昨日(2017年7月12日)の大相撲名古屋場所4日目の結びの一番で、横綱白鵬と前頭筆頭貴景勝が珍しい取り組みを見せた。ぶつかり合った末、約8秒間土俵中央で睨み合ったのだ。観客も思わず口を開けて見守ったが、その中に、あの将棋の最年少29連勝の藤井聡太四段がいた。

藤井四段の大口あんぐりの姿をカメラがバッチリ捉えていた。無論、そこに藤井くんがいるとわかっていたからだが、そもそも場内は、藤井くんが席に着いた時から気づいていた。名古屋のミーハーも半端じゃない。

大相撲が大好きという藤井四段。この日は佐田の海vs千代丸の対戦中に客席に着いた。すると場内は異様なざわめきに包まれ、かぶりつきの観客までが後ろを振り返って、仕切り直しの両力士をほったらかし。視線の先にいたのが藤井くん。ある意味、天才棋士が大相撲を食った一瞬だった。

拍手、握手を求める人、スマホを向ける人、遠くの席からもやってくる。みんな笑顔で藤井くんを迎えた。隣で観戦することになった女性は、「何事かしら、と思ったら私たちの横に藤井四段が座られたので、あ、これかと。3つくらいの取り組みの間、ざわざわしてました」という。

この時テレビの実況も、「この相撲をじっくり見ているお客さんはほとんどいなかったようです」と言っていた。観戦していた木下康太郎アナも「異様な光景でした」という。そして日刊スポーツは、力士が取り組みの最中に、土俵に背を向けて相撲そっちのけで藤井四段を撮る観客の姿を巧みに撮っていた。

小倉智昭「大相撲も藤井四段に勝てなかった」

木下「会場にいた力士の中には、ハリウッド・スターか総理大臣が来たんじゃないかと思った人もいたそうです」

将棋の棋士になれなかったら力士に

藤井四段は大変な相撲好きで、子供の頃、将棋の棋士になれなかったら力士になる、というほどだったそうだ。観戦後、横綱白鵬関と記念撮影していた。対戦中とはまったく違うあどけない中学生の顔。

横綱には、「達心志」と新たに書いた扇子を贈っていた。「心志に達す」と読む。これまでの「大志」とは別で、プロになった時に書いた言葉なのだそうだ。