TBS『マツコの知らない世界』番組公式サイトより

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『マツコの知らない世界』(TBS系)が大失態をやらかした。番組出演者から借り受けた新聞号外の資料8点を紛失したのだ。

 TBSは9日、番組公式サイトで紛失した資料の画像を公開、情報提供を求めている。資料を提供した号外研究者、小林宗之氏のサイトにも同じ内容が掲載された。

 気になるのは番組側の対応である。小林氏のサイトでは「TBS側により警視庁赤坂署に16年12月5日付で紛失届を提出済ですが、現在に至るまで、資料の返還を受けられておらず、資料も発見されておりません」と経緯が説明されているが、番組公式サイトでは「貴重な資料の一部を、番組の不注意で紛失してしまいました」としか記されていない。“紛失届の提出”がまるで他人事のようだ。

 これを受け、ネット上では「新聞号外は古新聞と同じ扱いだったんだろうな」「これは『絶対に捨てたとは言わない』新しいゲームか」といった、番組のずさんな対応を批判する声が上っている。

「新聞号外は、基本的には縮刷版には収録されません。データベースで閲覧が可能な場合もありますが、原紙は直接入手するしかない。今回紛失した号外は、新聞社はもちろん、国会図書館にすら存在しない大変貴重なもの。お金を出して買い戻せる類いの資料ではありません。さらに、新聞紙は紙そのものが劣化しやすく、保存が大変難しいため、同じ状態のものが入手できる可能性は限りなく低い。さらに、被害の当事者である小林氏は、大学院で新聞号外を研究する専門家です。号外は単なるレアものアイテムではなく、文化財、学術資料としての側面もあるでしょう」(メディア史に詳しいフリーライター)

 今回の事件の背景にあるのは、インターネット検索でしかネタを探さないような姿勢に顕著な、番組制作体制の劣化だろう。“モノ”に対する愛情はもちろん、しっかりとした管理体制があれば、こうした事件は起きなかったはずだ。

「お宝番組として知られる『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)では、かつて、日本通運がスポンサーについていました。日本通運には、美術品の運搬を専門に行う輸送部門があります。現在もスポンサーについている非破壊検査株式会社も、美術品鑑定に応用できる技術を持った会社です。番組スポンサーになるほどの関係を築くのは無理としても、新聞号外も本来ならば貴重な資料として『鑑定団』レベルのフォローが必要だったといえるでしょう。ネットで指摘される通り、番組サイドはちょっと珍しい『ただの古新聞』程度の認識だったのかもしれません」(同)

 今回の事件はネットメディアだけでなく一般新聞でも報じられており、注目度が高い。仮に博物館や美術館が同じことをすれば、さらに大きな問題となっていたはずである。『マツコの知らない世界』のスタッフがやらかした行為は、それほど深刻だ。
(文=平田宏利)