メキシコ1部パチューカへの加入が決まった本田圭佑【写真:Getty Images】

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本田圭佑、クラブW杯出場へ。北中米最強クラブに移籍

 ミランを退団してフリーになっていた日本代表MF本田圭佑の移籍先が、日本時間14日に突如発表された。次なる戦いの場はメキシコリーグの名門パチューカに決まった。北中米カリブ海王者として今年のクラブW杯にも出場する強豪はどんなクラブなのだろうか。何が本田の好奇心に「刺激」を与えたのだろうか。(文:河治良幸)

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 本田圭佑の新しい移籍先はパチューカとなった。

 クラブ公式ツイッターで「先ほどパチューカと契約しました。とても満足しています」と語った本田。日本代表の欧州組キャンプの時は具体的な場所こそ出さなかったものの「常に未開の地みたいなところが好きですし、自分の知らないエリアに行くのも好きです。いろんな自分の考え方からくる、あらゆる好奇心が、一言で言えば刺激に近いですかね」と語っていた。

 それがメキシコになることを当時の本田が考えていたかどうか定かではないが、「割とのんびり移籍先(の候補)をしっかり全てテーブルに載せて選べばとは思っています」という中で、北中米カリブ海王者として年末のクラブW杯にも参戦するパチューカが最も目にとまったということだ。

 かつて福田健二氏が所属したことでも知られるパチューカは6回のリーグ優勝を誇るメキシコ屈指の名門であり、16-17のCONCACAFチャンピオンズリーグでは国内のライバルであるティグレスとの決勝に2-1で勝利して、5度目の優勝とともにクラブW杯の出場権を獲得した。

 システムは[4-2-3-1]あるいは[4-4-2]をベースとしている。中盤には各国の代表クラスをズラリと揃え、テクニカルなイメージが強いメキシコの中でも細かいパスワークと個人技を重視するスタイルを誇る。近年は2014年12月からチームを指揮するウルグアイ人のディエゴ・アロンソ監督が守備の規律を植えつけ、テクニカルでありながら接戦にも強さを発揮して、16-17の後期リーグで優勝、さらに北中米カリブ海王者の座も勝ち取った。

本気で世界一を目指すパチューカ、戦力は充実

 メキシコは半年ごとに1シーズンというレギュレーションのため、それぞれでタイトルが完結し、年間王者を決めるチャンピオンシップのような制度は存在しない。ただし、シーズンごとに“リギージャ”と呼ばれる、上位8クラブによって争われるトーナメント方式のプレーオフで優勝が決まる。

 当然ながら最高勝ち点のクラブが準々決勝で8位のクラブに敗れるケースも起こりうるわけだが、メキシコではリギージャの時期になると大きな盛り上がりを見せており、この方式はある意味メキシコサッカーの象徴としてすっかり根づいている。

 メキシコリーグは1部(プリメーラ)の外国人枠が5人となっているが、2シーズン以上プレーしている帰化選手はメキシコ人扱いとなる。これは二重国籍の選手にも適用されるため、前回のクラブW杯で来日したクラブ・アメリカのように実質的な外国人選手がチームの半数近くを占めるところもある。それはパチューカも例外ではないが、メキシコ人選手のクオリティの高さもパチューカのベースとなっており、そこまで“外国人部隊”という印象は与えない。

 パチューカの自慢のセクションは各国の代表クラスがズラリと揃う中盤で、左右のウィングも含めると欧州の強豪クラブと比べても遜色ない陣容だ。司令塔のホナタン・ウレタビスカヤはウルグアイ代表で、キャプテンのエリック・グティエレスとホルヘ・エルナンデスのボランチコンビはともにメキシコ代表の常連。22歳のビクトル・グスマンは昨年のリオ五輪に出場している。

 ここにコンフェデレーションズカップにチリ代表の主力として活躍し、準優勝に貢献したエドソン・プッキ、そして日本代表の本田が加わったのだ。まさに本気で世界を目指す陣容であり、そうしたクラブの意欲も本田の好奇心を刺激したかもしれない。

W杯出場に向けたリスク。それでも好奇心の向くままに

 もちろん競争は激しくなることが予想され、本田にもポジションは約束されていないはず。ただ、本田自身も「試合出ることを優先して移籍をしたってことが過去にないので、別に。自分が面白い、自分が成長できる、刺激的なところにつねに挑戦心を持って行っている」と語っており、むしろ厳しい環境を受け入れることを前提とした移籍だろう。

 世界への挑戦権、レベルの高い中盤、新鮮なプレー環境といったことに加えて、もうひとつ本田を刺激しうるものがパチューカにはある。パチューカは中南米屈指の大学都市であり、通称“サッカー大学”と言われる教育施設を有しているのだ。ここでは競技としてのサッカーだけでなく、経営学やマーケティング、栄養学といったサッカーをはじめとしたスポーツに関連するものを全て学ぶことができる。

 これまでの本田の話からの想像ではあるが、もしかしたらこれこそが他のリーグやクラブにまして、本田の好奇心を刺激した大きな要因かもしれない。何はともあれ全く新しい環境での挑戦だけに、純粋なレベルの高さだけでない困難が本田を待っているかもしれない。当然ながらW杯イヤーに向けてノーリスクではないだろう。

 しかし、基本メキシコ人は明るい性格で、外国人でも受け入れてくれる文化なだけに、不安より期待とワクワク感の方がはるかに大きい。これまで何度となくメキシコに足を運んだ筆者としても、本田圭佑という日本サッカーを代表するサムライの挑戦を通じて、メキシコと日本の距離がより近くなることを楽しみにしている。

(文:河治良幸)

text by 河治良幸