堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生がお答えする本連載。今回の相談者は、光岡真美子さん(仮名・27歳・メーカー勤務)です。

「先日、女友達と飲みに行って、男性グループと意気投合しました。彼は保険関連の会社に勤めていて、なかなかのイケメン。話も上手で彼女もいない。だから私も少し前のめりになって会話を楽しみつつ、マトモな人っぽかったのでLINEの交換もしました。

その彼とは家が近くて、一緒に帰ってきました。ホントに紳士的で素敵で、タクシー代も払ってくれたので、いつもはわりと用心深いのに、”私の家、このマンションの●●号室なんだ〜”と言ってしまったんです。もちろん、その日は何もありませんでした。

すると翌々日、家に帰ってポストを開けると、彼の名刺と一緒に、海外旅行のお土産だという小さなお菓子が入っていました。それでちょっとキモいなと思ったのですが、またその週末、同じグループで飲みに行くことにしたのです。やはり彼は紳士的でイケメンで素敵で、会っていると私も好きになってしまう感じでした。そのときに、私の誕生日が近いからと、ジュエリーを私にくれて、酔っぱらっていたこともあり、何の疑問のなく”ありがとう”といただいていました。

その後も、2〜3か月たまに飲み、ポストに手紙やお土産が入っているのも気にならなくなりました。しかし、先日“いつになったら2人で会えるの?”とLINEが入ってきて……私は、“みんなで楽しく飲もうよ〜”と返事したら、“はあ?”、“まじムカつくんですけど”と返信が。怖くなって、“私、これから仕事も忙しくなるし、飲み会にもこれから参加しない。今までありがとう”とLINE。すると、今までのタクシー代のワリカン分とプレゼント代として、6万円ほどを請求されました。この対処法を教えてください」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

基本的にプレゼント=贈与なので、お金を払う義務はありません。

交際上の義理や挨拶程度に、小さなお土産やお菓子などを“あげる・くれる”というやりとりは日常的に行なわれています。

ただ、一般的な場合、何らかの目的がなく高価な物をくれることはありません。高価なお菓子、ジュエリーとなると、送った側の目的を気にするのが通常ですよね。これは男女間だけでなく、会社間の接待などにも同じことが言えます。“何か含む気持ち=見返りへの期待”があるからこそ、プレゼントをするのです。

まして、あなたのように考えようによっては、好意を寄せられていることに気づいていたのであれば、下心があることは明らかでしょう。あなたにその気がなければ、そもそも受けとらないことが、断りの意思表示になったはず。

どちらともいえない気持ちで受けとっていたなら、誤解されても仕方がないかもしれません。そして突然相手を拒否したとしたら、あなたに対して「バカにしていたのか!」と腹立たしく感じ、「お金を返せ」と言ってきたのでしょう。ですから、一方的に相手が悪いとはいえません。

さて、今後にできる対策としては、毅然とした態度をとることです。

まずは相手からもらったプレゼントで、今からでも、返せるものは返しましょう。「こんなに高価な物をいただく理由はない」として。

中途半端な態度をとり続ければ、相手は誤解を続け、煮え切らないあなたにさらに腹立ちを覚え、あるいはストーカー化するなど悪循環となりかねません。

相手と話すときは、第三者を交えるなど身の安全を確保し、無用なトラブルを避ける策を考えてからの方がいいです。



■賢人のまとめ
プレゼントした分の金額相当額を相手から返せと言われても、支払い義務はありません。 今後、それ以上に感情がこじれないように、ここでキッパリと相手に応対できるかどうかが、問題解決の早道に。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/