<内戦中のシリアに密輸される途中で保護されたシベリアトラの子どもたちがフランスに新天地を見つけた>

内戦中のシリアに密輸される寸前だったシベリアトラの子ども3頭に、ヨーロッパでの新天地が見つかった。レバノンの動物保護NGO「アニマルズ・レバノン」が救出し、フランスの保護施設に移送した。

3頭は火曜にフランスに到着。新たな住みかはフランス南東部のリヨン近郊にある動物保護施設「トンガ受け入れの地」になると、AFP通信が伝えた。

今回の移送は、今年3月にレバノンの首都ベイルートの空港職員が、うじ虫が湧いた木箱に閉じ込められた3頭──メイ、アンタウン、タニヤ──を発見したのがきっかけだった。

当初、3頭はシリアの首都ダマスカスにある動物園に輸送されるはずだった。シリアのバシャル・アサド大統領が拠点にするダマスカスは、6年にわたる内戦でシリアの反政府勢力やジハーディスト(聖戦士)の絶え間ない攻撃にさらされている。

トラたちは3月にウクライナの動物園から飛行機でベイルートに到着した。アニマルズ・レバノンによれば輸送状況が劣悪で、狭い木箱のなかで尿や糞にまみれていたという。その後、裁判所の許可を得てアニマルズ・レバノンが3頭を預かっていた。

明らかな密輸事件

アニマルズ・レバノンは今週月曜、3頭に鎮静剤を投与してから、フランス行きの旅客機の貨物室に預けた。

「機体が離陸して、これで安心だと思うとやっと眠れた。あの子たちもやっと楽しい生活を送れる」と、アニマルズ・レバノンのジェイソン・ミエール事務局長はAFP通信に語る。

3頭をフランスに送り出すアニマルズ・レバノンの職員

「トラは明らかに密輸されたもので、救出も困難を極めた」とミエールは言う。シリアへの輸送を阻止した職員たちは(トラを高値で売ろうとした業者に)脅迫されたという。

「これまでに、これほど多くの脅迫を受けたことはなかった。昨夜は警官の警護付きで子トラたちと一緒に空港に向かった。あの子たちには、多額の費用をかけるだけの価値があるということだ」

3頭をベイルートに送ったウクライナの動物園は、やましい点はないと言う。「税関検査も通過した。税関申告書もある」と、園長のボロディーミル・トプチーは3月にAP通信に語っている。

だが子トラたちが入れられていた木箱には荷印がなく、取引の合法性を証明する書類も添付されていなかった。国際航空運送協会(IATA)の規制や野生動物の国際取引に関するワシントン条約にも違反していた。

シリア内戦の危険を逃れた子トラたちは、やっとフランスでジョワ・ド・ビーブル(生きる歓び)を味わうことができる。

(翻訳:河原里香)


ジャック・ムーア