ベルリンの地下鉄駅で男が階段の女性を背後から蹴り落とす(画像は『THE LOCAL de 2017年7月6日付「Berlin ‘U-Bahn kicker’sentenced to nearly three years in prison」(Screenshot from police footage of the attack)』のスクリーンショット)

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地下鉄に乗るため階段を下りている最中に、後ろから暴漢が現れて背中を強く蹴られ、階段を転落するなどという恐ろしい状況を誰が想像するであろうか。非常に暴力的で忌まわしい事件がドイツ・ベルリンの地下鉄駅で起きていたが、裁判所は被告に求刑よりはるかに軽い刑罰を言い渡したもようだ。『THE LOCAL de』 『SPIEGEL ONLINE』ほかが伝えている。

ベルリンの「ヘルマンシュトラーセ(Hermannstrasse=Hermannstraße)」というU-Bahn(地下鉄)駅で昨年10月、階段を下りていた26歳の女性が見ず知らずの男に背後から蹴飛ばされて負傷するという事件が発生していた。ジーンズに黒の革ジャンを着用し、片手にはビールのボトル、もう片方の手でタバコを吸っていた犯人。その一部始終を上部の防犯カメラが捉えており、ベルリン警察はスヴェトスラフ・Sという28歳のブルガリア人の男を逮捕した。このほどその裁判が行われ、スヴェトスラフ被告には懲役2年11か月の実刑判決が言い渡されたという。

事件の後、ベルリン警察は防犯カメラの映像を公開して犯人についての情報提供の協力を市民に呼び掛けていた。それを確認すると蹴られた女性の体は宙に浮き、数メートル先の踊り場にほぼ真っ逆さまに落下。顔と肩から沈んでいることがわかる。また男は仲間とみられる男数名とともに何事もなかったかのように再び地上の方向へと引き返し、踊り場付近にいた数名が女性のもとに駆け寄り手を差し伸べたようだ。

事件当日はアルコールを飲み、大量のマリファナに加え、コカインとメタンフェタミン(覚醒剤)をやっていたと警察に話した被告。裁判においても「私が女性を蹴ったことは認めますが、実は記憶がありません。防犯カメラの映像を見せられて愕然とし、そんなことをした自分自身がただ恐ろしくなりました」と述べている。家庭では3人の子を持つ父親であったが、その日の夕方、嫉妬が原因でうるさく電話をかけてきた妻と喧嘩になり、兄からも干渉も受けてむしゃくしゃしていたことを明らかにしている。

妻は夫の刑罰が少しでも軽くなるように、法廷で「私のやきもちに彼がウンザリしていたのは本当です。ともに15歳で結婚して3人の子に恵まれましたが夫は2008年の自動車事故でひどい怪我をしました。ドラッグに依存するようになったのはそれがきっかけです」などと陳情。さらには精神科医師の証言もあった。その交通事故で頭を強打した被告のIQは現在63と低く、感情のコントロールも難しいなど精神障がい者としての扱いを訴えたという。

これにより検察側が懲役3年9か月を求刑したにもかかわらず、刑は2年11か月と軽くなった。脳が損傷を受けてIQが下がった者は、記憶のない危険で暴力的な事件を起こしても軽い刑で済むということか。この判断に被害者側や市民の違和感は強いものと思われる。

画像は『THE LOCAL de 2017年7月6日付「Berlin ‘U-Bahn kicker’sentenced to nearly three years in prison」(Screenshot from police footage of the attack)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)