東京・秋葉原のドスパラパーツ館のグラフィックボード売り場。リストの右端には、グレー背景に白抜きで「取寄」の文字が並ぶ

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 「グラフィックボードを買い付けていく海外からのお客様や、若い日本の方が増えています。2〜3万台の安価なモデルが人気で、メーカーにも在庫がなく、取り寄せ待ちの状況が続いています」。東京・秋葉原のドスパラパーツ館のグラフィックボード担当者は、ビットコインなどの仮想通貨取引をするユーザーの急増が、PCパーツの販売に影響を及ぼしている状況を語る。

 今年4月の改正資金決済法の施行によって、ビットコインなどの仮想通貨取引所の登録制や口座開設時の本人確認などが義務化されるなどの法整備が進み、取引をするユーザーが増えている。

 PCパーツや自作PCを販売する「パソコン工房」を展開するユニットコムの端田泰三社長も「業者と思われる方から千や万単位の注文があるほどバブルの状況です。(注文キャンセルなどの)リスクが高いので、入金確認をしてから発注するというガチガチの商売をさせていただいていますが、クレームはありません」と強気のビジネスをしている。

 全国の主要家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」でも、過去2年間のグラフィックボードの販売台数の前年比の推移をみると、2017年6月は前年比152.1%と好調であることがわかる。仮想通貨の取引にかかる消費税が7月1日から非課税になったことも追い風になり、7月に入ってからも店頭で品薄状態が続いているようだ。

 背景には、「マイニング」という特殊な手法で仮想通貨を得るユーザーが、自身のPCの処理能力を高めるために、メモリ代わりにグラフィックボードを購入するケースが増えていることがある。

 仮想通貨の取引所では、取引台帳の履歴管理に膨大なデータ処理が必要になるため、有志のユーザーのPCの空き時間などを利用してCPUの一部などを使って運用する。参加するユーザーに、見返りとして仮想通貨が支払われる仕組みがマイニング(採掘)だ。ユーザーは、受け取る仮想通貨の価値と、PCにかかる電気代やパーツ代などのコストを天秤にかけて、グラフィックボードでPCの処理能力を増強しているわけだ。

 ただし、ユニットコムの端田社長は「今の状況はあくまでもバブルで、一過性のものとみている。本格的に事業化するなどの考えはない」と、今回の事態に冷静に対処している。(BCN・南雲 亮平)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。