カラス。仏パリのルーブル美術館近くの広場で(2012年3月22日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】頭の良い鳥として古くから知られるカラスだが、この鳥は「先の計画」を立てる能力も持っているとする研究論文が13日、発表された。この「未来計画」能力をめぐっては、これまで人と大型類人猿だけが持っているものと考えられていた。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された論文によると、研究では大型種のカラスであるワタリガラスを対象に一連のテストを実施。その結果、この鳥に先の課題に関する重要な情報を記憶できる能力があることが明らかになったという。

 さらに驚くべきことに、自然界では起こり得ないであろう道具の使用や物々交換などの行動においても、カラスはその能力を発揮した。

 これまでの研究では、カラス科の鳥の一部に、後で食べるために餌を隠しておくなどの先を見越して計画を立てる能力があることが判明していた。だが今回の実験では、カラスが後でさらに良いご褒美を得るために、目の前のご褒美に飛びつくのを賢く自制できることも明らかになった。

 実験の一つでは、ご褒美が入った箱を開けるために道具を使用する訓練をカラスに施した。

 実験中、カラスに箱のみを与えて道具を渡さない時間をほんの少しだけ設けた。その1時間後、箱を開ける道具をカラスを混乱させるためのいくつかの品物とともに与えてみた。

 すると、「ほぼすべてのカラスが、箱を開ける道具を正しく選択した。15分後に箱を提示すると、カラスはその箱を開ける道具を使用した。成功率は86%だった」と、その結果が論文に記された。

 別の実験では、カラスはご褒美と物々交換するための「引換券」も使用することができた。これによりカラスは、未来の物々交換を計画する能力において、類人猿より高いことが証明された。

 最後の実験では、箱を開ける道具とその場ですぐにもらえるご褒美をカラスの前に提示し、どちらか一方しか選べないようにした。

 論文によると、カラスはすぐもらえるご褒美より箱の中身の方が良いものであることを覚えていて、「類人猿で観察されるのと同レベルの自制行動」を示したという。

■動機は不明…人と似ている?

 サイエンス誌に論文と同時掲載された総説記事によると、カラスの計画行動の動機についてはまだ不明だが、われわれ人のそれと似ている可能性があるという。

 この中で、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の心理学者、マルクス・ベックル(Markus Boeckle)氏とニコラ・クレイトン(Nicola Clayton)氏は「人の脳は、現在および未来の出来事に関する意思決定の指針とする目的で、過去の出来事の記憶を蓄積している」と指摘した。

 また、計画行動については、未来の報酬の価値が高いことが明白である場合や、未来に餌を回収することでもたらされる幸せを想像できる場合などに起こる傾向があると記し、「カラスにとっても人とまったく同様に、記憶は過去のためというよりむしろ未来のためのものなのだ」と説明している。
【翻訳編集】AFPBB News