日本の夏といえば、やっぱり麦茶! 昨年のとある調査結果によると、夏の家庭の冷蔵庫に常備されている飲み物の1位は「麦茶」で、その割合は実に74%。牛乳の35%、炭酸飲料の31%、天然水の26%、緑茶の19%などを引き離してダントツの1位なんだそう。今回はそんな日本の夏になくてはならない飲み物「麦茶」について、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えていただきました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」7月8日放送より)


意外と知らない「麦茶」の楽しみ方、教えます!



◆「メーカーによって麦茶の味はこんなに違う」
〜飲料専門家 江沢貴弘さん


── メーカーによって麦茶の味は違いますか?

私の経験上、伊藤園の麦茶はローストがしっかりめで、香ばしさが際立っています。少し苦味もありますが、そのほうがさっぱりスッキリした印象になるんです。これは緑茶も同じで、家庭で淹れる緑茶は熱湯を注ぐのでカテキンという苦味成分が出て、さっぱりスッキリした味がします。逆に甘味成分が多い場合は味わい深いとかコクがあると表現されることが多いですね。

苦味と甘味のバランスは味にとても興味深い影響を与えます。たとえばイタリアにエスプレッソというすごく苦いコーヒーがありますが、イタリア人はそこに砂糖を入れて飲みます。これは甘味を加えることで苦味を感じづらくなるからです。麦茶の場合も深いローストで少し苦味が出ても、麦自体の甘味があると、その苦味をあまり感じません。その絶妙なバランスをメーカーの方々は工夫しているんだと思います。

── どうやって麦茶の苦味と甘味のバランスを取るんでしょうか?

麦茶のパッケージに「六条大麦」とか「二条大麦」と書いてあるのに気付いたことはありませんか? 六条大麦はタンパク質が多いのが特徴です。そしてタンパク質は肉や魚に豊富な成分ですが、肉や魚を焼いて焦げ目を付けると、とても良い香りがします。六条大麦も同じように、ローストしたときに香ばしさや苦味が際立つ麦茶の原料です。

それに対して二条大麦はタンパク質が少なめです。ですからローストしたときに香りや苦味が優しい印象を受けます。そのかわり二条大麦にはデンプン質が多いため、甘味を感じさせるんです。こんな六条大麦と二条大麦を使い分けたり、メーカーによってはブレンドしておいしい麦茶を作ろうと工夫しています。

── では、苦味よりも甘味が強いタイプの麦茶はどれですか?

石垣食品の「フジミネラル麦茶」は甘味が強めです。昔懐かしいパッケージやCMソングを思い出す方も多いでしょう。ローストが浅めなので、麦本来の香りや味わいを楽しめます。非常にバランスの取れた優しい味わいの麦茶です。

赤ちゃんが母乳やミルクの次に飲むものは、日本では水をほかにすれば(赤ちゃん用に調整された)麦茶が多いんです。これはカフェインが入っていないからなんですが、その記憶があるので日本人は麦茶を飲むと懐かしさを感じます。まさにそのイメージを強く感じさせるのがフジミネラル麦茶です。

◆「夏は体に良い麦茶で水分補給を!」
〜管理栄養士 磯村優貴恵さん


── 麦茶って体にも良いんですか?

そうですね。まず麦茶は大麦を原料とし、それを焙煎して、煮出した飲み物。とてもナチュラルで、体に優しい飲み物です。麦自体には栄養がたっぷり含まれていて、そこから出てくる栄養素もあれば出てこない栄養素もありますが、基本的には焙煎の香りを楽しむお茶ですね。

麦茶独特の香ばしさはピラジンという成分です。あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、この香り成分は血液をサラサラに保ってくれる働きがあります。単純に香りが良いだけではなく、ちゃんと体に良い作用があることがわかっているんです。ピラジンは紅茶や緑茶などの茶葉で作るお茶には含まれていないので、麦茶ならではの成分と言って良いでしょう。

── 麦茶を飲み過ぎると良くないことってありますか?

