素晴らしい仕事をするにはハードワーク以上のものが必要です。

単に良い仕事をしているのではなく、本当に素晴らしい仕事になる可能性のあることをしているかを、どうやって確かめればいいのでしょうか?

エジソンは、天才とは99%の努力と1%のひらめきであると言いました。そしてニュートンは、もし誰かと同じくらい懸命に働けば、その人と同じ結果を得るだろう、と言いました。ハードワークも確かにこの方程式の一部ですが、それがすべてではありません。

何度も受賞歴のある科学者で、技術者で、作家でもあるRichard Hamming博士が、『A stroke of genius: Striving for greatness in all you do』と題した論文の中で、素晴らしい仕事をするためのシンプルな公式をまとめています。

重要な仕事をしたいのなら、正しいタイミングで、正しい方法により、正しい問題に取り組まなければならない。 この3つのうちのどれかが欠ければ、良い仕事はできたとしても、本当に素晴らしい仕事を成し遂げることはできない。

正しい問題を解決する。 大きなアイデアにコミットする。成果を分かち合う。コミュニティからフィードバックを得る。 こうしたことはすべて、正しいタイミングで正しい仕事に取り組むのを助けてくれます。

しかし、正しい方法で働くとはどういうことでしょうか?

過去4年間、私たちはCrewを運営しながら、最高の働き方を見つけようと力を尽くしてきました。それは自分たちのためだけではなく、関わりのあるすべてのフリーランスデザイナーや開発者のためでもありました。それは、勤務時間を決めないこと、リモートカルチャーを育むこと、みんなが最高の仕事ができるようなシステムやプロセスをつくることなど、さまざまな要素が含まれます。

今回は、正しい方法で働くことについて、もっとも印象的なアドバイスを10つのテーマにまとめてみました。

始める

私たちは毎日、手持ちのわずかな時間をどう使うかを選択し続けています。自分が信じるものを追いかけるために時間を使え、という警告が出され続けているにもかかわらず、私たちはつい、先延ばしの誘惑や、はじめの一歩を踏み出すことへの恐怖に負けてしまいます。

行動経済学者は、このことを時間的不整合と呼びます。いますぐもらえる報酬を、未来にもらえる報酬よりも高く評価する、人間の脳が持つ傾向のことです。

目の前の仕事だけにフォーカスしていると、メールや通知、ちょっとした雑用などの小さなタスクで、あっという間に時間が埋め尽くされてしまいます。

遠くから山を眺めようと努力せず、目の前の岩だけを見ていると、生活はあまりに単調なものになってしまいます。

しかし、大きな目標に向かって最初の一歩を踏み出せば、大きな変化を起こすことができます。

ツァイガルニク効果と呼ばれる心理作用があります。 いちどタスクを始めてしまうと、気になってどうしても終わらせたくなる心理のことです。

それでも、まだ始めることができないでいるなら、理論家Eliezer Yudkowsky氏の次の言葉を憶えておいてください。

その瞬間、瞬間を見れば、仕事の只中にいるほうが、先延ばしの只中にいるよりも、苦痛がすくないものだ。

正しい習慣をつくる

素晴らしい仕事とは、強固な基盤の上に作られるものです。

生産性の祖父、Jim Rohn氏はこのことを次のように説明しています。

成功は、毎日繰り返される、いくつかのシンプルな規律からもたらされる。

しかし、良い仕事習慣をつくるのは簡単ではありません。とくに、やる気が起きないときや、成果がでるまでにあまりに時間がかかると感じるときには、なおさらです。ですので、なるべく小さいことから始める必要があります。

あなたが作りたいと思っているどんな習慣も、一連のステップに分解できます。

たとえば、ジムでのワークアウトは、次のようなステップに分解できます。腰を上げる、服を着替える、ジムバッグを持っていく、ジムへ移動する、ワークアウトをする、シャワーを浴びる、帰宅する。

私たちの脳は、できるだけ抵抗の少ない回路を進みたがります。脳は、ワークアウトの前後にあるステップを見て、ワークアウトをするのはとても面倒なことだと判断します。

ですので、プロセスをできるだけシンプルにしてください。

Crewのお気に入りのテクニックの1つは、スタンフォード大学の教授で心理学者のBJ Fogg氏が「怠け癖を考慮した設計」と呼ぶものです。最も簡単なタスクが最も重要でインパクトのあるタスクとなるように、習慣を設計します。たとえば次のような感じ。

