kou / PIXTA

これは、東京から地元にUターンするにあたり、

デザイナーを辞めて介護の現場に飛び込んだ筆者の、介護にまつわるお話です。

※ これまでの記事を読む

■知っているようで、よく知らない「認知症」について

NOV / PIXTA

これまで介護の職場で見てきた「認知症(以前は痴呆症と呼ばれていました)」のご高齢者がどんな感じなのか、

身内や身近なところにお年寄りがいない読者のために、簡単に紹介したいと思います。

もちろん、認知症にも高齢者にも個人差があり、

しかも筆者が見てきた人たちが、すべての認知症・高齢者を代表しているわけではありません。

あらかじめ、ご了承をお願いいたします。

なお、認知症は病名ではなく、記憶力や判断力が著しく低下して、日常生活に支障が出ている状態を言います。

介護施設の現場で遭遇する、メジャーな4大症状をご紹介しましょう。

■介護施設のご高齢者あるある その1:帰宅願望

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

夕方になると、「どっこいしょ。おら、家さ帰(けぇ)る」と宣言して、施設外に出ようとします。

夕方に帰宅願望が出る症状は「夕暮れ症候群(シンドローム)」とも呼ばれます。

日が暮れると、「夕飯の支度をしないといけない」と、昔の記憶が突然よみがえって行動に出てしまう、認知症高齢者に見られるパターンのひとつですね。

職員が「外はもう暗くなってきたから、明日の朝に帰りましょうね」と言って納得する方と、

意地でも「帰る!」と言い張って、玄関に通じるドアに突進する方がいます。

この対処法は、言葉で説得してもダメな場合、一緒に外に出て少し敷地内を歩くというもの。

帰宅願望は、家族に無理やり施設に連れてこられた(と本人が思い込んでいる)認知症の方に多く見られます。

旦那さん、または奥さんに先立たれてひとりで暮らしている高齢者が、息子さんや娘さんに心配されて施設に入れられる場合も、帰宅願望が出やすいようです。

■介護施設のご高齢者あるある その2:頻尿

shizuka / PIXTA

日中や夜間、30分毎にトイレに行く人(ひと晩で10回以上)がいます。

1日に8回以上トイレに行く人は「頻尿」とみなされます。

原因は、主に膀胱炎や前立腺肥大、利尿作用のある薬の影響などが挙げられます。

何回もトイレに行き、ちょっとだけ排尿するのがよくあるパターンです。

不穏時(精神的に不安定な状態)にも、トイレの回数が増加します。

頻尿により夜中に十分な睡眠が取れないと、認知症の症状が悪化してしまうようです。

まだ若くてもトイレが近い方は、早めに泌尿器科を受診してください。

頻尿が続く施設の高齢者は、病院の専門医や、かかりつけのクリニックで診察してもらい、夜間にトイレ回数が減る薬、睡眠導入剤などを処方してもらいます。

いくつになっても、眠りの質は健康的な日常生活を送る上で重要になります。

■介護施設のご高齢者あるある その3:もの忘れ

gontabunta / PIXTA

老化による単なる物忘れと認知症は異なります。

認知症は、脳の機能障害により、「短期記憶(当日の朝に食べた朝食の内容、ニュースの内容を記憶している、などなど)」が残らない状態です。

直近の出来事はすぐに忘れますが、昔の出来事はよく覚えているようです。

「おら、メシ(ご飯)まだ食ってね」と訴えたり、「おらの歯(入れ歯)どこさ行った?」と、職員に何度も繰り返し同じことを尋ねます。

「あの俳優の名前が出てこない……」程度なら、老化による物忘れの範囲ですから、ご安心ください。

認知症が進んでくると、時間や曜日がわからなくなってきます。

さらに症状が進行すると、時間や空間の概念が消失します。

kou / PIXTA

徐々に、イスに座ってぼ〜っとテレビを眺め(見ている番組の記憶が、すぐに消えていきます)ているだけの無気力な老人になってしまいます。

自宅でお年寄りと同居している方は、「おばあちゃん、危ないから座ってて!」などと言って、高齢者から日常の簡単な仕事まで取り上げないようにしたほうがいいですよ。

特に趣味がない独り暮らしの方は、認知症のリスクが高まります。

好奇心旺盛で、お話するのが大好き、身体をよく動かしている、といった方は、今から心配する必要はないでしょう。

■介護施設のご高齢者あるある その4:物盗られ妄想

東北の山親父 / PIXTA

「部屋に置いていた財布を盗まれた!」、

「誰かが部屋に入ってきて、おらの大事なこけしを持ってった!」などと大声を出して訴え、大騒ぎする方が時々います。

自分が失くしたり、どこかに置き忘れたり、などという自覚がなく、完全に妄想です。

「物盗られ妄想」は、認知症の初期に見られる症状。

家族の誰かが言い出し始めたら、「もの忘れ外来(認知症外来)」のある病院へ連れていった方がいいでしょう。

siro46 / PIXTA

しかし、自分の息子や娘に指摘されても、頑固な高齢者はなかなか病院へ受診しに行きません。

認知症は、初期段階で治療すると症状を悪化させずに済むので、対象者の仲のいい友人に勧めてもらったり、日頃から認知症について家族全員で学ぶといいのではないでしょうか。

この他、異食(ボタンやウ○コなどを、食べ物と思い込んで口に入れてしまう)や

徘徊(夜中にガバッ!と起きて、廊下や室内を歩き回る)といったものもよく見られます(こちらは、別の機会に書いてみたいと思います)。

ストレスや睡眠不足も、じわじわと脳にダメージを与えます。

若くても、無理は禁物、と申せましょう(続きます)。