これは麦茶に限らないんですが、冷たいモノを一気にガブガブと飲むと、水分がうまく吸収できなかったり、お腹を壊しやすかったりするので、せっかく水分補給しようとしているのに効果がありません。そこはお気を付け下さい。

これからの夏場、喉が渇いたときに、500mlのペットボトルを一気に飲んでしまうようなこともあると思いますが、1回に飲む量はコップ半分から1杯(100〜200ml)くらいにしておきましょう。それくらいが体がスムーズに吸収できる量です。夏場の水分補給はこまめにチョコチョコと飲むようにしましょう。

たとえば夏、家を出るときはまだ汗をかいていません。でもそのときからちょっと水分を補給しておくんです。そして汗をかきはじめたらちょっと飲む。こんなふうにチョコチョコと飲むようにすれば、体が急に脱水することもなく、体に十分な水分がある状態をキープすることができます。

── 麦茶は煮出すのと水出しで違いはありますか?

夏場は衛生面の心配があるので、できれば一度煮出してから冷やしたほうが安心ではあります。煮出した後の出がらしは、パックの中から取りだして、ご飯と一緒に炊いて食べることもできます。中身は焙煎された大麦ですから、一種の雑穀米ですね。香ばしさが嬉しい雑穀米になります。

冷やし茶漬けを麦茶で作るのもおいしいですよ。定番は緑茶なんですが、それを麦茶にして、お魚に練りゴマをかけて具にすると、とても香ばしくてサラサラといただけます。最近なら手軽に手に入るサラダチキンを具にしてもいいですね。味が足りないと思ったらお醤油をちょっと垂らして召し上がって下さい。

◆「おいしい麦茶を飲む秘訣」
〜小川産業株式会社 3代目社長 小川良雄さん


── 麦茶はどうやって作っているんですか?

麦茶を作る釜は、イメージとしては横倒しにした茶筒です。真ん中に割り箸を通して茶筒がグルグルと回せるようにして、そこへ麦と砂を入れて焼きます。

砂を入れるのは石やきいもと同じ原理です。石やきいもは釜の中で石に熱を加えて、その熱が芋に伝わることでふっくらと焼き上がります。麦茶も同じように、砂に熱を加え、砂から大麦に熱を伝えるんです。砂だと大麦をまんべんなく包んで一気に加熱できるので、炭水化物の大麦がポップコーンのように膨らみます。そこで麦茶のうまみが出るんだと思います。

膨らまそうと思ったら砂を多めに、膨らみを抑えるには砂を少なめに調整します。とにかく膨らめば良いというモノでもありません。膨らみすぎると大麦がふくれっ面になって「なんでこんなに火を強くするんだ」という顔をしますから。逆に2つ目の釜でキレイに焼き上がったときは「いい色になったよ、ありがとう」とニコニコ顔になります。

── 2つ目の釜もあるんですか?

はい、麦茶は釜を2つ使って焼きます。1つ目の釜は先ほどの茶筒で、火を通すため。2つ目の釜は色付けのためです。あまり加熱を強くしてしまうと甘味が抜けてしまいスカスカの味になってしまうので、そのへんの頃合いが難しいですね。

麦の焼き色は麦茶の濃さに直結するので、ちょうど良い焼き色にするのが技術です。日によって湿気が多かったり、寒かったりすると麦の顔が変わります。その顔を見ながら2つの釜の火加減を調節して、最高の顔にして送り出したいと思いながら麦茶を作っています。

── ティーバッグの麦茶も作っているんですか?

ウチの麦茶バッグは三角形になっていて、紅茶のジャンピングのように中で麦が遊べるようにしています。昔ながらの麦茶はグツグツと煮だしたときに麦がやかんの中で遊んでいました。その香りが絶大に良いので、その状態に少しでも近づけようとして三角形のバッグにしています。

バッグの中には粒のままの麦が入っています。粒の麦を砕いてしまうと、どうしてもエグみが出てしまいますから。透明感があるスッキリとした麦茶を味わうには粒のままが一番だということは、この業界の人間が口を揃えます。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。7月15日(土)の放送のテーマは「滝」。お聴き逃しなく!

<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage


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聴取期限 2017年7月16日 AM 4:59 まで

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