最近、「音読」の宿題を出す小学校が増えているという。音読とは、おもに国語の教科書の決められた場所を声に出して読む勉強法。宿題として出されると、保護者が子どもの音読をチェックし、上手にできたかどうかのチェックをすることが多い。つまり、保護者にもそれなりに負担がある宿題なのだ。

●解けない問題も声に出すことで、次第に答えがみえる

そんな「音読」だが、チェックをしているママたちにとって「これってそんなに大切?」と疑問に思うことも…。音読が上手にできることは、一体どうして大切なの?

「音読は国語だけではなく、すべての勉強の基礎になるほど、とても重要な勉強法です。実は今の子どもたちって、自分の声を聴く機会があまりないんですよ」

こう話すのは、幼児教育と小学生教育の第一人者として、長年にわたり教師などに研修指導を行っている石川幸夫さん。音読をすると、「脳内の知的活動を司る部分を数多く使う」のだとか。それってどういうこと?

「例えば黙読の場合、言葉は脳の『感覚性言語野』という部分に送り込まれ、文字として認識します。同時に言葉の“意味”を理解しますが、ここでストップしてしまう。しかし声に出して読むと、『感覚性言語野』からさらに『運動性言語野』に送られ、“音声”に変換されます。その音声は耳から聴覚野に入り、再び感覚性言語野で音声確認できるのです」(石川さん 以下同)

つまり、黙読だと目で文字と意味を認識するにとどまるが、声に出すことでより音声に変換され、耳からも理解力が深まる。さらに何度も繰り返し声に出して読み、その言葉を耳で理解することで、先生から指導された時の記憶も自然と想起させる効果が期待できるという。つまり声にだして読めば読むほど、頭の中で文章が明確になってくるのだ。

●幼児期からの環境で音読がうまくできなくなる?

また、音読は正しい日本語と触れ合う機会でもあるという。

「教科書には、その学年で習う重要語句が必ず出てきます。そのなかには、普段の生活で使う言葉や表現ではなく、ちょっと固い言葉も多いですよね。でも本来、日本語はこういった固い言葉が正しい。正しい日本語に唯一対面できるのが教科書であり、“てにをは”の使い方や接続詞の使い方、文末の表現方法、段落の構成なども、教科書で学び取ることができます」

石川さんによると、最近の小学生が声に出して教科書を読むと、書いた通りの文章ではなく自分勝手に読んでしまう傾向があるという。それはどういうことだろうか?

「情報が多すぎるこの時代、子どもたちは幼児期からテレビやゲーム、動画などの影響により、正しく学習する前に耳障りのいい言葉を大量にインプットしてしまいます。つまりそういった言葉がすでに頭のなかに存在し、それが構成されているのです。その結果、入学前にひらがなの読み書きできるほどのスキルがあるのに、教科書を正しく正確に読むことが困難になっています」

正しく文章を読む力を身に着けるには、絵本などを通じて幼児の頃から正しい日本語に接する機会を増やすことも意識したい。そうすれば、その後に始まる小学生の音読の宿題によって、物事への理解力がより高まることにもつながりそうだ。

(高山惠+ノオト)