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text:Motohiro Yamazaki(山崎元裕) photo:Satoshi Kamimura(神村聖)

■プロローグ

「アウディ・スポーツ」としての決意

かつてランボルギーニを率いた、シュテファン・ヴィンケルマンをリーダーとして迎え、それまでのクワトロから新たにアウディ・スポーツへと社名を変更。

アウディの子会社として、高性能モデルの開発と生産を担当するこのアウディ・スポーツ社のプロダクトで、現在そのハイエンドを極めているのが、ミッドシップスポーツの「R8」シリーズだ。

2代目R8の使命

2015年に、まずクーペが発表された現行モデルは、R8としてはセカンド・ジェネレーションとなるもの。初代R8はランボルギーニのガヤルドと姉妹車の関係にあったが、現行モデルはウラカンと多くのメカニズムを共通する。

前作には用意されていたV8モデルが廃止され、搭載エンジンがV10のみとなったことを考えれば、現行R8とウラカンでは、より姉妹車としての共通性は強まったともいえる。

今回ドライブするのは、その現行R8のラインナップに昨年追加され、先日日本でのセールスも開始された、オープン仕様のスパイダーだ。

電動油圧式のソフトトップは、フレームにアルミニウムや鋳造マグネシウムを採用し、さらにそれが収納されるスペースのカバーをCFRP製とするなど、軽量設計への取り組みは徹底している。

ちなみにこのトップは、50km/h以下ならば走行中でも、約20秒間でのオープン/クローズが可能とされる。

ドライブを始める前に、R8を観察してみよう。

 

 

▶ インテリア&エクステリア ▶ エンジン/シャシー ▶ 試乗記1 ▶ 試乗記2 ▶ スペック

■インテリア&エクステリア

R8スパイダーのトップは油圧電動式のソフトトップ。遮音性はもちろんのこと、フレームに軽量素材を使用するなど、オープン化に伴う重量増を最小限に抑えるための取り組みは徹底している。

オープントップの重量はシステム全体で44kg。開閉は50km/h以下までなら、走行中でも約20秒間で行える。

エクステリアではほかに、LEDマトリックスヘッドランプや、やはりLEDのリアコンビランプの間に、ハニカムデザインのグリルを採用していることなどにも注目したい。キャビンは初代R8と同様に、ドライバーの操作性を重視したモノポストデザイン。

ステアリングホイール上にはドライブセレクトのスイッチなどがレイアウトされる。

メーターパネルは12.3インチのTFT液晶を使用した「アウディバーチャルコックピット」で、全画面でのナビゲーション表示など、カスタマーが好みのデザインを選択することができる。

■装備

スタンダードの状態でも、装備内容は十分に充実しているR8スパイダーだが、オプションではさらに、その走りや快適性を魅力的なものにするための装備が用意されている。

例えばオープンエアの爽快感と同時に、オーディオサウンドを楽しみたいカスタマーならば、シートのヘッドレストにバング&オルフセンのスピーカーを内蔵させることも可能だし、スパイダーとはいえ、時にはサーキット走行を楽しみたいというのならば、クーペのV10プラスに標準装備となるセラミックブレーキを、オプションで装着することもできる。

そしてさらに個性的なR8スパイダーをリクエストするカスタマーのためには、こちらもクワトロ時代から続く、インディビジュアル・プログラムを利用して、好みを忠実に反映させた世界に1台だけのモデルを製作することも可能。

インディビジュアルは、これから日本のカスタマーからもさらに注目される存在となるだろう。

 

 

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■エンジン

ミッドに搭載されるエンジンは、5.2ℓ仕様のV型10気筒自然吸気。直噴とポート噴射を併用するこのエンジンは、もちろんランボルギーニがウラカンに搭載するそれと共通のものだ。

540psの最高出力と55.1kg-mの最大トルクは、1770kgとされるウエイトには十分すぎるほどのスペック。同時に燃費やCO2排出量などの環境性能においても、このV10エンジンは、非常に魅力的な性能を誇っている。

組み合わせられるミッションは、デュアルクラッチ式の7速Sトロニック。トルクは電子制御多板クラッチによるフルタイム4WDシステム、クワトロによって、常に最適な前後配分で4輪に伝達される。

実際にR8スパイダーをドライブして、その走りに圧倒的なスタビリティを感じるのは、アウディが長年にわたってさらなる進化のための取り組みを続けてきた、クワトロという駆動システムに直接の理由があることは言うまでもない。

■シャシー

基本構造体となるASF(=アウディスペースフレーム)は、アルミニウムとCFRPによるハイブリッド構造。スパイダーではさらに補強のために、サイドシルの肉厚を増すなどの策が施されている。

