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スーパー耐久参戦! いよいよシーズン

前回、このコラムでドライバーズオーディションについて記載した。

世界へ行くため、今年もステップアップしたい、レースに出たいと思いながらオーディションを受けた。

わたしが今年度、どうしても出たいレース、「スーパー耐久シリーズ」に参戦するためのドライバーオーディションであった。

無事にスーパー耐久参戦が決まったと同時に、サーキット練習、街乗りでのシフト操作、ペダル操作を意識しながらの練習。そして都内のシュミレーターで特訓をしてレースに備えた。

今回スーパー耐久参戦にあたり、短い期間の中で車両制作、カラーリング、メンテナンスが行われ、本当に多くの方に助けて頂きながらなんとか開幕戦に間に合い参戦することができた。

それを全部近くで見てきて、「わたしたちのために本当に多くの方が応援、協力をして頂いているので絶対結果で恩返ししたい」。そう強く感じた。

初めてスーパー耐久仕様のNDロードスターに乗って、今までの車両感覚との違いに驚いた。

まず、ブレーキがすごくきくこと。

あ! いきすぎた! と思っても普通であればオーバーランして飛び出すところでもきちんとターンインして曲がることが出来る。

また、カートのように動きが機敏で、ハンドルでクイックイッと車両を動かしやすく感じた。

そして、スリックタイヤによりグリップが良く、しっかり立ち上がっていってくれる。

しかし、まだタイヤの限界を知ることができず、どこからがタイヤが滑り出してトラクションがなくなるのか、どこからがタイヤが一番グリップして前に進めるのかを掴むことが出来なかった。

これらの違いも大きかったが、一番感じたのは「音」の違い。

今までであれば市販車のノーマル車でレースをしていたためレース中はとても静か。エンジン音はするものの騒音レベルでは全くない。

しかし、今回はスーパー耐久車両。エンジンをかけた時、アクセルを踏んだ時、高音がわたしの心臓に響き渡った。

「レーシングカーだ!」わたしのテンションは一気に上がった。

レース当日。今回は予選も決勝も1DAYでおこなわれた。20分間の予選。天気は……雨。まだ操りきれていないマシン、そして雨。不安が募っていく。

予選中の雨は、レースに参戦する車両が走行するため路面状況の変化が著しい。走行すればするほど路面上の水がある程度はけていき、タイヤと路面のグリップ力が上がっていく。

最後の5分で全体的にタイムがあがりそこで上手くタイムを出さないと予選順位に響いてくる。しかしドライの路面よりもグリップが低いことは変わらない。そこでスピンしたらタイムロスしてしまいその分アタックできるチャンスが減る。

生き残った者勝ちとなる雨の予選はとてもサバイバルである。

雨で滑りやすい路面、マシンを壊してはならないという恐怖、しかしタイムは出さなければ……。

いろんな感情と緊張感で押しつぶされそうになっていた。

コースのランプが青に点灯。いよいよ予選がスタートした。

スーパー耐久 予選へ

朝から始まった予選。天気は雨。初めてのマシンでの雨は不安な気持ちでいっぱいだった。そんな気持ちとは裏腹にコースランプが綺麗に青く光る。

予選スタート。

初めはコース上に川が流れていないか、何処の部分に水たまりがあって滑りやすいのか、コースの状況を確認しながら走行。

水たまりの位置を確認し、冷静に落ち着け自分! と言い聞かせながら計測ラップ。

昨年までの2年間「Women in Motorsport Project」で学んだ雨の練習が頭の中をよぎる。
・シフトダウンを丁寧にゆっくり
・通常のドライのラインだとタイヤのゴムが路面上にこびりついているため雨が降っているときにそのラインを通ってしまうと滑ってしまう。その代わりに普段通らないコースのアウト側を通りグリップするところを自分で探して見つける
・川が流れていたらその川に対して垂直に通る

基本的なことだが大切なところ。基本に忠実に一周一周グリップを感じて丁寧に走った。

「あと1秒あげたら2台抜けるよ」

井原先生からの無線。

あと1秒。焦らず、確実にタイムが上がることを意識して走行を続けた最終ラップ。
タイムは、2分31秒809。最終ラップでタイムはあがったものの満足できる結果ではなかった。

クルマを降りると井原先生やチームメカニックの方々とミーティング。スーパー耐久はA、B、Cドライバーで登録されておりそれぞれが予選を行う。わたしの予選が終わり、次のBドライバー予選に向けて打ち合わせを行った。

リザルトを見ると、わたしが走ったST-5クラス、Aドライバー予選の13台中13位。最下位をとってしまった。

スーパー耐久 決勝の結果は?

