メートルやフィート、グラムやポンド。世界にはさまざまな「単位」がありますが、なかには聞いただけではイメージできない、呪文のようなものもあるのです。

ここでは、米澤敬さんと日下明さんの著書『はかりきれない世界の単位』より、五劫の擦り切れのように規模が果てしなさすぎる、単位を紹介したいと思います。

雑学として、覚えておいて損はないかも。

01.
「トラサレーヌ」
日光の中に浮遊する塵の量

インド、とりわけ古代のインドでは、単位もどことなくロマンチックで哲学的。

トレサレーヌは、格子を通して入ってくる日光の光線に浮遊する塵の量。どうやって測ったのかはともかく、現在インドの貴金属職人が用いているクリーシュナラ(krishnala)の1/1,296とされています。クリーシュナラは122mg。

02.
「メトン周期」
太陰暦と太陽暦が
シンクロする周期

紀元前433年、アテナイの数学者、メトンが発見した周期。太陰暦と太陽暦が一致する周期で、太陽暦の19年に相当。中国では19年を「章」と呼ぶので章法と呼ばれました。

ただ完全に一致するわけではなく、約0.08681日だけずれるので、219年でその差は1日になってしまいます。

03.
「アラウトゥン」
マヤ文明のもっとも
長い日にちの単位

マヤ文明で設定されたもっとも長い日にちの単位、23,040,000,000日=約63,123,288年に相当。

少し前に、マヤの別の暦単位であるバクトゥン(bak'tun=394.3年)が13回めぐると世界が終わるという噂が流れましたが、現代の暦に対応する2012年12月21日には、何も起こりませんでした。念のため。

04.
「五劫の擦り切れ」
途方に暮れるほど長い時間

落語「寿限無」に登場する単位。劫(kalapa)はヒンズー哲学で、宇宙の誕生から消滅までの時間を意味しました。仏教では、1辺40里(約20辧砲隆笋3年に1度天女が舞い降りて羽衣で撫で、岩がすり減ってなくなるまでの時間。

五劫はつまりその5倍です。億劫の劫も元はこの劫で、億劫とはとてつもない長時間になります。

05.
「ギャラクシー」
銀河の質量単位

ギャラクシーとは、もちろん銀河のことですが、単位では太陽質量の1.6×10の11乗倍をあらわします。宇宙規模の単位では、そのものずばりの天文単位(asutronomical unit)があります。

これは、地球と太陽の平均距離をもとにしたもの。ちょっとわかりにくいのですが、1天文単位の長さが1秒角の角度を張るような距離が、SFでおなじみの1パーセクです。

06.
「アレフ数」
無限集合の濃度、大きさ

アレフ数は無限集合の濃度、あるいは大きさを表すための単位。無限大=∞とは異なります。物指しの1cmの間には無限の点があり、1kmの間にも無限の点があり、整数の数も無限、奇数の数も無限というように、同じ無限にもいろいろあります。

その集合の濃度をあらわすのがアレフというわけです。

07.
「ワット毎ナノメートル毎
平方メートル毎ステラジアン」
分光放射輝度(波長)の単位

公式に使われている単位で、おそらく最も長い名前。分光放射輝度(波長)の単位です。いちいち言うのは大変そう…。

「トレサレーヌ」「アラウトゥン」「ハナゲ」…測れそうもないことを推し量ろうとする事で、科学も文化も発達してきた。本書では、近代化とともに使われなくなった、人間味溢れるちょっとおかしな単位を50紹介。