はい」や「ええ」などは禁止、というわけではないようです。「ご注意いただきたいのは、それらを決して、重ねておつかいにならないことでございます」(62ページ)

重ねて使う場合は、「はい、はい」「ええ、ええ」などとなりますが、決してきれいには聞こえませんし、せっかちな印象を与えてしまう悪い効果も。

相づちという短いことばひとつで品よく見えたり、逆に残念に見えたり……ことばの世界は実に奥深いです。

「お」と「ご」を頭につける

「紅茶」と「お紅茶」。「立派」と「ご立派」。どちらがお嬢さまことばかというと、その答えは明らかですね。名刺や形容詞の頭に、「お」や「ご」をつけるだけで、ぐっとエレガントなことばつかいになるのです。

とはいえ、何もかもに「お」や「ご」をつけるのは変。ふざけているようにも見えます。では、何につけると自然なのでしょうか。

「その事物や物が、敬意を表現したい人に属するものである場合、その方への尊敬語として、つけることができます」(74ページ)

たとえば、「お顔」「おきれい」「お美しい」などは、相手の方を表現する際に使うのが適切。自分で「私のお顔は〜」「私はお美しい〜」などと言うのは間違いだとわかりますよね。

ちなみに、「お紅茶をいただくわ」と言ったときの「お紅茶」は、ことばを上品に美しく表現するために使われる「美化語」。

「ご飯」や「お料理」「お花」など、特別に上品な言い方を意識しているわけではなく、その表現が自然になっていることばが美化語です。

不自然にならない程度に美化語を用いると、ことばづかいに品のよさが漂います。ただ、くれぐれも用法・用量を守って、正しくお使いください。

最初のうちは慣れなくて、すこし気恥ずかしく感じられるかもしれません。でも、ことばは何度も使っているうちに、次第に自分のものになってきます。浸透してくるのです。品格のあることばをマスターしたい方におすすめの一冊でした。