また、と言っていいのかどうなのか。大手飲料メーカーのWEB用コマーシャル動画が、批判を受けて公開翌日に配信停止になりました。

公式サイトから削除されたとはいえ、いまだ、ネット上では本編を見られるサイトも存在します。そのため、働く独身アラサー&アラフォーの中には、「ネットで話題になっていたので、どんなものだかとうっかり見てしまい、一気に不快になった」「見なければよかった。AVみたいで気持ち悪い」と後悔する声が聞こえてきます。

扱われていた商材はビールで、動画は出張中、ひとりで食事をしているビジネスマンが女性に話しかけられて食事を一緒にする、という内容です。

そこに「ビジネスマンが出会った地元の女性」として登場する6人の話し方やセリフや行動が、いちいちエロい。下世話というか、ステレオタイプというか、品がないというか。「昭和的な古臭さと安っぽさ」と表現した女性もいました。

わかるんです、わかるんですよ。東京のモテないビジネスマンが、出張先で地方の魅力的な女性から声をかけられて……というシチュエーションを妄想するのは、私たちが密に片思いしているイケメンに壁ドンされたい……と少女漫画の主人公になった気分でキュンっとするのとなんら変わりない話です。

そのビールのターゲットが男性で、男性に売りたいから、男性の好きそうなシチュエーションで構成しましたというのも、まぁ、彼らにとって、私たちは客じゃないんだな、ということで個人的には納得です。

ただ、閲覧注意の但し書きは、あるとよかったと思います。動画が始まる前に、「この動画には性的な描写があり、こういうのが好きな男性向けに制作したもので、そういうのが好きでない人にとっては、不快になる要素があります。視聴は自己責任でお願いします」とかいうような。

たとえば、女性が男性誌や男性向けのコミックを読む、はたまたAVを観るときは、男性用ということを理解した上で、です。「暴力的な描写があってひどい!」「私たちが心地よいように描いてくれないなんてひどい!」とか言うのは、お門違いだからやりません。

今回だって、こういうのが好きな男性向けに作ったんですっていうなら、こっちは完全なる部外者です。批判もなにもないと思うんです。そっちで勝手にやってくれ、です。たとえそのビールがどんなにおいしくても、絶対に飲みませんけどね、とは思いますが。

これが本気で炎上狙いじゃなく、真剣に丁寧につくったのだとしたらコワイ

しかし、ネットニュースの取材に対応した広報の方の「炎上させる意図はなかった」「(商品のおいしさを伝えるという)意図が適切に伝わるか事前にチェックした」「今回のような客の意見は想定していなかった」という回答には、どうにもこうにも、もやもやします。

つまり、閉鎖された男性のコミュニティーの中でおもしろがってつくって、エロさを話題にしてバズらせたかったのではなく、注意深く、丁寧につくってコレ、っていうことですよね……。カメラ目線で「え〜一流企業〜」と黄色い声を上げて、おっぱいをボムっと強調する、というシーンをやらされている女性なんて、私は気の毒にすら思いましたけど……。「たとえ、どんなにおいしいビールを飲んだとしても、あんなに卑猥な表情にはならない。女性のあざとさしか感じない」と気味悪がっているアラサー女性もいました。

なんでしょう、この感覚のズレ。

女性が見るとは思わなかったというのであれば、WEBに対する認識がおかしいと思うし、女性がそんなに不快になると思わなかったというのであれば、これこそが男女間にある認識の相違、性犯罪発生の原因じゃないかと思います。

実際、この動画は女性向けじゃないので、これまでのように「全然的外れなのに、私たちの気持ちを代弁している顔しないで」という気持ちからの批判はありません。ただ、「男はこういう女性と遊びたいんです。知ってるでしょ?」っていう制作物を放置してしまうと、その感覚を受け入れたことになってしまいそうで、それが恐怖なのです。

そういう妄想があるのは知っています。心の中だけにとどめておいてくれれば、それでいいです。その対象にされるのはイヤだし、なっていいと思っていると勘違いされるのも困ります。
婚活中の女子たちは、もっと、ちゃんと恋をしたいんです。イヤらしい言葉を口にしてウヒョ〜っと思われる存在になりたいわけじゃないんですよ。
好きに変わりないんだから、どっちだって同じ、ということには絶対にならないんです。

この感覚のズレは、埋められないんでしょうか。

「普通に愛想よくしただけで性的対象にされるとか、無理」「仕事がらみで1回ご飯を食べたくらいで、その気があるんでしょと迫られるのは、ちょっと違うと思う」。その2では、独身アラサー&アラフォーが体験した男女感の「感覚のズレ」を紹介します。

「出張先の飲み屋でかわいい女の子と出会っちゃったりして〜という淡い期待が実現する」というのが男のロマンなのだということ自体が気持ち悪い、と言っているわけではないのです。