宇宙旅行の「Xコア」が全社員を解雇 売却先を模索し事業継続へ

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米国の宇宙ベンチャー、エックスコア・エアロスペース(XCOR Aerospace)は、昨年従業員の半数を解雇していたが、残りの全従業員についても解雇することを明らかにした。同社によると、事業は今後も継続するという。エックスコアは声明で次のように述べている。

「財務状況の悪化により、2017年6月30日付けで全社員を解雇しました。一部の従業員とは業務委託契約を結び、当社の知的財産の維持を図ります。現在は、再び社員を雇用して事業活動を再開するために、あらゆる手段を模索している最中です」

CEO代理でエックスコアの取締役であるMichael Blumによると、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)とのエンジン開発に関する契約を失ったことが、今回のレイオフの引き金になったという。「ULAからは、当社が開発中のリンクス(Lynx)宇宙船のプロトタイプを製造する上で十分な報酬を得ていたが、契約を打ち切られたため、新たに資金を調達するか、共同開発するパートナーを探す必要に迫られた」とBlumは話す。本件について、ULAはコメントを拒否している。

Blumによるとエックスコアは危機的な状況にも関わらず、今後も事業継続を目指すという。「当社の初期投資家たちの協力を得て、コアな人材と業務委託契約を結んで事業開発やジョイントベンチャー、資金調達などの活動を行っている」と彼は話す。

エックスコアの事業には、二つの柱がある。一つは、ロケットのエンジンと部品の製造で、もう一つはリンクス宇宙船の開発だ。「現在、多くの関心を集めているのはリンクス宇宙船の開発の方だ」とBlumは言う。

英ヴァージンは豊富な資金力で開発を継続

一方、業界アナリストのBill Ostroveは、スペースツーリズムの低成長がエックスコアの凋落の一因になったと指摘する。

「スペースツーリズム市場が当初予定されたほど成長しなかったために、エックスコアは資金繰りに窮した。同社の最大のライバルであるヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)も、スペースツーリズムから人工衛星の打ち上げへの事業転換を迫られた。それでもヴァージンが有利なのは、大富豪のオーナーであるリチャード・ブランソンが投資を続けてくれることだ。これに対し、エックスコアはスペースツーリズムの低成長の影響を今後も受け続けるため、将来の展望は厳しいと言わざるを得ない」とOstroveは話す。

エックスコアは、2016年に従業員の半数を解雇しており、創業メンバーの多くも既に会社を去っている。最近では、元CEOのJay Gibsonがトランプ政権より国防総省の幹部ポストに指名されて退職している。

Ostroveはこうした状況下でもエックスコアにはチャンスが残されているという。「エックスコアは、魅力的な買収ターゲットになり得る」と彼は指摘する。

Blumも、他社からの買収提案には門戸を開いている。「我々は、適切なパートナーからの買収提案に応じる用意がある。エックスコアには高い専門性と、大手企業にはない迅速な開発能力があり、買収に関心を持つ企業は少なくないだろう」と彼は言う。

エックスコアの復活の鍵が事業売却にあるのか、追加増資にあるのか、他社との共同開発にあるのかは不明だが、「会社は死んでいない」とBlumは強調している。