中国から日本に電話をかけていた振り込め詐欺の「かけ子」とみられる日本人35人が先月、福建省で、中国当局に詐欺容疑で刑事拘束された。日中両国は犯罪人引き渡し条約を結んでおらず、日本が中国に代理処罰を要請する可能性もあるという。35人は中国の刑務所にぶち込まれるかもしれないのだが待っているのは“地獄”だ。

 ニュージーランド人男性のダニー・キャンシャンさんは中国で過剰防衛の罪に問われ、2012年12月まで4年間、広東省にある外国人専用刑務所に服役。その時の過酷な体験をユーチューブで“激白”している。それによると、中国で日用品関連のビジネスをしていたダニーさんはある日、レストランで5人組の男に襲われ、木の椅子で後頭部を殴られた。必死に抵抗したところ、男の1人を死亡させてしまった。過剰防衛で広東省の東莞刑務所へ。

 そこでは家族と連絡も取れず、化学薬品の人体実験もされる。衛生基準も安全基準も、人権もない。自殺は日常茶飯事。囚人が死んでも誰も気にしない。強制労働をさせられ、看守の指示に従わないと殴られ、催涙スプレーをかけられ、口の中に電気ショックを与えられたりするという。

 便器がひとつしかない檻に50人が詰め込まれ、便器が糞尿であふれることも。自分たちできれいにするか、糞尿まみれで寝る。寝ている間に噛んでくる巨大なノミ、ネズミ、ゴキブリ。(眠らせないなどの)拷問を受けるために、15〜30日間隔離され……。

 これは地獄体験のごく一部という。35人が払わされるかもしれない代償は、想像を絶する。

■振り込め詐欺は東南アジア全域に拠点

「海外でメシと家付きのいいもうけ話がある」

 振り込め詐欺グループは、まんが喫茶やネットカフェで、フリーターやニートの男女にこう声をかけ、「かけ子」をスカウトするという。

「後日、航空券を渡されて中国に到着すると、空港まで迎えに来た男に、車でビルの一室に連れていかれる。そこには日本人が数人いて、日本から送られてきた名簿をもとに終日100〜300件、日本に電話している。共同生活のうえ、現金やパスポートを預けているので、簡単には逃げられません」(捜査事情通)

 中国に拠点が移り始めたのは8年ほど前。発信元がバレにくく、日中両国で犯罪人引き渡し条約が結ばれていないからだ。ただ最近は中国人が特殊詐欺の被害に遭うケースが増え、取り締まりが厳しくなったため、タイやフィリピン、ベトナムなど東南アジア各地に広がっているという。