トヨタの子会社で、米国で人工知能等の研究を行うToyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート、以下TRI)は12日、ベンチャー企業への投資を目的としたベンチャーキャピタルファンドを設立することを発表した。手始めに1億ドルの資金をスタートアップ企業に投資していく。

【TRIは2015年に設立発表】トヨタ、米シリコンバレーに人工知能の研究・開発拠点―5年間で1200億円投資

 ファンドは、TRIが設立する新会社「Toyota AI Ventures」が運営。人工知能、ロボティクス、自動運転・モビリティサービス、データ・クラウド技術の4分野に絞り、設立から間もない有望なベンチャー企業への投資を行う。米国カリフォルニア州のTRI本社でも助言やサポートを通じて、ベンチャー企業の育成にも力を入れていく。

 TRIは自動運転やドローン開発、高齢者向けロボットの3社、「Nauto」「SLAMcore」「Intuition Robotics」に対して既に投資を実施しており、今後は同ファンドがその投資を引き継いでいく。

 Nautoはカリフォルニア州シリコンバレーに本拠とするIT企業。事故防止向けドライバーの運転行動や道路環境をモニタリング、運転行動の向上につながるシステムを企業に提供している。AIの搭載センサーをフロントガラス裏に取り付け、社内外の様々な視覚情報を入手することで有益なデータを提供する。

 SLAMcoreは自動運転車やドローン向けに周辺地図情報、位置情報を生成するためのアルゴリズムを開発する英国企業。TRIは17年3月、同社の資金調達に出資元の一つとして参加している。

 Intuition Roboticsはイスラエルを拠点に置き、一人暮らしの高齢者等が自宅にいながら家族や友人と交流できるロボット「ElliQ」などを開発。直感的に操作できる技術の開発を通じ、高齢者がアクティブに生活できる社会の実現を目指している。

 TRIのギル・プラットCEOは「トヨタの歴史は織機から始まり、自動車事業、90年代には世界初の量産ハイブリッドのプリウスを実現させるなど、時代の常識を覆してきた。TRIはトヨタの起業家精神あふれる優秀な人材と協働することで、人々の暮らしを豊かにしていきたい」とコメントしている。

 自動車業界はAIとの融合により、自動運転や電動化による大転換期を迎えている。大手自動車メーカーが蓄積してきた技術の通用しない新しい車が誕生する可能性もあることから、トヨタを始めとする自動車メーカーは新たなビジネスの創業を目指している。今後、自動車業界は激変する可能性を秘めており、その動きには注目である。