朝から始まった予選。天気は雨。初めてのマシンでの雨は不安な気持ちでいっぱい

雨で慣れていないとはいえど、市販車のレースではそこそこ走れていたように感じていたので、この結果にとてもショックで、周りにはベテラン有名ドライバーばかりといえど悔しい気持ちで言葉が出なかった。

また、自分と他チームのドライバーとの差を感じて心が裂かれた感じがした。

予選が終わり、総合予選結果が発表となり、チーム員が何とか予選タイムをあげてくれたおかげで、ST-5クラス13台中11位スタートとなった。

決勝はなんとか頑張らなくちゃ、わたしはもっと走れる。

ひたすらに自分に言い聞かせ、同じチーム員のえなちゃんの車載を見て走り方を頭に叩き込んだ。

いよいよ決勝が始まる。スタートドライバーはロードスターのレースで10年以上参戦し優勝経験もあり、活躍し続けてきたベテランドライバー小松さん。

2015年Women in Motorsportが始まり訓練を共に受けていた時は、とても速くて「早くたどり着きたい! 抜きたい!」と密かに目標にしていた。

前車とのかけひきで決まるローリングスタートで決勝レースは始まった。

小松さんが安定した走りを見せ、コンスタントに周回を重ねていく。前日まで練習したドライバーチェンジをし、次はいよいよわたしの番。2017年度スーパー耐久へ初挑戦。

頭に叩き込んだえなちゃんの走行をイメージしながら走行を重ねる。3速でコーナーを曲がってみたり、2速で試してみたり……。

スプリントレースでは決められた数回周でレースが行われ短い時間のため一発集中! という感覚だが、耐久レースでは長時間クルマを運転し続けなければならない。

その時の車の様子を見て、感じて走り方を変えなければならず、これが大変難しいがタイヤが垂れてきた時の走り方や他のクラスの速い車両を上手く抜かさせる方法等レース中がとても勉強できる場所となり、色んなことを試すことができた。

しかし、18周が過ぎてきたころ、3速ギアが入りにくく渋さを感じるようになった。レースはまだ中盤。変なタイミングでピットに戻るわけにもいかない。

緊張でシフト操作をする手に力が入っているんだと思い、もてぎサーキットのストレートとバックストレートで左腕をブラブラと揺らして力を抜くことを意識した。

肩の力を抜いて、落ち着いてとひたすら自分に言い聞かせて走行を続ける。

しかし、事件は起こった。

走行開始から22周目、レース開始から半分が過ぎようとしていた時。5コーナーを立ち上がって2速から3速にシフトを変えた際

「ガラガラガラガラッ」

嫌な音。そして聞き覚えのある音。ミッションが壊れた。

慌てて無線で状況を確認しピットに戻ると、ヘルメットを被って待機をしていたえなちゃん。

「まだ走れますように、この音はただの勘違いでなんとか最後まで走れますように」

心で願いながら指示を待っていると「走行不能、リタイヤします。」とメカニックさんからの指示。

原因はやはりミッションブロー。2速から3速へシフトアップする際に車に荷重がかかりミッションがよじれ上手く入らず、それが練習走行、予選、決勝と少しずつ小さな傷がついて最後ブローしてしまったようだ。

初めてのチームでS耐参戦、小松さんから渡されたバトンを次に繋げることができず、わたしで終わらせてしまったこと、ヘルメットを被って待機していた次のドライバーの姿を見て心が痛んだ。

スプリントレースは自分しか走らないが、耐久レースはドライバーも自分以外に2人いるし、「次につなげる」という自分の役割を果たせなかったことに不甲斐なさを感じた。

悔しい気持ちと最後まで走れない悲しい気持ちでS耐の開幕戦が幕を閉じた。

目標としているル・マンを見ていてもよく途中リタイヤする車両を目にするが、耐久レースを走りきることが難しいこと、チーム力の大切さを改めて感じたレースとなった。

ドライバー、チームの人たちと次戦に向けて話し合い、この経験を活かせるように、そしてこのチームで、みんなで次は走り切れるように、皆様の温かい応援やお言葉をパワーに変えてこれからも頑張りたいと思います。

応援ありがとうございました。