前半戦でくるしんだ巨人。巻き返しのカギを握るのは…(C)KYODO NEWS IMAGES

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◆ 苦しんだ前半戦

 前半戦は球団ワースト記録を更新する泥沼の『13連敗』を喫するなど、苦しい日々を過ごした巨人。

 昨オフは史上初となるFAでの3選手獲得などのド派手な大型補強もあって大きな期待を受けたが、首位・広島から14.5ゲームの差をつけられた4位でオールスター前の戦いを終えた。

 なかなか戦力になれなかったFA組に加え、WBCで大活躍を見せた小林誠司が攻守に精彩を欠く場面が見られたり、また長年の弱点となっている二塁手問題などなど、フタを開けてみれば問題が山積み。チームの雰囲気の暗さ、重さを指摘する声も多く挙がった。

 そんなどん底を見たチームの中で光明となっているのが、強力な“先発3本柱”の存在である。

 

◆ ランキング上位独占!?

 前半戦の巨人は、この“3本柱”の活躍がなければ最下位に沈んでもおかしくはない。それほどこの3人の存在は大きかった。以下は前半戦のセ・リーグ個人投手成績・各部門のランキング。

【セ・防御率トップ5】

1位 2.09 田口麗斗(巨人)←

2位 2.20 菅野智之(巨人)←

3位 2.55 野村祐輔(広島)

4位 2.73 マイコラス(巨人)←

5位 2.93 バルデス(中日)

【セ・勝利数トップ5】

1位 9勝 菅野智之(巨人)←

2位 8勝 田口麗斗(巨人)←

2位 8勝 薮田和樹(広島)

2位 8勝 メッセンジャー(阪神)

5位 7勝 マイコラス(巨人)←

5位 7勝 秋山拓巳(阪神)

5位 7勝 岡田明丈(広島)

【セ・QS数トップ5】

1位 13回 バルデス(中日)

2位 11回 田口麗斗(巨人)←

2位 11回 菅野智之(巨人)←

2位 11回 マイコラス(巨人)←

2位 11回 野村祐輔(広島)

 これらのランキングの上位5人までで、巨人の“先発3本柱”の名前が確認できる。いかに安定した投球をしているかがお分かりいただけるだろう。 

◆ 強力3本柱を擁したチームは…

 3人によるランキング上位独占というのも現実味を帯びてきているが、もし同一チームの投手が防御率ランキング3位までを占めるとなると、1990年の巨人以来で27年ぶり・6チーム目という快挙となる(2リーグ制以降)。

 ちなみに、1990年は上位4位までを巨人の投手が占めていた。

【1990年・セ防御率ランキング】

1位 2.17 斎藤雅樹 (巨人)

2位 2.51 桑田真澄 (巨人)

3位 2.71 木田優夫 (巨人)

4位 2.90 香田勲男 (巨人)

5位 3.15 佐々岡真司 (広島)

 この年のチームは安定した投手力を武器に、2位・広島に22ゲーム差をつける独走優勝を果たした。

 では、ほかのチームはどうだったか。防御率ランキングで上位を独占したチームのシーズン成績は以下の通り。

【防御率ランキングTOP3独占したチーム】

1990年 巨人 ⇒ 優勝

1983年 西武 ⇒ 優勝・日本一

1981年 巨人 ⇒ 優勝・日本一

1969年 阪神 ⇒ 2位

1951年 南海 ⇒ 優勝

 このように、過去5チームのうち4チームがリーグ優勝。そのうち2チームが日本一に輝いている。唯一優勝を逃した1969年の阪神も、巨人に6.5ゲーム及ばずの2位。当時の巨人は黄金時代の真っただ中で、そこに6.5差なら健闘の部類と言えるだろう。

 今季の巨人に話を戻すと、勢いが止まらない広島との差は大きく、優勝は厳しい状況。それでも、2位・阪神との差は6.5ゲーム。先発3本柱が前半と同じような投球を見せれば、まだ挽回の余地はあるだろう。

 つながりを欠いていた打線も、7月に入り1試合平均4.5得点と状態は上向いている(6月までは1試合平均3.2得点)。オールスター休みを挟み、投打がかみ合ってくればセ・リーグの台風の目になる可能性は高い。

文=八木遊(やぎ・ゆう)