熊の冬眠のように眠る彼女は、一人では起きられず、母親である泉(黒木瞳)に起こしてもらう。その日、着る服を選ぶのも母親。通う大学までは、母の運転する車で駅まで移動し、最寄りの駅まで歩いたことがない。大学4年にもなって母親の作った弁当を食べ、もちろん帰りも母が待っている。その結果、就職活動では20社以上にアタックしたが、内定は一つも出ていない。

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 物語は、主人公の加穂子(高畑充希)の父である正高(時任三郎)から見た主観によるナレーションをベースに進行していく。加穂子を取り巻く登場人物を“SNOW風”のCGで動物へと例える表現がなかなか斬新だ。加穂子は、「まだ大人になりきれていない尻尾の生えた可愛いカエル」。正高は、誰よりも“愛されている”と、過保護の自覚がない泉と、その愛に頼って生きていく娘に焦りを感じつつも、加穂子の愛らしさに言い出せずにいた。

 その状況を変えていくのが、同じ大学に通う美術学部の麦野初(竹内涼真)。彼もまた、夢と現実の差に足掻いていた。労働を知らない加穂子に麦野は、ティッシュ配り、ピザ屋の配達を半ば強引に押し付けながらも、彼女は働くことの大変さ、労働のあとの食べ物の美味しさを知る。過保護の加穂子が朝帰りした後に、母親に向けて「誰かに感謝されたり、人の役にたってると思えたら大人になれた気がした。人を幸せにできる仕事を見つけたい」と真っ直ぐな眼差しで伝えるシーンは、社会人の多くが、初心を思い出させられるのではないだろうか。

 今後、加穂子と麦野がどういった関係になっていくのかは見所の一つであるが、竹内涼真の最近の活躍ぶりには目を見張るものがある。竹内と言えば現在、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK総合)にて、島谷純一郎を演じており、今週の放送ではヒロイン谷田部みね子(有村架純)との初々しい恋愛模様が描かれていた。言わば、“竹内フィーバー”と名付けたくなるくらいの出ずっぱりの週なのである。

 『過保護のカホコ』での麦野と、『ひよっこ』の島谷は真逆のキャラクターだ。加穂子の父親が麦野からイメージしたのは、狼少年。現実から目を背けて、加穂子に仕事をやらせて、自分は楽をする。対して、島谷は相手を思いやり過ぎるが故に、生きるのに不器用な御曹司。あまりの演技のギャップに竹内の底知れなさを感じる。

 さらに言えば、竹内は映画『青空エール』にて土屋太鳳とも共演しており、3人の朝ドラヒロインの相手役を演じている人物でもある。例えば1年後、竹内涼真という俳優の未来を想像した時に、主演のドラマ、映画が数多く上映されている。竹内を見ているとそんな予言も当たってしまうような、大器のように思えてならないのだ。(渡辺彰浩)