photo by Pexels(CC0 Public Domain)

写真拡大

 7月5日、カタルーニャ州の独立を求める州議会議員72人も参加して、10月1日に予定されている独立を問う州民投票の実施に伴う規定法が厳かな儀式の中で発表された。それによると、州民投票で<独立支持票が独立反対票を上回った場合は2日後にカタルーニャの(スペインからの)分離を宣言する>というものである。この声明に対し、政府与党の国民党議員は<クーデターだ>と表現した。(参照:「El Mundo」)

 最近は日本でもカタルーニャの独立問題が報道メディアでも取り上げられているが、その報道に重要な説明がひとつ欠けている。<1980年からカタラン人の4年ごとの投票で独立支持派の票が50.01%を達成したことは一度もない>ということなのである。カタルーニャの独立を望んでいない州民の方が常に多数を占めているのである。(参照:「El Confidencial」)

◆独立反対陣営が票数で上回るも、賛成陣営が議席数で上回る

 最近の州議会選挙は2015年9月に実施されたが、独立賛成の3政党の獲得総数は1,910,075票(47.8%)、独立反対の4政党は1,915,727票(52.2%)という結果となり、独立反対に票を入れた方が多数を占めるという結果となっている。

 当初、この選挙の代わりに州民投票を実施したいと当時の州政府は望んでいた。しかし、独立を問う州民投票は憲法上、違憲だというスペイン政府からの圧力もあって、独立賛成派の州政府は州議会選挙に打って出たのであった。独立賛成政党への票と反対政党への票の比較をすることにしたのであった。これで、賛成派政党への票が多数を占めれば、その後のスペイン政府に対して独立を推進させるための圧力になると州政府は考えたのであった。しかし、結果はその逆となった。

 ただ、選挙結果では独立反対政党への票が多数を占めたが、選挙制度に基づいた選挙区の割り振りから、独立支持政党が議席を多く獲得するという結果になった。というのも、独立を支持する二つの政党「カタルーニャ民主集中党(CDC)」と「左派共和主義党(ERC)」が連携して「Junts per Sí(一緒にYes)」連合を結成として選挙に臨んだからであった。この連合による結果は過半数には及ばなかったが、最大の議席数を獲得して、政権に就いたのである。そして、個々の案件については、同じく独立支持派で過激な程に独立を訴えている民主統一党(CUP)の議席を加えて過半数を満たすということで法案を成立させているのである。

 そして、現在の州政府は独立することを諦めることなく、次の州民投票をするべく策を色々と練っていったのである。それに対して、スペイン政府は独立を問う州民投票は違憲だということを繰り返すだけであった。

 そのような状況が続いていた最中、カタルーニャ州政府は頑固に州民投票の実施を諦めることなく、ついに10月1日に州民投票を行うと突如発表したのである。

 それに対してスペイン政府は州民投票は絶対にさせないと主張を繰り返すだけであるが、報道メディアではスペイン政府はそれを阻止するために二つの手段を検討しているということを指摘するようになっている。

 一つは憲法155条を使って、スペイン政府がカタルーニャ政府の自治機能を停止させることである。この条項には自治州が憲法に規定された義務を満たすことをせず、それが国家の統一を阻害する行為に繋がると判断された場合には、スペイン政府はまず該当する州知事にそれを勧告。それでも正されない場合は上院で過半数の賛成議席をもって自治州の機能停止を実行することが出来るというものである。

 もう一つは2015に法制化されたもので、<州民の権利と社会保障を守る為に、スペイン政府が自治州の公的機関及び警察機能などをスペイン政府の管轄に移管させることができる>というものである。スペイン政府はこの二番目の手段を選択することを検討しているとメディアは報じている。155条を使うと上院に審議を掛けねばならなくなり、即座の対処が出来なくなる。二番目のほうは首相の判断で即決が可能であるというのがその理由だ。(参照:「El Mundo」)