ロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチ【写真:Getty Images】

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4試合中のコーチング解禁検討と米専門サイト報道…ジョコビッチは「クールな案」

 現在、ウィンブルドンで熱戦が繰り広げられ、トップ選手の技でファンを魅了しているテニスのグランドスラム。最終戦は来月、全米オープンが開幕を迎えるが、異例の施策が導入される可能性が高まっているという。通常、公式戦では試合中にコーチをコート内に入れず、選手に対するアドバイスを禁じられているが、今大会からコーチングの解禁を検討。これを受け、「ビッグ4」と呼ばれるスーパースターも導入の是非を巡り、意見が真っ二つに分かれている。米テニス専門サイト「テニス.com」が報じた。

 記事では、全米オープンはスタンドにいるコーチと同じサイドになった場合、選手がアドバイスを求めることを許可し、反対側のコートでプレーしている場合、ジェスチャーでのコミュニケーションを許可する方針であることを伝えている。

 試合中に信頼する指導者の助言を得られることはテニス選手にとっては恩恵があるのかと思いきや、グランドスラム優勝18回で、開催中のウィンブルドンでも単独トップの8度の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス)の意見は違った。

「私はそれに完全に反対だ。試合になれば自分しか頼るものはいない。それが、テニスの持つクールさというものだと思う。コーチングによる恩恵を誰もが同じように被るというわけでもない。それが、利益になるかどうかもわからない」

 記事では、コート上で絶対的な強さを見せる王者らしい考えを見せながら、ファン目線では一定の理解も示している。

ジョコビッチは導入推進派、独自アイデアも披露「ヘッドセットがいいと思う」

「しかし、観衆からすると面白いかもしれない。ジュニアレベルではコーチングが許されている地域もある。コーチと選手が話すということ自体は完全にノーマルなことだと思う」

 試合で苦境に陥った時、誰も頼ることができない孤独なスポーツ。テニスの醍醐味だとフェデラーは主張している。

 一方、世界ランキング3位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)はコーチング導入推進派の立場を鮮明にしている。

「正直、クールなアイデアだと思う。色々と異なるシグナルを送ることについては少し考えなければいけないけれどね。選手がコーチサイドにいる時には問題ない。もちろん、時間の制限は必要だ。対戦相手への敬意やサービスを打つ選手へのリズムも考慮しなければいけないけれどね」

 ジョコビッチはコーチ導入を賛成。もちろん、試合を円滑に進めることを前提としているが、その上で自らアイデアも明かしている。

「ヘッドセットがいいと思うんだ。居心地の良さを感じられる会話に近いものになる。まるでコーチがそこにいるように、ワイヤレスで会話ができる」

トーナメントの収益増につながるとの意見も…チャンコーチ師事の錦織に恩恵は?

 米NFLのアメフト選手のようにヘッドセット越しにスタンドのコーチと相談できる形態を提案。そして、トーナメントの収益増にもつながると考えている。

「コマーシャル的な部分でもいいアイデアだと思う。テニス業界に予算を落としてくれるイヤホン会社もたくさんあると思う。そうなれば最高だ。テレビの前で見ている人々も選手とコーチの会話を聞けるかもしれない。慎重さも少し必要になるけれどね」

 ジョコビッチは長年、師弟関係を築いたボリス・ベッカー氏と袂を分かち、アンドレ・アガシ氏とコーチ契約を結ぶなど、試合中に第三者からのアドバイスの重要性を痛感しているのかもしれない。

 日本人では、世界ランキング9位の錦織圭(日清食品)がマイケル・チャンコーチに師事。助言を試合中に仰げることは、パフォーマンスアップにつながる可能性もある。

 ビッグ4と呼ばれる名手の中でも意見の分かれる試合中のコーチングは今年最後のグランドスラムに向け、大きな議題になりそうだ。