@AUTOCAR

写真拡大 (全9枚)

アウディRS5の好敵手を探せ

満を持してアウディRS5が登場した。

ターゲットとされるライバル車はBMW M4とメルセデス-AMG C63クーペ。イタリアのセンスに魅せられた人はアルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ。われわれ英国人にとってはあまり眼中にないけれどレクサスRC Fを選ぶという手もあるだろう。

いま挙げたライバルのクルマは、どれも比較するには良くでき過ぎている。さてどうしたものかと悩んでいたときに思いついた。

「そうだ、往年のアウディ・クワトロ20Vだ」と。

子どものころのアイドル的存在をドライブしたかっただけではない。プランとしては、イングランド銀行の「インフレーション計算機」を用いてRS5との価格関係を比較してみようと思ったのだ。

RS5とクワトロ、現在の価値における差

現在の貨幣の価値を考えると価格差は£1,000(14万7千円)以内で、端的に言えばどちらも全天候型のクルマとしての技術を詰め込まれた、「もっともらしい優秀なクルマ」ということになるだろう。

オールド・クワトロは217psを発生させ、0-100km/h加速は6秒に満たないという記録。

これは現代のホットハッチの域であるが、1990年当時を振り返るとそれはそれは印象的なクルマであったし、今でもそうだ。

クワトロの2.2ℓ5気筒エンジンから発せられるエグゾーストノートをお聞かせできないのは残念だが、2000rpmを超え、レブまで回したときのそれは想像を超える。脳をかき乱す。また、現代のターボ車とは違い、2000rpmからレブリミットまでの加速感は独特。懐かしい感じすらする。幸せだ。

出力は、RS5がクワトロの倍 いっぽうで…

RS5のV6は、ターボチャージャーをひとつ多く備え、排気量は700cc増えている。27年間の技術の粋を結集したエンジンは、かつてのクワトロの2倍近い444psを発生させる。

今回テストした車両はスポーツエグゾーストが装着されており、スイッチひとつでかつてのクワトロ同様うるさくすることも可能。


一般的に新型車は遥かにワイドタイヤとブレーキを装備している。その恩恵もあってか、RS5の限界は高く、ボディロールを感じることは少ない。

つまり同乗者を快適なままに目的地まで運ぶことができる。オールド・クワトロは強く前に引っ張られるような感覚だったが、RS5はもっとすごい。時空に歪みが生じるような感覚とでもいおうか。

問題点があるとすれば、すべての操作が簡単すぎだということ。RS5に飛び乗りグリップの限界にチャレンジしたときにわかるのは、オールド・クワトロがいかにロートルであるかということ。

ギアチェンジは農耕車のようで、ステアリングは鈍い。また負荷がかかるとフロントタイヤは浮くし、ブレーキはそこに無いかのようなバーチャル感(わるい意味で)。

ターンインの際のノーズの回頭性も鈍い。そのため「当時の広告は誇大広告なんじゃないの?」と思ってしまうことだろう。しかし考え方を変えてステアリングもブレーキも、自らのアシストで行えば、見方は断然違ってくる。

あなたなら、どちらを選ぶ?

荒れた道でのコーナリングで、ブレーキングからタックインを使い、4輪全部をうまく使うと、矢のようにコーナーを脱出することができる。

言ってしまえば「ただのオールドカー」なのだけど、しかし、いまだにRS5にも引けを取らないアクションスターでもある。

あたらしいRS5は疑う余地のないほどに良くできたクルマだ。言ってみればサイボーグだ。

あなたならばどちらを選ぶ?

わたし? わたし個人の脳内ガレージに仕舞うクルマはRS5でなく、クワトロだろう。もっとも何もかもが許すならば、両方手にしたいけれど。