ロスジェネの痛みを知る

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2000年代前半にロスジェネという言葉が取りざたされました。これはロストジェネレーションの略称です。物心がつくころにバブルが崩壊し、長引く平成不況を体験し、大学へ進学したは良いが、そこも就職氷河期にぶちあたる。すべての場所において希望を欠いた人たちといった扱われ方をされました。

労働の現場

フリーター薫による「どうしてボクには仕事がないんだろう:もう笑っちゃうしかない下流生活」(徳間書店)は、そんな一人のロスジェネの日常生活が記されたものです。いわばエッセイ集というべきものでしょう。本書には、ロスジェネを生み出した経済構造などに対する、不満や批判は存在しません。ただ、目の前の仕事を淡々とこなすだけの姿が描かれています。

コールセンターという場所

著者が働くのは、誰もが知るインターネットプロバイダのコールセンターです。電話をかけてくる人間はパソコンのビギナーであり、ゼロから操作方法を説明、確認してゆきます。当然、何かしらの不満があって電話をかけてくるので、罵詈雑言なども浴びせられます。その中で、著者は精神を病んで薬を服用するようになります。悲惨な環境なのですが、なぜか著者の文体は淡々としています。むしろ、どこへ行っても一緒だと諦めているようにも読めます。若者は希望を持てと言われますが果たしてそれは本当に正しいのだろうか、そんなことを考えさせられる本です。