2017年6月12日に生まれたジャイアントパンダの子。7月5日撮影。名前はまだついていない(東京都恩賜上野動物園)

写真拡大

 東京都上野恩賜動物園で6月12日に生まれたジャイアントパンダの子が、生後一カ月を迎えた。母親「シンシン」と父親「リーリー」が来日したのは6年前の冬。国賓待遇で迎えられたこの希少動物には、中国当局による商売道具としての要素が強い。(2011年2月23日の記事を再掲載)

 2月21日深夜、中国四川省から2頭のパンダが特別専用機で日本にやってきた。各メディアが一斉にこの話題を取り上げ、約3年ぶりのパンダ到着に地元も「パンダ歓迎実行委員会」の設立や歓迎イベントの開催で盛り上がりを見せた。

 2頭のパンダのために東京都は中国側に年間8500万円という巨額のレンタル料を支払うことになる。今まで国宝と称され、諸外国との友好ムードを演出するために無償提供されてきたパンダだが、いまでは、資金を稼ぐための商品となっている。

 中国誌・南方週末は「年収百万ドルの出稼ぎパンダになるまでの道」と題する記事を掲載し、「パンダはすでに外交の手段から金稼ぎのビジネス道具に変身した」と指摘した。

 長い間、パンダは相手国との友好関係をアピールするために無償で提供されていた。しかし、野生パンダの激減を受け、1982年に有償レンタルが始まった。しかし、その費用はパンダ保護のためではなく「道路やインフラ建設」に使用されていた、と同誌は指摘する。

 絶滅に瀕する野生動物のレンタルは国際条約で禁止されている。記事で中国のパンダ保護・研究センターの張和民主任は「今はレンタルではなく、長期間の合同科学研究プロジェクトと呼ぶ」と答え、レンタルという言葉を避けていることを明らかにした。「実はこれは双方の暗黙の了解です。相手国にお金を出してもらって、それを『研究』に使うのです」と釈明した。

 レンタル料の60%は野生パンダの保護、40%はパンダの人工飼育の研究に使われるそうだ。「おかげでパンダの自然保護区は13カ所から64カ所まで拡大した」と張主任は言う。

 
2011年2月、2頭のパンダは「国賓」待遇で
迎えられた。当時、パンダ塗装の専用機で運搬された。
(YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)

 現在、この形で海外にレンタルされたパンダとその後繁殖したパンダはすでに30頭に達し、人口飼育されているパンダの10分の1を占めている。大金の呼び水となったパンダだが、「健康的で顔が丸くて毛色のきれいなパンダがよくて、癖があったり、ケンカを好む協調性のないパンダは駄目」など選考には細かな規定が設けられている。

 しかし、パンダのレンタルをめぐって受け入れ国で反対する声も少なくない。2011年秋にパンダのレンタルが決まったイギリスでは、動物保護団体「ボーンフリー財団」が、「中国がパンダを貸与するのは動物搾取にあたる」と非難し、英国の各メディアも「パンダの飼育には英国人の血税が大量に使われる。その額は年間7万ポンド(約930万円)にも上る」と批判的だった。

 日本でも事前の世論調査で、都民の97%が「高いお金を払うなら要らない」とする結果が出ており、石原都知事が「高い買い物だ」と揶揄するなどパンダ不要論が一時的に広がりを見せていた。

 ただ、パンダが来ると動物園の入場者が増え、周辺の飲食店まで繁盛するという相乗効果があることから、来てほしいという声もある。「儲けがないと、外国政府はこの取引に応じないでしょう」と成都のパンダ繁殖飼育研究基地の張向東主任は話す。

 南方週末の記事で、「1頭のパンダを輸出すると、国は100万ドルの科学研究費を手に入れ、それをパンダの保護事業に当てる。そういう意味でパンダはようやく自身のためにお金を稼ぐようになった」と述べた。

 パンダの到来で売り上げを伸ばそうとする動物園と周辺店舗、またパンダのレンタルで巨額の収入を手にしようとする中国。双方の思惑が一致する以上、パンダのレンタルビジネスは今後も続きそうだ。「パンダを通じて両国の関係を深めたい」。この言葉はもはや誰も信じなくなった。

(翻訳編集・高遠)