携帯電話の電源を切り、引き出しに入れるテレビのプラグを抜いてクローゼットに入れる翌朝一番で使うタブ以外のブラウザタブはすべて閉じておく

さらに助けが必要なときは、こちらの悪い習慣を壊すための極端なメソッドをチェックしてください。

儀式やルーチンをつくる

エッセイストで、プログラマー、ベンチャーキャピタリストでもあるPaul Graham氏は、自身の最も影響力のあるエッセイのなかで、仕事時間をスケジュールする方法が大きく2種類に分かれることを示しました。

マネージャのスケジュールは管理者のためのやり方だ。いわゆる従来型の予定管理で、1日を1時間ごとに区切って使う。…時間をこのように使えば、人と会うのは単なる実務上の問題に過ぎなくなる。スケジュールの空きスロットを探し、予約するだけだ。

しかし、プログラマーや作家のように、ものをつくる人たちは、別のやり方をする。彼らは一般的に、最低でも半日の単位で時間を使うことを好む。1時間では、執筆もプログラミングもままならない。始めることさえできない時間だ。

残念なことに、私たちの多くはこの中間に位置しています。重要なタスクのために集中した時間を過ごしたあと、「マネージャー」モードに戻ることを余儀なくされるのです。しかし、私たちの脳は、ご存知のように、本質的にマルチタスクができません。研究により、作業を中断した後に再び集中力を取り戻すには、25分かかることがわかっています。

ですので、素晴らしい仕事を生み出すための時間には、それだけの敬意を払う必要があります。

Brainpickingの創始者であるMaria Popova氏にとって、儀式やルーチンをつくることがそれにあたります。

ルーチンは、日常生活の混乱をおさえ、管理しやすくすることを目的とするが、儀式は、平凡な日常に魔法的な要素を吹き込む。

儀式は個人的なものです。

お決まりのカップでコーヒーを飲む、お決まりの音楽をかける、あらゆることが儀式になりえます。ベートーベンは、毎朝、仕事を始める前のコーヒーを淹れるために、豆を正確に60粒数えたということです。

重要なことは、それが、これから重要なことに集中することを教えるシグナルだということです。儀式を決めておけば、儀式を使って自分をクリエイティブなモードにもっていくことができます。

時間を管理する

皮肉なことに、あなたは時間管理について書かれた本や記事を読むことで、なによりも多くの時間を浪費している可能性があります。素晴らしい仕事をするために覚えておくべき2つの重要事項があります。タスクの自動化とグループ化です。

Tim Ferriss氏は、意思決定疲れをセーブし、全体の生産性を高めるために、できるかぎり多くの思考を自動化できるシステムやプロセスを導入すべきだと述べています。

ゴールは、オープンエンドの質問(今日の朝食は何をたべようか?)を、if / thenのステートメントに変換することです(その日が平日なら、朝食はオートミールにする、など)。このようにして、意志力と決断力を節約し、重要な意思決定のためにとっておきます。

1日をスケジュールする方法については、1週間の中で似たタスクをグループ化するという、デザイナーで作家のPaul Jarvis氏のやり方が参考になります。たとえば、記事の執筆に集中しているなら、1日に1記事づつ書くのではなく、同時に3〜4記事を書くようにします。そうすることで、脳を「執筆モード」にすることができます。

もっとアイデアが欲しい人は、時間を管理する独創的な5つの方法と悲しくならないToDoリストの作り方をチェックしてください。

先延ばしと戦う

ハーバード大学で学んだ心理学者Keith Simonton氏は、「創造的なアイデアの質は、量の正関数である」と書いています。

言い換えれば、創造的になり、素晴らしい仕事をするためには、本腰を入れて多くの数をこなす必要があるのです。

コンサルタントから教師に転向したAngela Duckworth氏は、これを「質のグリット」と呼び、これがあるかどうかが将来の成功を予測する一番の指標になると指摘しています。

グリットは、Angela氏が言うように「非常に長期的な目標に取り組み続ける熱と忍耐力」です。何週間、何カ月ではなく、何年にもわたり、来る日も来る日も、未来のビジョンに精力的に取り組み続けるということです。

グリットを養い、先延ばしやモチベーションの欠如と戦うためには学習とは生涯にわたって取り組むべきものであり、さらに重要なことは失敗は永遠につづく状態ではないという、マインドセットを育むことです。

素晴らしい仕事をするには、まずアウトプットをしなければなりません。面白いやり方で失敗するのはOKなのだと信じることで、過去の成功に甘んじることなく、自らを創造へと向かわせ、コンフォートゾーンから出ていくことができます。

