今年も華やかな「サマンサタバサレディース」がイーグルポイントゴルフクラブ(GC)に戻ってきた。初夏の3日間、女子プロたちの熱い戦いがスタートするが、今回の注目は、なんといっても青木瀬令奈であろう。


今季、ツアー初優勝を飾るなど、好調を維持する青木瀬令奈

 ホステスプロであることももちろんだが、今年はここまで安定した成績を残しており、6月のヨネックスレディスゴルフトーナメントで初優勝を飾った。プロ7年目を迎え、積み重ねてきた力に結果がようやく追いついてきており、「ツアー2勝目をここで挙げられたら」と、優勝への意欲も非常に強い。

「この大会は、一昨年は気合が入り過ぎて予選落ちして、昨年もギリギリ通る感じだったんです。でも、今年は優勝していい流れでこの試合を迎えられて、精神的にも充実しています。みなさんがすごく注目してくださっているのがわかるので、その期待に応えたいですね。それに3年前、仲良しの(成田)美寿々と同期の香妻(琴乃)がプレーオフで優勝を争って美寿々が優勝しましたし、一昨年は(ホステスプロの)原(江里菜)さんが優勝を争って盛り上がりました。今年は自分がっていう気持ちがすごくあります」

 優勝を狙うだけの確かな自信が今、青木の中に膨らんでいる。今シーズン前のオフ期間、青木は厳しいトレーニングを重ね、打ち込みを入念に行なった。その必要性に気づかされたのは、昨年のシーズン終盤の出来事だった。

「移動の疲労などが重なり、右ひざに痛みが出たんです」


 全国を飛び回る女子プロゴルファーは、自分で運転して各大会を回ることが多い。移動距離は年間数万キロにもが及ぶ。長距離のドライブは疲れている体にさらに負担をかけ、いろいろな部分に異変を起こす。それが青木の場合、右ひざだった。

 痛みのために、右ひざをかばおうとして今度は腰や足首にも影響が出て、疲労も抜けなくなった。下半身が満身創痍では戦えるはずもなかった。そのためにシーズンオフでのトレーニングに力を入れたのである。

「最初はトレーニングとか、絶対嫌だなって思っていたんです。でも、トレーナーとスイングコーチとしっかり話し合って、必要だなって自分の中で思えたので取り組むようにしました」

 シーズン中も体のバランスを維持するためにトレーニングを欠かさず、ストレスのない生活を心がけた。その結果、飛距離が戻り、トーナメント初優勝にもつながった。

「ひとつ結果が出たことで、やってきたことへの自信がつきましたし、”勝ち”という部分で自分の中の引き出しが増えたので、すごくうれしかったです」

 勝者にしか得られない自信を武器にサマンサタバサレディースでの優勝を狙うが、プロとしての華やかな部分も青木は手を抜かない。

「今回、(所属の)選手それぞれカスタマイズしたウエアを着ています。私は今年のラッキーカラーが赤ですし、優勝した時も赤だったので、この3日間、何かしら赤を入れてコーディネートしたいなって思っています。ネイルもサマンサタバサ仕様にして、バッグの柄と同じものにしています。あと、ストーンが乗っているんですけど、これは優勝した時にもネイルに乗せていたので、そういうゲンも担いでいます」


今週は「ネイル」も気合いを入れて

 青木は今年、トップ10に入る度に時計を1個購入することを決めている。カラーの違う時計を持ち、ウエアに合うようにスタリングしているのだという。

「みんなが見ていて楽しくて、ああいうコーディネートしたいなって思ってもらえるようになりたいですね」

 戦闘服のウエアは準備万端だ。

 サマンサタバサレディースの会場であるイーグルポイントGCは、今回17番、18番のコースが延長になった。特に18番は28ヤード延びて395ヤードになり、ティーショットを右に置くと、セカンドを打つ時に大きな木が邪魔になる。そこを含めて、どのように攻略するのだろうか。

「勝負どころの18番ですが、以前なら飛ばし屋の人は右の大きな木なんて気にせずという感じだったと思うんですけど、今回は割り切って、しっかりフェアウェーをキープすることが必要でしょうね。

 あと、毎年グリーンが柔らかいので、本当にピンをデッドに狙っていける人が上位に来ているので、そこは攻めないといけないですね。意外とフェアウェーは狭いし、馬の背になっていたりするので、きちっと置くところを考えてティーショットを打たないといけない。(グリーンに)乗ればいいかなって感じで打つと3パットしたりとか、甘さがスコアに出てしまうので、とにかく全体を通して攻めの気持ち、強い気持ちでプレーすることですね」

 試合には多くのギャラリーが訪れる。あまり多すぎると集中できない選手もいるが、青木はむしろ多いほど燃えるタイプだという。


「前は私も見られるのがあまり好きではなかったんです。でも、データを見ると、自分は1番、9番、10番、18番のボギー率が低いんです。応援してくださる方が多いと自分もがんばろうって思えるし、実際、結果にもつながっています。今はギャラリーの応援に応えるためにどうしたらいいのかっていうのも考えていて、声援に大きく手を振ってみたりしています(笑)。『ドラゴンボール』の元気玉じゃないですけど、みなさんの応援や『がんばって』と声をかけてくださる熱意が、そのゲームの流れを変えてくれると思うので、すごく大事に思っています」

 3年前、成田と香妻が争う中、そこに自分がいない悔しさを噛みしめた。

 しかし、今、青木は83期生の中でも先頭集団を走るひとりとなり、親友の成田を追い越す勢いがある。もちろん他にもライバルは多いが、2ヵ月連続で優勝を果たす可能性は十分にある。

「最終日15位内にいるとチャンスがあると思うんです。そこから勝つためには攻め切るしかないです。(ホステスプロの)私もここで勝たないと、というのもあるので(笑)。ここで勝てたら、みなさんに最高の恩返しになるし、大会も盛り上がると思うんです。最後、優勝スピーチで『お疲れサマンサ』って、今年は私が言いたいですね」

 何度も口にした「攻めの姿勢」その気持ちと今年培ってきた自信が合致すれば、最終日、最終ホール、多くのギャラリーの前での青木のガッツポーズは必然になるはずだ。

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