朝ドラヒロインのその後の躍進のカギは?(高畑充希)

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 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ひよっこ』の視聴率が連日20%前後と好調だ。また、近年朝ドラ出演女優がその後別のドラマに抜擢されたり、映画に出演するなど、活躍の場が広がっている。全国放送のNHKかつ高視聴率であるため知名度は高まるし、長期にわたるロケのため、演技力も磨かれていくという側面もあるのだろう。

 テレビに造詣が深く、週刊新潮で「TVふうーん録」の連載を持つライター兼イラストレーターの吉田潮氏は、朝ドラ女優についての、ある「法則」を語る。

「実は、朝ドラヒロインよりも朝ドラ脇役のほうがおいしいという説がありました。たとえば、『おひさま』は主演の井上真央よりも、満島ひかり、『純と愛』は主演の夏菜よりも、吉田羊、『あまちゃん』は主演の能年玲奈が色々とありすぎて、有村架純のほうに集中したり……。『まれ』は主演の土屋太鳳よりも、清水富美加や門脇麦のほうがその後の仕事のオファー数が多かったり、脇役の方が活躍の場が広がるという皮肉な現象もあったと思うんです。

 実際に、高畑充希(『ごちそうさん』で脇役→『とと姉ちゃん』で主演)や有村架純(『あまちゃん』で脇役→『ひよっこ』で主演)は脇役からヒロインに転じましたから、案外、脇から攻めたほうがニーズが広がるという現象はあると私は思っています」

 そして、最近ではヒロインになる女優にはそこそこ知名度とキャリアがある人が選ばれている。“地固め”や“箔づけ”としての朝ドラヒロイン、という事務所の思惑も吉田氏は感じるという。ヒロインで注目されて、その後もすぐに主演級の待遇を受けたのは、多部未華子、松下奈緒、尾野真千子、堀北真希、杏、波瑠、吉高由里子くらいだと述べる。

 だからこそ「準主演はあっても、主演として名前を張るというのがなかなか厳しいのかもしれません。つまり朝ドラやっても必ず人気女優になれるとは限らないし、主演待遇になることは実は少ないんじゃないでしょうか」と昨今の朝ドラ女優がその後厚遇されているのでは? といった空気には異議を呈す。

「一般的な人気女優になるかどうかは、視聴者的にはやはりヒロインとして艱難辛苦を乗り越えた強さがあったかどうか、だと思うんです。『カーネーション』の尾野真千子、『ごちそうさん』の杏、『あさが来た』の波瑠あたりは、実力もさることながら、物語の中で本当に女として辛酸を舐めて、泥水すすって、成長を遂げたという印象があります。そこはドラマ業界のみならず、我々一般の視聴者にも心に残るモノが大きいと思うんです。

 最近はヒロインにあまり重荷を背負わせない傾向が強くて、個人的には物足りません。ふわふわキャッキャした女子サークルのヒロインは、たいがいその後、成長できないと思います。ただし、そんな彼女達をTBSの『日曜劇場』が即効すくいあげるという謎の構図もできています。土屋太鳳は『下町ロケット』へ、芳根京子は『小さな巨人』へ、といった感じです」(吉田氏)

 そして、「朝ドラ女優」であるからといってそれをステイタスのように扱い、女優自身が過度な自信を持つことへの懸念も示した。朝ドラに出ている、ということに加え、「人間性」が大事だという指摘だ。

「番組宣伝や、自身の知名度向上において、SNS等インターネットでの露出はある程度必要なのかもしれませんが、ネット以前に、本人が自分の言葉を持っているかどうか、リテラシーとプロ意識があるかどうかで、そこに書かれる内容も変わりますよね。

 おそらく高畑充希は自分の言葉を持っていて、記者発表などでもきちんと受け答えができる女優です。だからこそ今や、薬、化粧品、酒など、ナショナルブランドのCMに引っ張りだこなのだと思います」(吉田氏)

 しかし、中には自分の言葉がなく、記者発表でも面白いことをひとつも言えず、リップサービスもなく記者からの評判も芳しくないような女優も存在するという。そういった女優はその後の大成は難しい面もある。朝ドラ女優はせっかく最高の舞台を与えられたとしたうえで、そこに甘んじてはいけないと苦言を呈する。

「おぼこい(未熟な、子供っぽい、の意)処女性だけではもう食っていけない時代です。となると、ヒロイン出身から本当の人気女優になるというのは、やはり女優としての実力の前に、人間力というか、ベーシックな部分でのサービス精神とプロ意識こそ重要じゃないかと思うんです。

 あとは、明治大正昭和の時代から平成の時代へのスイッチングがうまくいくかどうかも重要ですね。野暮ったい朝ドラヒロインのままで、おぼこい役しかできない女優は羽ばたけない。事務所の意向もあるでしょうが、いちはやく、朝ドラヒロインの『おぼこさ』『野暮ったさ』『古臭さ』から卒業して、幅広くやりまっせ、と方向転換した女優のほうが勝ち残っていくでしょう」(吉田氏)