◎快楽の1冊
『「小池劇場」が日本を滅ぼす』 有本香 幻冬舎 1300円(本体価格)

 「安全と安心は別」―想像したくはないが、年末恒例、某社主催の新語・流行語大賞に今年は「忖度」とともにランクインしそうな勢いの、歴史に残る“迷”語録である。
 あれほどの時間と経費を無駄に失った築地から豊洲への市場移転問題が、ついに東京五輪にまで負の影響を与える段階へと明確に立ち至ったにもかかわらず、高支持率を維持する小池百合子知事だが、本書を読む限り一都民としてまこと寒心に堪えない。
 近頃定着した“劇場型政治”の典型的な二つの先例、「小泉劇場」「橋下劇場」とその手法や姿勢が一見似た観のある小池氏(誰の眼にも分かりやすい敵を作って対立軸を強調し、選挙となれば自らのチルドレン的な集団を作り刺客として差し向ける。特に小泉純一郎氏とは就任後1年にも満たぬのに写真集が出版される点まで共通)。
 しかし、著者によれば前二者と比べて決定的に違うのが「小池劇場」には演目=実現したい究極の目標、ビジョンに基づく政策が致命的にないことだ。確かに賛否と是非は別にして小泉氏には「殺されてもいい」とすら言い切った郵政民営化法案があり、橋下徹氏には大阪都構想があった。だが小池氏にあるのは果たして何か? 返す必要のないちゃぶ台を片っ端から引っくり返した揚げ句、それをすべて他に責任が所在するかのように捏造して、あとは正義の味方を装うだけだとしたら?
 本稿執筆の時点でまだ都議選の投開票は行われていないが、都民ファーストの会圧勝を受けて小池翼賛会誕生という“緑の悪夢”だけは見たくない。今こそ高田文夫氏のギャグを無断拝借すれば、故・勝新太郎演じる座頭市なら間違いなく呟いたろう、「いやな渡世(都政)だなあ…」と。
(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 何という書籍だろうか…。まさに旬のネタを逆手にとって、こんなタイトルを付けるとは! フリーライターキンマサタカ著の題して『文春にバレない密会の方法』(太田出版/1111円+税)。
 数々のスクープを連発し“文春砲”の異名をとり、「ゲス不倫」という流行語まで生んだ『週刊文春』。この執拗なパパラッチから逃れるにはどんな方法があるのか? …という視点で、不倫がバレないテクニックを存分に解説している。
 そして、その方法は芸能人のみならず、一般の方々も十分に採用できますよ、というワケ。芸能人のスキャンダルが発覚する場合は、関係者から文春編集部への情報リークが元となる。つまり、妻帯者の男性芸能人が、うっかり「オレってさー、タレントの○○と付き合っているんだぜ」などと友人知人に漏らそうものなら、たちどころに拡散する。「人の口に戸は立てられない」のだ。反対に相手の女から情報が漏れるケースもある。
 だから、不倫するなら相手は口が硬いこと、自分からは無闇に他言しないのが絶対条件であり、コレは一般人でも同じこと。ところがなかなか難しいらしい。男は寝た女を武勇伝のように語りたがるし、女は女でおしゃべりときている。不倫するなら、まずは「相手を見る目を持て」というのが重要なのだ。
 この他、スマホやSNSから足がつかないようにする方法や、密会場所の選定(意外にもラブホは危険とか…)といったリスク管理術も網羅。不倫とは、なかなか面倒くさそうだ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)