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離れて暮らす親のために、子どもが毎月一定額を援助する「仕送り」。税理士ドットコムの税務相談コーナーには、仕送りをする子どもから、節税できるのかという質問が度々、寄せられている。

よくあるのが「確定申告で控除は受けられるのでしょうか」「住居が別居でも可能なのでしょうか」という質問。その他にも「別居の母が遺族年金を200万円近くもらっている場合はどうでしょうか」という質問も。

親への仕送りをめぐっては、兄弟、夫婦間での争いのタネとなることもありますが、せめて税制面でお得にすることはできないでしょうか。大塚英司税理士に聞きました。

●扶養親族になるのか?

「離れて暮らす親へ仕送りをしている場合には、一定の要件を満たせば、その親を扶養親族に含めることができます。その場合、確定申告や年末調整において、所得税や住民税の扶養控除の適用により、節税が可能となります。

では、実際に扶養控除として減額できる金額を確認してみましょう。別居する親の扶養控除の控除額は下記の通りです。

【所得税】

・親の年齢がその年の年末で70歳以上:48万円

・親の年齢がその年の年末で70歳未満:38万円

【住民税】

・親の年齢がその年の前年の年末で70歳以上:38万円

・親の年齢がその年の前年の年末で70歳未満:33万円

ちなみに、同居する70歳以上の親を扶養親族として扶養控除する場合の控除額は、「所得税:58万円」、「住民税:45万円」となります。同居する親が70歳未満の場合には、「所得税:38万円」、「住民税33万円」となります。

なお、上記控除額は所得からマイナスできる金額です。実際に軽減できる税額は、上記控除額に税率(所得税は所得に応じて5%〜45%、住民税は一律10%)を乗じた金額となります」

●どうしたら「扶養している」と言える?

扶養控除が適用される「仕送り」とはどの程度の負担をさすのか。

「扶養控除の主な要件としては、(1)  仕送りをする子と親の生計が一であること、(2)親の所得金額が38万円以下であること、の2つが重要な点となります。

まず、(1)の生計を一にするとは、簡単に言うと同じ財布で生活をしているということです。基本的には同居している場合を指しますが、別居の場合でも親の生活費や医療費等の主たる部分を仕送りしていれば、その親は生計を一にする親族に該当します。

例えば、親の生活費が月20万円かかっているのに子供からの仕送りが3万円だけで、残りを親自身の年金収入で賄っているようなケースでは生計を一にする親族とはいえないでしょう。

次に、(2)の親の所得金額が38万円以下とは、親の収入金額ではありません。収入とは、会社などから支給される給料などをさしますが、所得とは、収入から給与所得控除額や公的年金等控除額などの様々な控除を差し引いた金額です。たとえば65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以下の年金収入であれば、所得金額は38万円以下となりますので、扶養控除の対象となり得ます」

他に気をつけるべき点はあるのだろうか。

「複数の兄弟姉妹が地方に住む親に仕送りをしている場合もあるでしょう。しかし、複数の子どもたちが扶養控除の適用が受けられるのでしょうか? 答えは、受けることができません。兄弟姉妹のうち、誰か1人のみしか母親を扶養親族と考えることはできないのです。

最後に、仕送りをすると贈与税がかかるのではという心配もあるかもしれませんが、親の生活費や医療費等の範囲内での仕送りは、贈与税の課税対象とはなりません」

【取材協力税理士】

大塚 英司(おおつか・えいじ)税理士

中央大学商学部卒業。税理士法人トゥモローズ代表税理士。世界四大事務所であるEY税理士法人出身。大企業の法人税務から相続・不動産等の個人税務まで幅広くサポートできる稀有な存在の若手税理士。

事務所名   : 税理士法人トゥモローズ

事務所URL:http://tomorrowstax.com/

(弁護士ドットコムニュース)