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Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は、少女マンガ原作の映画化作品『兄に愛されすぎて困ってます』。『アオハライド』以降、少女マンガ原作ものを真摯にチェックしている小出部長ですが、本作は様子がちょっとおかしいです……。


活動第36回[前編]『兄に愛されすぎて困ってます』


参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、世武裕子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)




もう設定だけで拒否反応が出てアウトなんですよ


──「みんなの映画部」第36回目です。今回は人気少女マンガの映画化、土屋太鳳主演の『兄に愛されすぎて困ってます』です!


一同 (なぜか拍手)


──すでに3年以上続いているこの連載ですが、今回は歴代最も皆さんの手腕が問われる異色のセレクトになったかと……まずは恒例の部長からのひと言をお願いします。


小出 う〜ん……(苦笑)、すみません、僕、最後でお願いします!


──いきなりパス(笑)。ではレイジくんから。


レイジ え〜と……今から『ディストピア』観に行きません?(編註:当初の観賞候補作はイギリスのSF映画『ディストピア パンドラの少女』でした)。


世武 逃げちゃだめだって(笑)。


レイジ いや、リアルに妹がいるんですよ。そうすると、この話(高校生の妹と、その兄が 秘か に愛し合っている。でも実は血が 繋がって いないって、もう設定だけで拒否反応が出てアウトなんです。


小出 うん、僕も妹いるからまず生理的にきつかった。


福岡 あ、そうか。ふたりともそうなんだ。


レイジ こういうカルト映画はいっそ大人の実力派俳優でやってほしいです。


 小出 あははは、カルト映画ね(笑)。


レイジ 禁断の愛をテーマにしたシリアスな映画なら別の感想になったかもしれないですよ? でも、こういう軽やかなタッチでやられても困ってしまうというか。


──みんなの映画部部員が「困ってます」状態に(笑)。女子チームはいかがでしょうか?


世武 私は……パスかな(笑)。もし本気で文句を言うなら、倫理的な話になっちゃうから。でも今の少女マンガ、すごいところまでいってるよね。


福岡 私はめっちゃ面白かったです。


小出 おぉっ!? (笑)


福岡 お話に関しては、途中から母親目線になってましたね。もし自分の娘が、義理の兄と恋愛関係になったら……まあ親としても面倒臭いよねえ、みたいな(笑)。


あと私、今まで映画にそんなに詳しくなかったけど、この作品を観ていたら「映画の作り方」に対して、自分が自分なりの意見を持てるようになってきたってことがよくわかった。あ、これはもっとこうしたほうがいいんだなとか(笑)。これはこうだから何か違和感があるんだな、っていうのがすごくわかって。そこが個人的にうれしかったというか、終わった後にめっちゃ清々しかったの。



役者さんの演技と全然違うトーンの曲が入ってきて……


──違和感はあった?


福岡 すっごいいっぱいあった。普段は絶対やらんけど、今回は上映中に世武ちゃんに話しかけたりしたもん。「あれっ??」って(笑)。


世武 ありましたね、そういうシーンが。


小出 そうなんだ。例えばどういうシーン?


福岡 世武ちゃんに話しかけたのは音楽が入ってくるシーンで、役者さんの演技と全然違うトーンの曲が入ってきたとき(笑)。あの海岸でね……。


レイジ 俺もまったく同じこと思いました。


福岡 思った? 海岸にイケメン王子の高嶺(千葉雄大)とお兄ちゃん(片寄涼太)が歩いてきて「お前ら兄妹じゃないの?」ってことを話していたとき。


レイジ そうです。「知ってたのか」という、本人たち的にはマジメな話のときに、なんかすごくエキサイティングな音楽になって。


福岡 “ダンダカ・ダンダカ♪”(笑)。役者さんたちの顔も真顔だったからさ、世武ちゃんに「これ、いいん?」って思いっきり話しかけた(笑)。


レイジ あとお祭りのくだりの後のサントラ、普通にミスタッチが入っていませんでした?


福岡 あ、入ってたと思う。ピアノのミスタッチが。


世武 あれ、ピアノは録ってないんじゃないかな。打ち込んでいるやつだと思う。だって、それ、パソコンの音だよね? っていう感じだったことない?


レイジ 確かに。


世武 だから、たぶん打ち込んだ音だと思う。


福岡 別の意味のミスタッチかな(笑)。あくまで推測ですけども。


世武 あのさ、ちょっと自戒を込めて語るとね……この辺って、たぶん映画音楽家への発注の仕方という問題も絡んでるんだよね。こういう恋愛映画の音楽の仕事は私もやっているんだけど、制作側からのオーダーの基本フォーマットはあるわけですよ。


例えばピアノの曲を書いたとする。そうしたら「あとの編集で使いやすいほうがいいので、導入にバイオリンの1音を足しておいてもらっていいですか?」っていう注文が来るの。すると、どこのシーンでもとりあえず“バーーー♪”って入ってきて。映像の尺に合わせられるから。


あと、使い方も定番のパターンがたくさんあって、抱きついてキスしてちょっとしてからピアノが入ってくるとか。だから自分の仕事としても、そことどう闘っていくかっていう課題が見えたというか。


福岡 そうなんや。でも世武ちゃんは全然違うから大丈夫よ!


世武 いや、一緒なんやって(笑)。私なりに闘ってますけど。


小出 そういう意味では俺、今回、音楽はまったく聴いてなかった。他のことをいろいろ考えすぎて(笑)。


TEXT BY 森 直人(映画評論家・ライター)



チケットを握りしめ、意気揚々と劇場エレベーターに乗り込む映画部の面々。この後、連載史上最大の悩ましさが訪れることはまだ知らない……。


小出部長が吠える[後編]は7月16日(日)配信予定