【詳細】他の写真はこちら

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」



現在所有するユニーカーは約1000足! 世界中のマラソンレースに出場する南井正弘が、ランナー目線で綴るデジタルの”グッとくる話”

南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」連載一覧ページ

オランダのアムステルダムに本拠を置くTomTomは、日本ではまだそれほど知名度が高くない。が、GPSマッピング技術やカーナビゲーションシステムを手掛けるブランドとして、欧米では高い評価を得ているブランドだ。

ヨーロッパでは携帯型ナビゲーションシステム(PND)で6割のシェアを獲得し、自動車専用ナビゲーションではシェアNo.1となっている国も少なくない。そんなTomTomが得意とするもう一つのカテゴリーがスポーツウォッチ。古くからのランナーには、かつてナイキ向けにGPS搭載ランニングウォッチをOEM供給していたブランドとして知られている。高精度なGPS機能やユーザーフレンドリーな操作方法etc……によって、フランスではNo.1ブランドに君臨するなど、こちらも高いシェアを誇っている。そんなTomTomから新機能「ルート探索機能」を搭載した高機能ランニングウォッチである『TomTom Runner 3』がリリースされたが、早速その機能性の高さを体感することにした。



TomTom

Runner 3 Cardio+Music

実勢価格:3万5780円

筆者はこれまでにも同社のGPSランニングウォッチの代表作である『TomTom SPARK GPS』を使用しており、このモデルを使用してシドニーマラソン(ハーフマラソンの部)を走り、その機能性の高さや優れた操作性を体感している。今回登場した『TomTom Runner 3』は、基本性能や操作のインターフェイスをキープしつつ、前述のように新たな機能として『ルート探索機能」をプラスしたモデル。長方形を基調としたTomTom独自のデザインはそのままで、時計本体サイズも従来モデルと同寸としたことで、これまでのベルトを交換しての使用も可能だ。



▲初めて触ったユーザーでも安心して使用できる優れた操作性は健在。

今回実際に使用してみると、その装着感のよさや使い勝手のよさは従来のTomTomシリーズの製品譲りであることを確認。しばらく走った後に、今回装備されたナビゲーションの画面に切り替えると、これまで走行した軌跡と出発点が家マーク、現在地が矢印で表記される。表示サイズは100m、500m、1kmの3段階の切り替えができるので、その用途に最適なサイズが選択可能。



▲ナビゲーション地図の表示サイズは100m、500m、1劼3段階の切り替えができる。

例えば知らない街を走っていて、道に迷ってもこのナビゲーションマップで家マークを目指せば、確実に出発地点に戻ってくることが可能だ。さらにあらかじめ走りたいコースを時計にダウンロードしておけば、その表示通りに走ることで道に迷うこともない。曲がり角などでは拡大表示にすれば、進むべき方向が一目でわかりさらに安心だ。



▲新たに追加された「ルート探索機能」は本当に便利。見知らぬ街でも家マークの方向に走ればスタート地点に戻ることが可能だ。

一方で残念なのが、コース登録の際のデータ収集が、TomTomの自社サイトだけで完結せず、サードパーティのサイトに頼っているところ。オンラインマニュアルにも「Strava.com、RidewithGPS.com、Mapmyrun.comなどのサードパーティのWebサイトからGPXファイルをダウンロードします」と書かれている。自分が過去に走ったことのあるコースに関しては「TomTom My sports」サイト経由でダウンロード可能だが、ナビゲーションの本来の特性としては、走ったことのないコースのガイド役の意味が大きいと思うので、この部分は改善してほしい。



▲走行データはこれまで通り、「TomTom My sports」において管理、分析が可能。

ちなみにライバルブランドであるSUUNTOの自社サイトでは、他のランナーの走行コースデータを自由にダウンロード可能で、見知らぬ土地でのランニングナビゲーションに活用できる。あと、スマートフォンと連携した通知機能がないことも個人的には物足りない。筆者は現在アップルの『Apple Watch Series 2』とSUUNTOの『Spartan Ultra』をメインの腕時計として使用しているが、両モデルともInstagramやFacebookといったSNS、Gmailの通知機能に対応しており、これに慣れていると、通知機能のない腕時計を普段使用する気にはならない。ランニング時にポケットからスマートフォンを出さなくていいということは、それほど便利なことだからだ。

しかしながら『TomTom Runner 3』を純粋にランニング用GPSデバイスとして見た場合、その機能性は高く、今回筆者がテストした心拍測定に対応し、音楽も本体に時計本体に保存できるタイプ『TomTom Runner 3 Cardio+Music』で3万5780円と他ブランドと比較してリーズナブルな価格設定は嬉しいところ。さらに音楽を時計本体にダウンロードする必要はないと考えているなら、『TomTom Runner 3 Cardio』は2万8760円で購入することができる。

このように『TomTom Runner 3』は、『Apple Watch Series 2』などと比較すると日常生活における便利さは劣るものの、ランニングを始めとしたスポーツ用途のみの使用を想定した場合、そのコストパフォーマンスは高く、オススメの一本に挙げられるのだ。

文/南井正弘

みないまさひろ/フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。

※『デジモノステーション』2017年8月号より抜粋