晴れた日の夕方は、空が赤く染まって絶好のシャッターチャンス。燃える太陽を大きく捉えて、安らぎや癒やし、郷愁を表現したり、色づいた斜めからの光線によってドラマチックなイメージを作り出したりできる。そんな味わい深い夕景をきれいに撮る4つの基礎知識とカメラの基本となる設定を紹介しよう。

 

【基礎知識1】

夕日が沈む西側の空を狙え

夕焼けは西側の空を中心に広がる。したがって、鮮やかな夕焼け空を撮るには、西側の空ができる限り地平線近くまで見渡せる場所を選びたい。自然風景なら西側に海や湖、丘、草原がある場所、都会なら西側が見える展望台などが狙い目だ。東の空は鮮やかさという点では西の空に見劣りするが、夕日そのものではなく、夕日を浴びて赤く染まった被写体を捉えることができる。

 

夕景を撮るための前提として、撮影地における日の入りの時刻や方角を把握しておくことは欠かせない。情報は検索で簡単に知ることができるし、「日の出・日の入り時刻・方角マップ」(http://hinode.pics/)のような専用のサイトやアプリを利用するのもおすすめだ。そして、遅くとも日の入り時刻の1時間〜30分前には現場に到着し、撮影の準備を始めること。

↑「日の出・日の入り時刻・方角マップ」では、Googleマップ上をクリックすることで、指定した日の日の入りの時刻と方角を知ることができる

 

↑夕日の光を浴びて、雲や軍艦が部分的にオレンジ色に輝いていた。そんな印象的な光景を捉えた

 

【基礎知識2】

撮影のベストタイムは日没前後の約30分

空の色は時間を経るごとに徐々に変化していくが、特に日没前後の約30分は色の変化が大きく、薄い黄色からオレンジ、赤、紫といった具合にさまざまな色彩が楽しめる。このシャッターチャンスにたくさんのバリエーションを撮っておこう。

 

太陽が沈んだからといって撮影を終わりにするのはもったいない。日の入り後もしばらくの間は、大気中の塵による光の拡散によってうっすらとした明かりが残る。この「薄明」の時間は、マジックアワーやマジックタイムとも呼ばれ、風景を幻想的な雰囲気で表現できる。

↑この写真は日没30分前に撮影。最も赤みが増す時間だ

 

↑日没後に撮影。この時間は色彩豊かな空のグラデーションが臨める

 

【基礎知識3】

ホワイトバランスは「太陽光(晴天)」モードに

ホワイトバランスを初期設定の「オート」のままで撮った場合、夕日の赤みが補正され、見た目よりも色が薄く写ってしまうことがある。夕景の赤さをきちんと表現するには、ホワイトバランスを「太陽光(晴天)」モードに設定しよう。

 

撮影モードは、構図を変えながらたくさんの枚数を素早く撮るなら、絞り優先オートが役立つだろう。オートの設定値では明るすぎて太陽の輪郭が白とびする場合には、適宜マイナスの露出補正を加える、またはマニュアル露出を利用するといい。また、デジタルカメラの高画質を得るために、ISO感度は100〜200の低感度にセットするのが基本となる。

 

三脚については必須ではないが、あれば便利だ。日の入り前までは結構な明るさがあるので手持ちでも問題ないが、日の入り後のマジックアワーを低感度で撮るには三脚が欲しい。

↑ホワイトバランス「オート」で撮影。見た目よりも赤みが弱く、どこか寂しい印象だ

 

↑ホワイトバランス「太陽光」で撮影。夕空の色味をしっかりと再現でき、肉眼に近い印象に仕上がっている

 

【基礎知識4】

色づいた部分を広くフレーミングしよう

夕景写真の構図は、色づいた部分を広くフレーミングすると、その鮮やかさを強調できる。この際、夕日そのものを主題にする場合は、焦点距離が200ミリ相当以上の長めのレンズを使おう。肉眼では大きく見えても、写真に撮ると小さかったということはよくある。夕日が画面に写る大きさは焦点距離に比例するので、望遠レンズほど夕日を大きく捉えることができる。あえて夕日を入れずに、逆光で輝く水面や順光で赤く染まる雲などをフレーミングしても印象的に仕上がる。

↑夕日を主題にしつつ、脇役として船を配置した。280ミリ相当の画角で撮影

 

↑上の写真と同じ場所だが、こちらは夕日で輝く海面を大きく捉えることで、夕景らしさを表現している

 

【基礎知識5】

夕景撮影時のカメラの基本設定

「撮影モード」 絞り優先オートがおすすめ

手軽に撮るなら、絞り優先オート(AモードまはたAvモード)がおすすめ。撮った写真を背面モニターで確認しながら必要に応じて露出補正を加えるといい。またマニュアル露出(Mモード)も便利。マニュアル露出は、フレーミングを変えても露出が変化しない点が使いやすい。

 

「絞り&シャッター速度」 画質重視ならF5.6〜F8に

画質重視なら、絞りはF5.6〜F8程度の中間絞りがおすすめ。光量が強すぎて太陽が白とびする場合は、F11以上に絞り込もう。シャッター速度は絞り値に対応した値でいいが、日没後に手持ちで撮るときは、シャッター速度が遅くないかも確認すること。

 

「ISO感度」 日の入りまでならISO100〜200に

天気がいい日の、日の入りまでの時間なら十分な明るさがある。画質を無駄に劣化させないようにISO100〜200で撮影しよう。日の入りを過ぎて暗くなってくると、ISO100では手ブレが生じる場合がある。感度を上げる、または三脚を使って対応しよう。

 

「露出」 マイナス0.3〜1程度の露出補正を

シーンにもよるが、オートのままでは見た目よりも明るめに写りがちなので、マイナス0.3〜1程度の露出補正を適用するとバランスのいい明るさになりやすい。判断つきかねる明るさであったら、露出をずらしながら複数のカットを撮っておくのもいい。

 

「ホワイトバランス」 太陽光(晴天)モードに

見たままの色味で撮影できる、プリセットの「太陽光」が基本。さらに赤みを強めたいときは「曇天」や「日陰」にするのがおすすめ。逆に青みを加えたいときは「電球」に、紫っぽくしたいときは「蛍光灯」にそれぞれ設定するといい。

 

「仕上がり設定」 スタンダードorナチュラルがおすすめ

通常は、初期設定の「スタンダード」や「ナチュラル」のままで問題ない。ホワイトバランスの変更ほどの効果はないが、赤みを強くしたいときは「ビビッド」や「風景」に切り替えてもOK。メリハリを強調したいときは、詳細設定のコントラストをプラス側にセットするといいだろう。

 

「階調補正」 シルエット描写ならOFFに

鮮やかな夕空とシルエットになった地上風景というようなメリハリのある夕景写真を狙うなら、階調補正はOFFにしておこう。地上風景をシルエットにせず、暗部を明るくして階調豊かな写真にしたい場合はONにしてもいいが、メリハリはなくなる。

 

「ピント合わせ」 基本的にAFでOK

基本的にはAFのままで問題ないが、逆光によってAFが合わなかったり、迷ったりする場合はマニュアルフォーカス(MF)に切り替えよう。また、太陽狙いであっても、太陽と地上風景などを絡めて撮るときは、地上にピントを合わせるのもポイントだ。

↑絞り優先オート F8 1/640秒 -0.7補正 ISO100 WB:太陽光 仕上がり設定:スタンダード 階調補正:OFF