神奈川県藤沢市にある片瀬江ノ島駅の「竜宮城」駅舎が約90年ぶりに建て替えられます。どのようなデザインになるのでしょうか。

江の島の「竜宮城」、ついに建て替え

 小田急江ノ島線の終点駅で、神奈川県を代表する観光地のひとつ、江の島の近くに位置する片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)の駅舎が約90年ぶりに建て替えられることになりました。駅舎の老朽化と駅前広場の再整備によるもので、小田急電鉄と藤沢市は2016年9月から協議を行ってきました。


竜宮城をイメージした片瀬江ノ島駅の駅舎(2016年7月、乗りものニュース編集部撮影)

 片瀬江ノ島駅の駅舎は竜宮城をイメージした個性的なデザインで、地元住民や駅を訪れる観光客に長年親しまれてきました。どのような建て替えになるのか、小田急電鉄 CSR・広報部に話を聞きました。

――そもそも、なぜ竜宮城を模したデザインだったのでしょうか?

 駅が海の近くにあったことから、開業した1929年(昭和4)年当時、観光地をイメージして作られたようです。

――新しい駅舎はどのようなデザインを予定しているのでしょうか?

 現在の雰囲気を生かしつつも、さらに愛されるようなデザインを目指しています。藤沢市と検討を行っている最中ですが、現在の駅の構造と規模感は維持されると考えています。

――藤沢市による駅前広場の再整備は2019年から始まりますが、新駅舎の着工、竣工の予定はいつごろでしょうか?

 着工は未定です。竣工は2020年のオリンピックに合わせた形となります。

――新宿駅と片瀬江ノ島駅を結ぶ特急ロマンスカー「えのしま」などは今後、どうなるのでしょうか?

 現時点では何ともいえません。2018年3月のダイヤ改正後に検討していきます。

「SNS映え」する新駅舎に? 地元の願いは

 駅前広場の再整備を進める藤沢市 計画建築部 江の島地区周辺整備担当は、駅周辺の地元自治会から聞き取りをおこなって得たという、「竜宮城のデザインを残してほしい」「(地元住民と観光客)みんなから愛されるようなデザインを検討してほしい」といった声を、小田急電鉄に強く伝えているといいます。

 また、同市 経済部 観光シティプロモーション課は、2015年に市内を訪れた観光客数が前年比3.4%増(約1833万人)となった背景を受け、さらなる観光客誘致につながると期待を寄せています。

「駅舎が建て替わることで、駅や江の島に足を運ぶ動機付けになります。最近では、外国人観光客が駅舎を撮影する光景もよく目にします。新しい駅舎がSNS映えするような魅力をさらに持てば、その情報を拡散してもらうこともできます」(藤沢市 経済部 観光シティプロモーション課)

 約90年の歴史を持つ駅舎がどのように生まれ変わるのか、今後の動向が注視されます。

【地図】片瀬江ノ島駅周辺の地理事情


片瀬江ノ島駅から江ノ島までは、徒歩約10分の距離(国土地理院の地図を加工)。