『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』を上梓した、アナリストの高辻成彦さんに聞く、ビジネスリサーチの基本とは?連載第7回目では、取材のコツを紹介します。

有識者へ取材は、リサーチの初期段階に有効

 これまでの連載では、主に、公開されている一次情報を使ってリサーチする場合について、解説しました。
 しかし、公開情報では調べられないこともあります。

 そこで、今日は、公開情報では調べきれない点を補強したり、集めた情報の確度を上げるのに有効な、「取材活動」について解説しましょう。
 
 情報収集の初期段階で行う取材活動は、有識者への取材です。
 有識者とは、専門分野を有する大学教授やコンサルタント、調査会社のリサーチャーなどです。

 調査の初期段階では、まだ業界の見方そのものがわからないと思いますから、質問項目をあらかじめ準備した上で、有識者の見解を聞くのがいいでしょう。
 この段階では、リサーチ分野の全体像をつかむことが目的になりますので、業界構造や主要プレイヤー、市場シェア、最近のトレンドなど、業界のサマリー情報を聞くといいと思います。

有識者のコメントは、仮説の裏付けとしても使える

 有識者への取材は、アウトプットを出す際に、説得力を増す材料にもなります。
 たとえば、リサーチ報告書をまとめるときに、業界に関する自分自身の見解を述べることはもちろんいいのですが、「〇〇によると〜」など、専門家の見方を付加した方が、より説得力が増すことでしょう。

 また、情報収集の初期で新聞記事を集めたくらいの段階では、新聞記事の内容の真偽の見極めもつかないと思います。そういった記事の真偽を、有識者に質問してみるのもいいでしょう。

 有識者への取材をよく行っているのはマスコミです。
 ある事態が起きた際に、有識者を取材して報道することがよくあります。

 これは、さまざまな分野を日々扱うマスコミにとって、すべてを最初から自分でリサーチするだけの時間的ゆとりがないために、有識者への取材を行い、有識者の見解を伝えることで、ニュースの見方を伝えているのです。

フィールド調査は認識のズレの解消が目的

 別の観点での取材活動として、フィールド調査があります。
 フィールド調査は、調査対象に関する場所を訪問し、現地を観察する調査で、フィールドワークともいいます。

 公開情報による調査では、実物を見ていないため、自ずと想像できることに限界があります。
 「百聞は一見に如かず」と言いますが、現場を訪れることで認識のズレを修正し、分析結果を補強するのが、フィールド調査の目的です。
 フィールド調査は、生産設備、店舗、営業拠点、物流施設など、さまざまな場所が対象になります。

事業会社へ取材する

 さらに有効なのは、事業会社への取材です。

 証券会社のアナリストやマスコミの記者は、広報・IR担当を窓口にして、取材活動を数多く行っています。
 しかし、一般の方の場合、取材するのはなかなか難しいと思います。
 それでも、事業内容についての基本情報の問い合わせには、どこの事業会社でも対応していると思います。

 会社によっては、業界団体より詳細な業界情報を持っている場合もありますので、聞いてみるといいでしょう。