紆余曲折の末にミラン残留が決まったドンナルンマ。引き続きロッソネーロのゴールマウスを守る。(C)Getty Images

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 現地時間7月12日、ミランのGKジャンルイジ・ドンナルンマが、市内のクラブハウス『カーサ・ミラン』で契約延長記者会見に臨み、一連の騒動を謝罪した。
 
「僕はミランで育ちました。ミランにいることが喜びであり、幸せです。心の底から光栄に思っていますし、少しの疑いも持っていません。ミラニスタに裏切られたという気持ちを与えてしまい、心から謝罪します。ごめんなさい。でも、僕の意図とは違いました。いまは皆さんの愛情に感謝しています」
 
 契約が2018年6月までだったイタリア代表GKは、18歳には破格の年俸500万ユーロ(約6億円)での新契約オファーを6月15日に拒否。これにより、今夏ないし来年夏の移籍が確実になったと騒がれた。遠からず世界最高の守護神になると謳われる超逸材だけに、レアル・マドリー、マンチェスター・U、パリSG、ユベントスなどが獲得に動いている。
 
 これに激怒したのが、ミラン・サポーターだ。子供の頃からミラニスタで13歳から下部組織で育ち、3か月前の試合でユニホームのエンブレムにキスをするほどの「ミラン愛」を示してきたドンナルンマが、十二分な巨額契約を拒否したのだから当然だろう。
 
 SNSでは名字とドルをもじった「Dollarumma」というハッシュタグが誕生。その後にポーランドで開催されたU-21欧州選手権の初戦では、一部のファンがドンナルンマに偽ドル札を投げつけたほどだった。また、ミーノ・ライオラ代理人が本人を操っているとして、「ライオラを切れ!」の声も絶えなかった。
 
 しかし、ミランがドンナルンマと改めて話し合う姿勢を見せると、本人や家族も残留を望み、ライオラ代理人も改めて交渉の席に着く。最終的には2021年6月までの4年契約で合意した。
 
 現地メディアによると、年俸は600万ユーロ(約7億6800万円)、契約解除金は7500万ユーロ(約96億円)。年俸は18歳ながらマヌエル・ノイアー(バイエルン)とダビド・デ・ヘア(マンチェスター・U)に続くGKとしては世界3位の金額であり、契約解除金もその才能と移籍金高騰を続ける欧州市場を考えれば将来的な不安は否めない。
 
 さらにミランは、ジャンルイジの9歳上の兄で、同じくミラン・ユース出身のGKアントニオ・ドンナルンマとも同様に4年契約を締結(ギリシャのアステラスから移籍)。至れり尽くせりの最大限の譲歩をした。
 
 今年4月に中国資本となり、新時代がスタートしたミランとしては、プロデビューから1年半の18歳ながらすでにチーム最大のスターとなっている超逸材を手放すわけにはいかず、かなりの犠牲を強いられた格好だ。
 とはいえ、会見に同席したマルコ・ファッソーネCEOは、「ドンナルンマは我々のプロジェクトで必要不可欠な選手です。その彼がこの決断をしてくれたことを嬉しく思います」と笑顔でコメント。さらに、新経営陣がやって来た中で、選手たちが契約に際していつも以上の不安を抱えるのは仕方がないと理解を示した。
 
「我々に疑問を持つ周りの人たちから、彼らを信じて良いのかと何度も聞かれたことでしょう。そんな中で、ミランのプロジェクトを信じるのは容易ではなかったと思います。新しいオーナーと経営陣がいきなり現われ、すぐに全てを信じることは難しいでしょう。それは彼に限った話ではなく、誰だってそうです。その中でジージョ(ドンナルンマの愛称)自身が、ミランこそが自分の家だと決断してくれたことを誇りに思います。ドンナルンマはまだ18歳ですが、今回の決断がいかに険しい道のりだったか我々は知っています」
 
 ちなみに、併せてドンナルンマは会計士高等専門学校の卒業試験をスルーしたことも謝罪。今夏のU-21欧州選手権に出場するため、テスト延期を認めてもらいながらも、大会後にそれを辞退してバカンスに旅立ったことで、卒業試験委員会や教育大学研究大臣から批判を浴びていたのだ。
 
「試験の件も申し訳ありませんでした。僕は準備ができていませんでした。この件でも様々な人からアドバイスをもらいました。今後は会計士になるため、学業も手を抜かないことをここで誓います」
 
 これを受けてファッソーネCEOも、「クラブが責任を持って、ジージョを会計士にさせることを約束します」とコメントしている。
 
 会見後にはカーサ・ミランの前に集まったファンたちの呼び止めに応え、写真撮影やサインをしたドンナルンマ。約1か月弱に渡る「スーパーGK退団騒動」は、これで一応の決着を迎えた。
 
 今回の契約延長&残留と謝罪に関しては、ミラニスタの中でも賛否両論があるだろう。ドンナルンマとしては新シーズンに昨シーズン同様のビッグセーブを見せ続け、信頼回復に努めるしかない。