前後のサスペンションはダブルウイッシュボーンのデザイン。ダンパーにはマグネティックライド、すなわち磁性変化によって最適なダンピング制御を行うシステムが採用され、そのセッティングはドライブセレクトのモード選択によって変更することができる。

ブレーキはオプションで、クーペのV10プラスに標準装備されるセラミックディスクを装着することも可能。タイヤはフロントが245/35ZR19、リアが295/35ZR19サイズ。

V10プラスの20インチ仕様は、残念ながらオプションでもそれを選択することはできない。

 

 

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■アウディR8試乗記

「アウディの上級サルーンなみの快適性」

オープンとクローズという、ふたつのスタイルが楽しめるR8スパイダーだが、やはりそのアピアランスがより魅力的に感じられるのは、ソフトトップがキャビン後方へと収納された時だ。

キャビンへの風の巻き込みは、市街地での流れに乗る程度の速度域ならば、ほとんど気にならないレベル。さらにサイドウインドウとリアウインドウを上げておけば、高速道路でも十分に快適な移動が楽しめるはずだ。

その快適さには、もうひとつの理由がある。

それはアルミニウムとCFRPによるハイブリッド構造を採用した、最新世代のASF=アウディスペースフレームが持つ剛性で、クーペのそれをベースに、さらにサイドシルの厚みを増すなどの補強策を施したことで、先代R8スパイダーと比較して、ねじり剛性では実に50%もの向上が果たされているという。

実際にワインディングロードでコーナリングを楽しんでみても、剛性感に不満を感じるような場面は皆無であったし、なにより一瞬スーパースポーツをドライブしていることを忘れさせてくれるほどの素晴らしい乗り心地にこそ、その剛性の高さが直接的に表れているのだ。

ステアリングホイール上にレイアウトされるドライブセレクトスイッチで「コンフォート」モードをセレクトすると、R8スパイダーはまさにアウディの上級サルーンなみの快適性を披露する。

オンロードで最も実用性が高いのは「オート」モードで、これをチョイスしておけば、必要時にはステアリングやサスペンションなどは、自動的にベストなセッティングが生み出される。最もスポーティーなモードとなる「ダイナミック」でも、乗り心地には十分な節度がある。

 

 

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なめらかで鋭いV10ユニット

ミッドに搭載されるエンジンは、5.2ℓ仕様のV型10気筒自然吸気。540ps/55.1kg-mの最高出力/最大トルクを誇る一方、アイドリングストップやシリンダーオンデマンド、コースティングといった環境性能を高めるための機能も導入されている。

組み合わせられるミッションはデュアルクラッチ式の7速Sトロニック。駆動方式はセンターデフに電子制御多板クラッチを採用したクワトロとなる。

540psのパワーは、このR8スパイダーには十分なものだ。スパイダーにもクーペと同様に、さらに70ps/2.0kg-mが上乗せされる「Plus=プラス」の設定をというリクエストも皆無ではないだろうが、実際にR8スパイダーのアクセルを踏み込んでいくと、その加速の鋭さには改めて驚かされる。

V10エンジンの吹け上がりは実にシャープで、そのスムーズさとともに、最近では少数派となりつつある、自然吸気のマルチシリンダーエンジンの魅力というものを再確認することができる。

ダイナミックモードをセレクトしてドライブしたワインディングロードは、実に楽しいシチュエーションだった。

とりわけ印象的だったのは、ステアリングを切り込んだ瞬間から感じるターンインのスムーズさ。ノーズの動きは常に正確で、さらにコーナーの途中からアクセルペダルを踏み込めば、その先にはクワトロならではの、圧倒的なトラクションを伴った刺激的な加速が待っている。

かつてのクワトロ、そして現在のアウディ・スポーツは、これまでR8をベースとしたGT3マシンを世界中のカスタマーチームにセールスし、多くのシリーズでそのレーシングカーとしての戦闘力の高さを証明してきた。

そしてこのレース活動から得られたさまざまな技術的なノウハウは、確実にロードモデルのR8へと継承されているのだ。それはR8スパイダーの走りからも、容易にイメージできるところだ。

0-100km/h加速で3.6秒、そして318km/hの最高速は、ウエイトがさらに軽量な、クーペのそれと比較しても遜色のないもの。

R8シリーズの中で、スパイダーはこれからますます、その存在感を強めていくに違いない。

 

 

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アウディR8スパイダーV10 5.2 FSI クワトロ

■価格 26,180,000円 
■ボディ・サイズ 4425x1940x1240mm 
■ホイールベース 2650mm 
■車両重量 1770kg 
■エンジン V型10気筒5204ccガソリン 
■最高出力 540ps/7800rpm 
■最大トルク 55.1kg-m/6500rpm 
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ 
■サスペンション (前/後) ダブルウィッシュボーン / ダブルウィッシュボーン 

 

 

 
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