食のトレンドにもデジタル化の影響 商業施設のあり方を変える?


写真拡大

世界の商業用不動産市場は、大きな変革の時期にある。小売と飲食サービスを同時に提供する施設が好まれるようになる中で、集客力のあるアンカーストアを重視する従来のコンセプトから、新たな文化・社会経済パターンに応えるビジネスモデルへと変化している。

世界的な人口の急増、都市化の進行、そして中流層の増加は、小売業者らにこうしたマクロ的なトレンドへの対応のあり方を再考させた。デジタル化された現代社会において消費者はこれまでになく、買い物とレジャーを同時に体験することを求めるようになっており、外食産業もそうした期待に応えるための重要な役割を果たすようになったのだ。


総合不動産サービスを提供するジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)と国際ショッピングセンター協会(ICSC)が行った調査によれば、ショッピングセンターの多くでは、飲食用のスペースが施設内に占める割合は2025年までに、現在の8%から20%程度にまで拡大すると見込まれている。



マクロ的な変化において最も重要な点は恐らく、「(誰かと過ごす)時間」と「体験経済」の関連性だろう。ミレニアル世代をはじめとするより多くの消費者が、時間はモノよりも重要な「商品」だと考えるようになっている。ミレニアル世代の消費者にとっては新しい服を購入することよりも、レストランで友人らと一緒にする食事の方が、自分の人生を肯定する「消費」なのだ。


米大手百貨店メイシーズやシアーズ、J .C .ペニーなどの閉鎖からも分かるように、レジャーや娯楽を重視する傾向は近年、より顕著になっている。そして、こうしたアンカーストアの閉鎖が商業施設の運営業者に対し、人口動態や消費者トレンドの変化を利益に変えるためのイノベーション戦略の実行を促してきた。多くの場合、これらは新たな食事の仕方に関するコンセプトに見て取ることができる。



新たな食のトレンド

関連業界においては、今後の成長をけん引するのは飲食サービスだという点で合意が見られている。飲食サービス業を変え、結果としてショッピングセンターを変えることにもつながる新たなトレンドとして、JLLは以下を挙げている。



何か月も前から予約が必要、高級レストランでなければおいしい料理が味わえない、という時代は過ぎ去った。シンガポールの「香港油鶏飯麺(Hong Kong Soya Sauce Chicken Rice & Noodle)」は、フードコート(ホーカーズ)に出店している店として初めて、ミシュランガイドで星を獲得した。「スーパーカジュアル」な飲食店に需要があることを示す例といえる。

・ルーツへの回帰

現代風にアレンジしながらも、従来から使われてきた食材や調理方法に立ち戻るシェフが増えている。

・Uターン

レストランは、複雑かつ多くの設備やスキルを必要とするものへと変化してきた。だが、かつてのシンプルなメニューを再び重視する傾向が出始めている。

・食品廃棄物は「資源」

冷蔵庫ではなく廃棄された食品から料理のインスピレーションを得たり、食品を別の目的に再利用したりするシェフが増えている。英ブライトンにあるレストラン「サイロ(Silo)」は廃棄物ゼロを掲げており、野菜くずなどは全て堆肥にしたり、別のメニューの材料にしたりするなど、再利用を推進している。

・スーパーフード

チアシードやアサイー、スピルリナ、海藻、ゴジベリーなどこれまで知られていなかった食材が、健康に良いものとして広く認識されるようになっている。

消費者は食のトレンドやスタイルに詳しくなっており、より良いサービスや体験、高い価値を求めるようになっている。さらに、自分の好みを明確に認識し、臆せず意見を交換するようになっている。

将来的に最も大きな成功を収める飲食業関連のブランド(と商業施設)は、こうした需要を商品やサービスにうまく取り込むことができたものになるだろう。