お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、坂本裕子さん(仮名・IT関連会社勤務・30歳)からの質問です。

「夏の旅行について、いちばんお得に旅する方法を教えてください。海外旅行代理店のてるみくらぶが倒産したこともあり、激安系ツアーには手が出しにくいです」

せっかくお金を払ったのに旅行ができないというような事態を目の当たりにすると、値段だけでお得は判断できないと心底思ってしまいます。でも、やっぱりお得に旅したいというのが本音。森井じゅんさんに聞いてみましょう。

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夏の航空券、お得の王道は「早割」

相談者さんは、てるみくらぶの問題が気にかかっているようですね。実際、てるみくらぶには危険な兆候がありました。旅行の日程よりも随分前から「今月中に振り込んだら」というキャンペーンをやっていたり、現金一括入金限定のキャンペーンなど、資金繰りが相当苦しいと思われるような販売をしていたり。突出して安い料金で募集している旅行パッケージには、なにかウラがあると疑ったほうが賢明です。

飛行機を使う旅行の場合には、パッケージツアーに頼らず自身で航空券を手配するのはどうでしょうか。

できるだけ費用を抑えて旅行に行くことを考えると、王道は早割でしょう。
早割は、予約する時期が早ければ早いほど割引率が高くなり、航空会社により「旅割」や「先得」などとも呼ばれています。

早割の航空券は、基本的に最大で75日前から予約する事が可能で、最大で普通運賃の7割以上割引です。

正規の航空券と比べて安くなる分、キャンセルや日程、座席の変更ができないなどの制約や、マイルの還元率などのデメリットもありますが、割引率の高さは目を見張るものがあります。

しかし、仕事の都合などで3か月も前から旅行の計画ができない、という人も少なくないのではないでしょうか。早割は、割引率が大きく変わるタイミングがあります。早割の運賃は、21日前、28日前で大きく変わります。航空券の早割を利用するときは、1か月前を目安に予約するのがおすすめです。

株主でなくても買える!使える!株主優待航空券

ギリギリまで休める日程がわからない!という方には、株主優待航空券がおすすめです。
株主優待航空券は各航空会社の株を一定数所有している株主が、権利確定日に与えられるもの。ですが、金券ショップやネットなど様々な方法で購入することができます。もちろん株主でなくても利用できます。
当日の航空券の予約にも株主優待券は利用でき、正規運賃の50%割引で予約できます。さらに、株主優待券ならキャンセルや変更も無料で行なう事が可能です。融通がきくという点では、優待券の方が早割よりも、使い勝手がいいと言えるでしょう。

基本は早割の方が安く航空券が購入できるけれど、ギリギリのタイミングで購入する場合や、予定が変わる可能性がある、そんな時には株主優待券の方を利用するといいでしょう。

意外!?夏のLCCは安くない

安い、といえばLCC、いわゆる格安旅行会社であるPeachやジェットスターなどを思い浮かべる人もいるかもしれません。

しかし、LCCに早割はありません。LCCは、空席状況等によって料金が変動するシステムです。ですから早く予約したからといって、安く買えるとは限らないのです。実は、あとから買った方が安かった、なんてこともありえます。

また、連休などの繁忙期には当然料金は上がってしまいます。荷物料金や機内サービスなども別にお金がかかったり、徒歩移動があったりもします。安そうだから、というイメージだけでLCCを利用すると、期待外れになってしまう事もあります。

発着時刻によってさらに予算を抑えることも

また、少しでも安くと考えた場合には、利用する飛行機の便の時間帯も検討しましょう。一般的に、往路便については午前中の早い便が高くなります。逆に復路便は夕方の便が高くなります。

つまり、同じ日数の旅行でも、現地の滞在時間が長くなる便利なフライトは料金が高くなるということ。また、朝や夜の便と比べて昼の時間帯の便は安くなる傾向があります。朝や夜を避けて昼の便を選ぶのもひとつです。

自分で夏休み期間を決められる人はパッケージツアーのパンフレットをチェック

夏休みの期間を自分で決られるという人は、繁忙期を避けて日程が組めますね。できることならば、ゴールデンウイーク・夏休み・冬休み・お正月・春休みなど、国民の大部分が休みになる時期は避けたいところ。こういった時期は料金も高くなりますし、予約もしにくくなります。人と休みがずらせるのであれば、それを活用しない手はありません。

いつに旅行をするか、価格が安くなる目安として活用してほしいのが、旅行会社や駅で頒布しているパッケージツアーのパンフレットです。料金表が出発日により料金が色分けされていますので、日程と料金の関係が分かりやすいです。

LCCと早割、どっちがお得?



■賢人のまとめ
航空券の場合、1か月以上前から日程が確定しているのならLCCよりも早割のほうが安く快適な旅行ができます。ギリギリまで休める日程がわからないという場合には、株主優待券を。株主でなくても、金券ショップやネットなどで購入できます。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。