安室奈美恵、デビュー25周年の充実 “23年連続シングルTOP10入り”の記録生んだ要因を考察

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 今年、デビュー25周年を迎える安室奈美恵のニューシングル『Just You and I』が、CDセールス・配信とともに好調だ。リリース後、早々にiTunesのトップソング1位を獲得し、オリコン週間シングルランキング(集計期間:5/29〜6/4)で6位に初登場。ソロデビューから“23年連続シングルTOP10入り”を果たし、“アーティスト歴代1位タイ”の記録を達成し、話題となっている。

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 本作は6月14日に最終回を迎えた水曜ドラマ『母になる』(日本テレビ系、22:00〜)の主題歌。ドラマとシンクロする「Just You and I」の歌詞が話題となり、大記録へと繋がった。

 『母になる』は幼いころに誘拐され、行方不明になっていた息子と9年ぶりに再会した母親と、その間彼を保護しひとりで育ててきた女性、“産みの母”と“育ての母”の葛藤を軸に、家族の絆を描く人間ドラマだ。主演の沢尻エリカが初の母親役に挑み、“育ての母”小池栄子と凄まじい演技合戦を繰り広げる様は、開始当初より注目され、最終回まで高視聴率を記録した。

 毎回クライマックスに流れた「Just You and I」は、ストリングスとピアノが美しく重なり合う多幸感あふれるトラックが印象的なミディアムナンバー。安室の優しくも力強いボーカルが伸びやかに響き、ドラマに余韻を持たせていた。

 主題歌抜擢にあたり安室自身は「かけがえのない存在を想う無償の愛、そしてその愛から芽生える真の強さを歌いました。奥深い内容に寄り添える楽曲になれば嬉しいです」とコメント。その思惑通り、SNSを中心に「物語とマッチしすぎて泣ける」などの書き込みが相次ぎ、楽曲の注目度も増した。

 なぜこれほどまでに、「Just You and I」は視聴者の心を掴んだのか。ポイントとなるのはその歌詞だ。

 ドラマのテーマとなっているのは「母とは何か」。“産みの母”と“育ての母”、どちらも正しく母であろうとするふたりの女性の思いが、愛するわが子をめぐって時にぶつかり合い、許しあい、さまざまに変容するところが見どころのひとつである。それを踏まえると、例えば、〈星のない世界に たったひとつ真実を 見つけたの 君の手に触れた日 柔らかな愛に そっと包まれていた Just you and I ふたりで〉という一節からは子供が生まれた日の喜びが、〈心が灼けるような 空白を 君のほかには 埋められない〉からは、子を失った女性の身をちぎられるような痛みが、〈君を抱きしめられないなら 私の両手に意味はない〉からは、何があっても我が子を守ろうとする強い決意が感じられるのだ。ドラマの世界をトレースしたかのような言葉がそこここに散りばめられ、一聴しただけでその世界に入り込める。さらに、沢尻演じる“産みの母”結衣と小池演じる“育ての母”麻子、どちらの視点にも立てる点も秀逸。多面的な解釈ができることによって、絶対的な“母”という存在が浮かび上がってくるようでもあり、どこか神聖さも感じるほどだ。その歌詞と安室奈美恵の歌によって多くの視聴者、母親たち、そして母になろうとする女性たちの共感を読んだのではないかと思う。

 発売と同時に公開された「Just You and I」リリックビデオには、劇中の名シーンに合わせるように歌詞が表示される仕掛けが施されており、楽曲と作品のシンクロ率の高さには改めて感動を覚える。

 安室奈美恵は、デビュー日となる9月16日から17日と沖縄での野外ライブ『namie amuro 25th ANNIVERSARY LIVE in OKINAWA』を控えている。デビュー25周年の節目を故郷で迎え、再び原点から活動していこうとする彼女の今後に注目したい。(文=渡部あきこ)