【六川亨の日本サッカー見聞録】久保建英がトップチームの練習に合流。期待されるJ1デビュー

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▽7月12日の天皇杯の3回戦は、筑波大学の快進撃が続いている。2回戦の仙台に続き、3回戦では福岡にも完勝した。その12日は、天皇杯の2回戦で長野にPK負けを喫したFC東京の取材で小平グラウンドを訪れた。

▽午前中にもかかわらず、うだるような暑さの中で、8対8のゲームを3グループで繰り返していた。昨日は新外国人選手の張賢秀(チャン・ヒョンス)と、リッピ・ヴェローゾの加入が正式発表されるからだ(発表は午後5時以降)。チャン・ヒョンスは韓国代表DFで、3年半前にもFC東京に在籍した。大学卒業後、初めてプロのキャリアをスタートさせたのがFC東京だった。

▽リッピは20歳のブラジル人で、かつてFC東京やG大阪で活躍したルーカスの紹介で、6月から練習生としてプレーしていたが、晴れてプロ契約を結ぶことができた。縦はハーフコートで、横幅を狭めたピッチで、チャン・ヒョンスは3DFのCBでプレー。キャプテンの森重が足首の負傷で離脱しているだけに、彼の加入はチームにとっても心強いことだろう。

▽そんなチャン・ヒョンスと同じ白いビブスを着て、中盤で俊敏に動いている選手がいる。いったい誰だろうと確認したら、久保健英だった。トップチームの選手に混じっても、当たり負けせず、プレースピードも遜色はない。チームメイトの足を引っ張るどころか、互角にプレーするあたり、並の16歳ではないことが伺い知れる。

▽そしてゲーム中は、彼独特の、ボールが欲しい時に手の平を上に向け、指を内側に「来い」という合図を味方に送る。無駄に動かず、ほんの一瞬の間にポジションを変えることでフリーになる巧さは相変わらずだ。

▽篠田監督は「久しぶりにトップチームに入ってきても、いいプレーを見せた」と褒めつつ、「ボールを失う回数が目立ったので、一緒に練習すれば馴染んで行くだろう」と、今後もトップチームで練習させることを示唆していた。

▽このままトップチームで練習すれば、もしかしたら今シーズン中にJ1デビューがあるかもしれない。11人対11人の紅白戦ではどのポジションに入るのかも楽しみだ。久保のプレーを見たいファンは、小平での練習見学をお勧めする。ただし、まだ握手やサイン、記念撮影といったファンサービスには対応していない。

▽練習後の久保は、クラブハウス2階の食堂で、一人アクエリアスのペットボトルを飲みながら、スマホに夢中になっていた。そんな姿を見ると、やはり普通の高校生なんだなと実感させられる。同僚の記者によると、先輩の石川直宏から「身長は何センチ伸びた」と聞かれると、「171センチですが、まだまだ伸びます」と答えていたそうだ。

▽あらゆる意味で久保の成長を心待ちにしているサッカーファンは多いのではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。