<北朝鮮が核を保有した今、金正恩に時間は味方しない。徹底した「封じ込め」で体制崩壊を待つべきだ>

北朝鮮問題には「いい解決策」が存在しないという見解は、今では定説化している。だが、この説は正しくない。軍事・経済面で圧倒的に不利なのは北朝鮮のほうだ。長期的にみて、彼らが勝者になる公算は小さい。

北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が、質量共に新たな段階に入ったことは確かだ。だが日米韓の3カ国には、その脅威に対処し、北朝鮮の大規模な攻撃を防ぐ能力が十分にある。

アメリカと同盟国に全面戦争を仕掛ければ、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の体制は恐らく崩壊する。北朝鮮にとって体制維持は最大の戦略目標だから、全面戦争を思いとどまらせることは可能だ。

また、北朝鮮問題には軍事的解決策がないという説もよく耳にする。あまりに犠牲が大き過ぎるというのだ。

軍事的選択肢がない以上、外交解決を図るしかないと断言する向きも少なくないが、この説の妥当性は疑わしい。少なくともこれまでは完全な誤りだった。

父ブッシュからオバマまで、4人のアメリカ大統領が外交努力に注力したが、ことごとく失敗した。北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)、92年の南北非核化共同宣言、同年のIAEA(国際原子力機関)との保障措置協定、94年の米朝枠組み合意、05年の6カ国協議の共同声明、12年の米朝合意を全て踏みにじった。

北朝鮮は12年の憲法修正で、自国を核保有国と明記した。現体制が存続する限り、交渉による非核化は期待できない。

【参考記事】ICBMはミサイル防衛システムで迎撃できない

持久戦なら北朝鮮が不利

軍事も外交も駄目なら、選択肢はもうないのか。「圧倒的な反撃の脅威」によって、北朝鮮に大規模攻撃を思いとどまらせることは可能だ。少なくとも過去60年間はそうだった。

さらに豊かな韓国との経済格差の拡大によって、いずれ現体制は変化を余儀なくされるはずだ。北朝鮮の崩壊を何十年待っても実現しなかったという反論もあるが、80年代のソ連についても同じことが言われていた。

持久戦になって苦しいのは北朝鮮だ。アメリカや同盟国ではない。その一方で、将来の北による攻撃または攻撃の可能性に備えて、具体的な対策をいくつか進めていく必要がある。

[2017.7.18号掲載]

ウィリアム・トビー(米ハーバード大学ベルファー科学・国際関係研究所上級研究員)