by Gennaro Visciano

インターネット上で人を攻撃したり悪意をまき散らす「荒らし(インターネット・トロル)」には精神病質(サイコパシー)やサディズムの傾向があることがこれまでに発表されていますが、オーストラリアの研究者らが行った調査では、荒らしはある種の「共感力」が平均よりも高いことが示されました。

Constructing the cyber-troll: Psychopathy, sadism, and empathy - ScienceDirect

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886917304270

Psychologists identified the kind of emotional intelligence that makes internet trolls so mean - Quartz

https://qz.com/1021205/psychologists-identified-the-kind-of-emotional-intelligence-that-makes-internet-trolls-so-mean/



オーストラリア・バララット大学の研究者たちは、男女415人のさまざまな性格傾向と、オンライン上で荒らしとなりやすい行動をオンラインアンケートで調査しました。研究者らが特に焦点を当てていたのは、インターネットユーザーのソーシャルスキル、精神病質、サディズム、情動的共感性、認知的共感性での共感など、荒らしになりやすい特定の性質です。情動的共感性とは、自己を投影して相手と同じ気持ちになる「感情移入」の共感であり、認知的共感性とは自分とは異なる状況の相手の様子を推し量ることを言います。つまり、情動的共感性が高ければ相手の感情を自分も体験し内面化するようになり、認知的共感性が高ければ他人の感情を「理解」するようになるのです。そして調査の結果わかったのは、インターネット上の荒らしは「認知的共感性」と「精神病質」という2つの性質のスコアが平均よりも高く、情動的共感性が低いということでした。

「共感性」が高いということは一見すると他者に対して同情する傾向が高いように思えますが、研究者らは「たとえ共感を示していたとしても、精神病質の傾向がある限り、最終的に彼らは他人に対して卑劣な振る舞いをします」と示しています。このような人々は認知的共感性で相手が落ち込んでいるという状況を客観的に「理解」しますが、情動的共感性が欠けているので被害者の感情経験を内面化することなく、攻撃を行うのです。なお、調査において、精神病質の性質を有するか否かは、「仕返しは迅速にかつ卑劣に行わなければいけない」というような文章に同意するか否かを尋ねる、という方法で測定されました。

「精神病質の傾向が高い彼らは、被害者が苦しんでいるのを認識・予測する戦略として『共感』能力を使います。一方で、被害者の感じているネガティブな感情を経験することはないのです」と研究者らは記しています。精神病質の傾向が高い人はスリルを探し求め、衝動的に行動することが多いので、「インターネット上で大混乱を起こすこと」が動機になりやすいとも研究者らは語っています。また、これまでの研究と同じくして、「サディズムの傾向が高い人」や「男性」が荒らしになりやすいことなども、今回の研究結果として記されました。



by Marco Antonio Islas Cruz

Personality and Individual Differencesで発表されたこの研究は、どのようにすれば荒らしの行動を止められるのかという方法について発表していません。しかし、精神病質傾向・認知的共感性の高さと荒らしの行動のつながりについての研究を進めていけば、荒らしのような行動をなぜ起こしてしまうのかという性格傾向の理解が深まり、荒らしの行動に歯止めをつけることができる可能性もあると考えられています。