今月8日、米国フロリダ州のパナマシティ・ビーチで、急激な潮流に流された一家を、海水浴客約80人が自発的に人間の鎖(human chain)を作って救助するという出来事があった。

潮に流された一家

救出されたのはフロリダ州に住むUrsreyさん一家。その日、Roberta Ursreyさんは夫や息子、母親、甥たちとパナマシティ・ビーチで海水浴を楽しんでいた。

子供たちと一緒に泳いでいたRobertaさんが水から上がると、子供たちの姿が見当たらない。沖の方を見ると、遠くで子供たちが悲鳴を上げていたという。

後に海外メディアからインタビューを受けた彼女は、こう話している。

「子供たちは泣き叫んでいました。潮に流されて岸に戻ってこれなくなっていた」

彼女と彼女の母親、夫の3人はすぐ海に入り、助けに向かった。だが、子供たちに近づけたものの、同じ潮の流れに捕まってしまい、岸に戻れなくなった。

「本当にもうだめだと思いました」とRobertaさん。「私はこんなふうに死ぬ運命だったんだ、と」

気がついた海水浴客

もしこの日、Jessica Simonsさんとその夫がビーチにいなければ、Robertaさんとその一家は助からなかったかもしれない。

近隣に住むJessicaさんは、たまたま物置きにあったブギーボードを見て、ビーチに行きたくなったそうだ。

「水から上がると、何人かの人が集まり、沖を指差して喋っていました。夫が話しを聞きに行くと、誰かが溺れていると分かったんです」

そこでJessicaさんは、持って来たブギーボードを掴み、溺れる一家目指して泳ぎ始めた。それと同時に、夫とそこに集まった人たちが手を繋いで「人間の鎖」を作り始めたという。

その場に居合わせたRosalind Becktonという人が、その時の様子をFacebookに投稿している。

80人が手を握って

ブギーボードでパドリングするJessicaさんを追って、海水浴客の「人間の鎖」は伸びた。

最初は数人だったが、最終的には約80人が手を繋ぎ、その長さは100メートル近くになっていた。足がつく浅い所では、泳げない人も人鎖に加わっていた。

鎖の長さは、溺れかけたRobertaさん一家まで数メートル足りなかったが、最後はJessicaさんがブギーボードを使って全員を鎖の端まで運んだ。

救出された一家は現在病院に収容され、命に別状はない。

Robertaさんの母親は溺れかけている最中に心臓発作を起こし、一時は危篤状態だったが、今は回復している。

救助の様子を撮った写真はツイッターにも投稿されており、賞賛の声が集まっている。

(パナマシティ・ビーチで溺れた9人を救う人鎖)

(驚くべきことだ。全員の無事を祈る!)

(まったく凄い! 素晴らしい話だ!)

(素晴らしいグッド・ジョブ……ワォ、偉大なチームワークだ)

この出来事を振り返って、救助を率先したJessicaさんはこう言う。

「私たちにはそれぞれ自分の生活があり、いつも何かで忙しい。けれど、誰かが助けを必要としていれば、自分のことはすべて忘れて助けに向かう。人間とはそういうものなんだ、ということが今回よくわかった」