アフガニスタンのカブールにある「ザンTV(ウィメンズTV)」のスタジオにて、朝の番組を収録する司会者(2017年5月24日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】アフガニスタンの女性たちは新雑誌や今、テレビ番組の立ち上げを通して、メディアのあり方を刷新しようとしている。ひどく保守的なこの国で、過激論者の怒りを買う可能性を恐れず、魅力的な女性たちの声を代弁しているのだ。

 個人経営によるこの2つのプロジェクトの運営チームには、マスメディアを使ってアフガニスタン人の権利を広め、その考えを変えていきたいという大胆な野心がある。戦争で荒廃した国において、そのような先駆的な行動には危険もある。多くの人たちがまだ、女性たちは家庭の外にいることにふさわしくないと考えているからだ。

「女性たちが参加しない社会生活が、この国をとても暴力的なものにした」と「グラル(Gelara)」誌を立ち上げた「ハシュト(Hasht)」出版グループ代表、サーンドジャール・ソハイルさん(Sandjar Sohail)は語る。「我々はさまざまな苦情や反響を聞くことになるだろうが、それは承知の上だ」

 20代の女性たちによるチームによって運営されているこの高級感のある雑誌は、「アフガニスタン初のファッション雑誌」と誇らしげに打ち出しており、100%アフガニスタンの事業でもある。雑誌名の「グラル」とはベルシャ語で「美しくて高価なもの」を指す。同誌はカルチャーやセレブリティの記事も掲載しているが、目的は教育だという。

 美容やクッキング、ヘルス、文学など女性らしい内容ほど人気ではないが、2008年にアフガニスタン議会で制定された家族法改正の問題などについても誌面で紹介する。「家族法は女性たちにとって不当なもの。一度結婚してしまうと、すべての権利を失う。だから女性の権利を要求しなくてはならない」。14人の若い女性たちを率いる24歳の編集長、Fatana Hassanazadaさんは主張する。

■「つねに危険にさらされる」

「グラル」の創刊号では、歌手のMozhdah Jamalzadahが表紙を飾った。彼女は無帽で、強い視線でカメラをまっすぐに見つめた。とあるインタビューでは、タイトすぎると批判された衣装についても論じている。アフガニスタンのポップスターで女性の権利活動家であるアリヤナ・サイード(Aryana Saeed)のもとにも、最近行われたパリでのコンサートの後、同じような非難が殺到したという。

 アフガニスタンにおいて保守主義や過激主義と戦うのは「つねに危険」だと、国内でもっとも人気のある新聞紙「8時間(8-Subh)」を運営するソーヘルは語る。「死活にかかわる問題」としながらも、戦うしか選択はないという。「もし戦わなければ、保守主義は我々を太古の暮らしに押し戻すだろう」

 道端で100アフガニート(約140円)で販売されている「グラル」誌も、すべてにおいて挑発的なわけではない。ベールを取ったままの写真もあるが、女性の生足や腕の写真が撮られることはほとんどない。

 近い未来、放送が始まる「ザンTV(Zan TV)」あるいは「ウィメンズTV(Women's TV)」は、アフガニスタンの女性の役割に対する古い慣例を覆すことを目的としている。AFP取材班は先月、カブール(Kabul)にある広大なスタジオを訪れた。ニュース番組はピンク、そしてトーク番組は伝統的なブルーで、政治放送はグリーンの背景に赤いソファーだった。それらはアフガニスタンの国旗の色を反映している。

 アフガニスタンではすでに一般のニュースを読んでいる女性たちはいるが、「ザンTV」で働く女性たちは、どのような権利があるのかを広める力を持っている。政治部門の代表である25歳のMehria Afzalさんは、「アフガニスタン女性の声」となることが期待されている。「地方では、女の子たちはまるで動物のように取引されている。禁止されているが、彼らは女性たちの権利を知らない」と彼女は力説する。

■女性たちがリモコンを操作して

「アフガニスタンの女性たちについての問題を扱うテレビ番組を立ち上げるのは初めてのことだ。政治や宗教などあらゆる議題を取り上げ、女性たちに意見を述べてもらう」と番組の編集アドバイザー、Malalai Zikriaさんは言う。「何らかの意見を持っている、すべての女性を歓迎する」。レイプやハラスメント、避妊、あるいは処女性に関するデリケートな問題などもすべて議論していくという。

 だが先進的な試みを慎重に力説するために、司会者はヘッドスカーフをまとう。「我々はイスラム教国におり、法律は尊重するべきだ。ベールを被っていても、権利のために戦うことは可能なのだから」

「ザンTV」の創設者でディレクターのハミッド・サマルさん(Hamid Samar)は「我々はアフガニスタンの文化や伝統を傷つけたり、ぶつかりあったりしないように、慎重に段階を踏んでいく必要がある」と語る。

 カメラマンを含む、22歳から30歳までの70人の女性編集スタッフを抱える同チャンネルは、デジタル技術によって、アフガニスタン中に放映されている。16人の技術スタッフはすべて男性だが、サマルさんによればその分野で訓練された女性があまりいないからだという。しかしそれも変わっていくことを彼は望んでいる。会社方針はあくまでも「すべてのスタッフは女性であるべき」だ。

 さらに男性視聴者に届くことも期待する。「妻と夫が一緒に見てほしい。しかし実際は、女性がリモコンを操作するだろうね」
【翻訳編集】AFPBB News