本田が加入のメキシコ、「個性的すぎる3つのクラブ」

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ミランを退団した本田圭佑が、ついに移籍先を決めた。

それが、メキシコ・MXリーガの強豪パチューカだ。かつて福田健二選手も所属したことで知られるクラブは、なんと現地時間午前3時という異例のタイミングで盛大に獲得を発表した。

北中米カリブ海地区では、代表でもクラブレベルでも「盟主」と言えるメキシコ。

リーグが全体的に内向きであることもあって、アメリカ・メジャーリーグサッカーなどと比べて話題は少ない。

しかしそんな体制だからして、むしろ世界に類を見ないような個性的なクラブが存在するのである。

クラブ・アメリカ

メキシコ最大のメディア企業テレビサが所有するクラブ・アメリカは、メキシコで最も成功を収めたクラブ。そして、一度も2部に降格していないチームである。

国内リーグのタイトルは12回。CONCACAFチャンピオンズリーグでも7回の優勝を誇る超名門である。

本拠地もメキシコ最大のサッカースタジアムであるエスタディオ・アステカ。8万7000人を収容できる巨大競技場だ。

創設されたのは1916年。すでにメキシコではサッカーが人気あるスポーツとして広まっていた。

主に大学生で構成された初期のクラブ・アメリカは、そのとき首都メキシコシティに本拠地を置く唯一のチームであり、そしてメキシコ生まれの選手だけで構成されていた。同国人のプライドのようなチームだったと言える。

しかし1959年に大富豪のエミリオ・アスカラガ・ミルモがクラブを買収したことで状況は一転した。

テレビサの株主であった彼は多くの投資を行い、クラブは「億万長者」と揶揄されるほどの金満クラブに。

他クラブの有望な若手や優良外国人を無慈悲に強奪することから、今やメキシコで「最も人気があり、最もアンチが多い」という読売巨人軍的クラブとなった。

なお2015年の調査では、メキシコ人の31%がクラブ・アメリカのファンであり41%がアンチであるという結果が出ている。

チバス・グアダラハラ

クラブ・アメリカの最大のライバルであり、同じく2部に降格したことがないという歴史を持つクラブ・デポルティーボ・グアダラハラ、通称「チバス」。

ライバルよりも10年早い1906年に創設されたチームは、青、赤、白のカラーを持つ。当時のクラブ・ブルッヘ(ベルギー)の色を模倣したとか、フランス人が最初に所属していたからと言われている。

従って、最初は国際的なクラブだったのだ。ベルギーからの移民であったエドガル・エヴェレールという人物によって「クラブ・ウニオン」として創設され、様々な外国人とメキシコ人が共にプレーしたのである。

ところがそれから2年が経ち、外国人への排斥運動が起こったことをきっかけにクラブは「メキシコ人だけしか獲得しない」ということが決定されたのだ。

このルールは100年以上が経過した今でも守られており、世界でも珍しい「純血チーム」のひとつである。

クラブ・アメリカとは全く逆のようなエピソードであるが、彼らはプロチームとしても「金満」ではなかった。

80年代には深刻な財政難に見まわれ、2000年代にも借金に苦しむ状況が続く。2011年には2部降格の危機にも直面した。

2015年にマティアス・アルメイダ監督を招聘してからは成績が改善し、クラブ自ら所有するチバスTVも設立。今年はリーガMXとカップの二冠に輝くなど大きな成功を収めた。

ちなみにホルヘ・ベルガラ会長は過去にコスタリカの名門サプリサを所有し、アメリカでも「チバスUSA」(2014年に解散)というクラブを創設した大富豪。当時のサプリサは、チバスと同じくコスタリカ人による「純血チーム」だった。

ケレタロ

なんといってもメキシコリーグの強烈な個性といえばケレタロFCである。

あの元ブラジル代表FWロナウジーニョを獲得したことで非常に大きな話題になったこのクラブは、あまりにもスゴイ方法で残留を果たしたことがあるのだ。

2012-13シーズンで最下位になってしまったケレタロは、2部に降格することが決定した。

しかし、それを由としなかったのがオーナーのグルーポ・デルフィネス。

彼らはハグアレス・デ・チアパスという他のクラブをTVアステカから買い取ると、本拠地をケレタロに移し、さらにチーム名もエンブレムも「ケレタロ」に変えちゃったのだ!

降格したチームの所有者が、他の1部のクラブを買い取って中身をそっくり入れ替える…こんなことあっていいのか!

当時もこれにはかなりの批判があったようなのだが、メキシコは伝統的にオーナーの力が強く、法の穴をくぐり抜けたような形でもあったため、問題なく成功したということだ。

おそらくこんな経歴を持っているクラブは、世界にも例を見ないはずだ…。