荒れた道でも路面を捉え続ける「足」が魅力のルーテシアR.S.

 荒れた路面でもタイヤが地面を放さず、安定したグリップを提供し続け、気持ちよくアクセルも踏んでいける。さらには、気持ち良く旋回できるし、気持ち良くスポーツドライブを楽しむことが可能。その足まわりのしなやかさを基軸に評価するなら、このクルマは小さいながらも超ド級かつ超高額なハイパフォーマンスカーにだって勝てる! ルノーのスポーツシーンを支えているルノー・ルポールことR.S.の最新モデルであるルーテシアR.S.に触れた第一印象がこれだ。


日本ではイメージが浸透していないかもしれないが、世界的にはルノーのモータースポーツへの力の入れ具合がかなりのもの。それはモータースポーツの頂点のF1から始まり、一般車に限りなく近い技術開発が可能なラリーにまで及ぶ。そして言わずもがな、そこで蓄積された技術がR.S.に導入されていくわけだ。


先に結果を言ってしまおう。走り好きの方。とくにクルマとの距離感が近く自身の体のように扱えて、小さなボディを活かしてグイグイと曲がっていくホットハッチ的な運動性能が好きの方。さらには走りの良さに惹かれてドイツ車のコンパクト系パフォーマンスモデルを所有している方。このルーテシアR.S.に注目をして損をしない。


冒頭で述べたように、何よりもそのしなやかな足が魅力。4つのタイヤが的確に路面を捕まえ続け、それぞれの足まわりのしなやかな動きを、ボディがガッチリと繋いで同調した動きを生み出す。その結果、姿勢変化はするのだがその変化速度と変化量すべてがコントロールされており、ハンドルから得られる手応えまで含めてドライバーが気持ち良く安心してスポーティドライブを楽しめるように仕上げられている印象。


具体的には旋回中に車体が傾くロールの動きを取り上げてもそうだ。ハンドルを切り、素直にクルマが曲がりだすと同時に自然なロールが始まる。それは外輪側が少し沈み、内輪側が少し伸びていき、結果として車体が傾く。そこから本格的に曲がり込み、ハンドルからはドッシリとした手応えが帰ってくると同時にロール量が増えていくが、そのときにも外輪の縮みと内輪の伸び量が調和している。

 もちろんその量はハンドルの切り込みスピードや車体そのものの旋回スピードなどにより変わるが、伸びが大きく浮き上がるようにロールするとか、縮みが大きく体が沈み込む感じで実際のグリップ感が掴み辛いなどということもなく、極自然に外輪と内輪が路面を掴み続けながら相応に旋回していく。

 当たり前のことしか書いていないと思われるだろうか。しかし、荒れた路面だとクルマごと跳ね上げられるコンパクト系のクルマであるルーテシアで実現しているから凄いことであるし、そもそもこの当たり前のことを「このレベル」で実現したことに拍手を送りたい。まるでボディがふた回りほど大きく、ホイールベースが長いクルマのごとく安定して曲がるのだ。


その要因を調べると、オイルダンパーのなかに、さらに小さいオイルダンパーを設けたような仕組みのHCC(ハイドロリック コンプレッション コントロール)という特殊ダンパーと、旋回時の要所で内側タイヤのブレーキを掛けてクルマの旋回力を保処するR.S.デフが効いているようだ。こうした背景でスポーツ性を高めているので、乗り心地が犠牲になっていないばかりか、逆に突き詰めて快適性まで向上したのでは? と思える乗り味を備えていた。

方向性は同じだがメガーヌのほうが重厚な乗り味

 またこの日は久々に、ルーテシアRSの兄貴分に相当するメガーヌR.S.にも試乗した。改めて思ったのが、R.S.としてコンセプトがブレていない。基本的にやっていることは同様だし、乗り味の質も同様だ。

 詳細はそのときの試乗記を読んでいただきたいが、ハンドリングは、フロントサスペンションにトルクステアを無くすダブルアクスル式を採用しているだけあり、いかなるときも素直でトルクステアなど皆無。基本的な乗り味は、車体が大きく重いぶんだけドッシリ感とゆったり感がルーテシアより強調されており、クルマとの距離感を少なく肌身で感じてスポーツ性を得たいならルーテシア、重さで適度な穏やかさを備えた上質さを求めるならメガーヌといったところ。


ちなみにこの2台を選ぶうえで、乗り味の質以上に注目すべきは動力源だ。メガーヌR.S.は6速MT。ルーテシアはデュアルクラッチ式の6速EDC(エフィシェントデュアルクラッチ)。トルコンATと比べると、やはり急坂などの走り出しではEDCもギクシャクするが、MTから比べたら格段に操作がラク。

 もちろんMTの操作の楽しみがあることは否定しない。しかし前述したようににハンドリングが良いと、EDCでクラッチ操作から解放された余裕で、存分にそのハンドリングを楽しめるのが良い。RSボタンを押せば、変速タミングはより短くなるし、吸排気音も思わずアクセルを踏みたくさせる刺激ある気持ち良い音になる。

 ちなみにRSボタンを押してスポーツモードにした際に、吸気音が強調されるのがルーテシアで、排気音が強調されるのがメガーヌ。このあたりは好みで判断がわかれそうだが、個人的にはEDCの歯切れの良い変速と「コオオオ」という吸気音のコラボも好きだが、昔ながらの背後から伝わってくる排気音で刺激してくるメガーヌの味付けも個人的には好みだ。


最後に、これら2台の走りを存分に楽しめたのも、シート形状が良い上にハンドルの位置調整幅の広さなど、シートポジションがジャストフィットの服を着たときのように的確に合わせられたからであることも伝えておこう。まさに基本から応用までスポーティドライブに必要なすべてをR.S.モデルは的確に備えている。

【ルーテシア R.S.画像ギャラリー】

【メガーヌ R.S.画像ギャラリー】