Twitterの共同創業者であるBiz Stone氏は、次のように話します。

成功は運による部分もある。でも、言わせてもらいたい。タイミング、忍耐力、10年間のハードワークがあってこそ、一夜のうちに成功したかのように見えるのだと。

正しい仕事環境を作る

スタートアップ企業は、社内にすべり台、卓球台、昼寝ルームを設置していますが、最も革新的で成功している人たちのなかには、海の家、地下室、バーでインスピレーションを得ている人もいます。

素晴らしい仕事は場所に依存しませんが、常にインスピレーションをもらえるようなスペースを持っていることは非常に重要です。

ですので、モチベーションの欠如を感じているときは、身の回りの環境が適切なものになっているかを見直してください。たとえば:

ガラクタを片付ける:アインシュタインは「散らかった机が散らかった頭の中を示すのなら、何もない机は何を示すのだ?」と言っています。しかし、実際問題としてはガラクタは気を散らし、頭を混乱させ、身体的な痛みを引き起こすことさえあります。

自然光を採り入れる:自然光がよく入る学校は学生の学習環境として優れており、結果としてテストスコアが上昇することがかなり前から知られています。また、自然光と新鮮な空気は職場の生産性を高めることもわかっています。

音楽で気持ちを整える:空間そのものだけでなく、周囲の音も生産性に大きな影響を及ぼします。こちらの、仕事に最適なプレイリストを作るためのガイドを参考に。

自分に休息を与える

興奮が高まり、大きなブレークスルーが起きそうな予感がするとき、とても手を止めて休憩しようとは思えないもの。しかし、定期的に休憩をとることこそが、燃え尽きを防ぎ、エネルギーを高め、問題に取り組む新しい道を発見する最良の方法の1つなのです。

皮肉なことに、休憩をとることこそが集中力を保つ鍵なのだという話があります。イリノイ大学の心理学教授Alejandro Lleras氏が、スイッチをオフにし、再びオンにすることで、集中力を取り戻すことができるのを発見しました。

1つのタスクに取り組みつづけていると、いつしか集中力が失われ、迷子になってしまう。

起業家のJason Zook氏は、食事以外にも休憩時間をスケジュールするようにしています。

どの休憩も、仕事をし続けてしまいそうな時間帯にうまく設定されており、テクノロジーから10〜30分離れて、再充電を行い、集中力を取り戻せるようになっています。

休憩中に何をすればいいかわからないという人は、散歩に出かけたり、本を読んだり、瞑想をしたり、ただボーっとしてみるとよいでしょう。

「完璧」という考えをあきらめる

先ほども言いましたが、面白いやり方で失敗するのはOKだという姿勢から、素晴らしい仕事は生まれます。完璧というアイデアに取り憑かれていては、そうした高い場所には決して到達できません。

完璧とは、仕事から素晴らしさを奪い去る病気のようなものです。

あなたの目の前に、道がステップ・バイ・ステップで用意されているのが見えたら、それはあなたの道ではないということだ。あなたの道は、あなたが歩むことでつくられるのだから。 (Joseph Campbell)

あまりに多くの成功話が、成功していないときのことを無視しています。心理学では、これを生存者バイアスと呼びます。あるプロセスを"生き残った"人ばかりに焦点を当て、生き残らなかった人を無視する論理的な誤りのことです(生き残らなかった人は注目されないからでしょう)。

「完璧」から「完成」へ思考を再構築できれば、もっと多くのことを達成することができます。

完璧に仕事を仕上げようとするのではなく、仕事を完了させることを考えてください。多少の過ちは気にしないことです。重要なことは、常に自分と仕事とを前進させ続けることです。

ストレスを利用する

素晴らしい目標に取り組んでいる間に、肩の上に不快な重圧を感じ始めるかもしれません。そう、ストレスです。

取り組んでいる仕事の重圧からくるストレス。正しい道を進んでいるのか心配なときに感じる焦りのストレス。おろそかにしてしまっている人間関係や、そのほかの仕事への懸念からくるストレス。

誰もがこうしたストレスを抱えているもの。とはいえ、ストレスの好きにさせる必要はありません。

トリニティカレッジダブリンの認知神経科学者で、最新刊『The Stress Test: How Pressure Can Make You Stronger and Sharper』の著書、Ian Robertson氏は、ストレスを利用する方法があると言います。

ストレスを感じると、脳はノルアドレナリンと呼ばれる化学物質を放出し、それが不安や落ち着かない気持ちを引き起こします。しかし、適切な量であれば、ノルアドレナリンは覚醒を高め、記憶の形成と回復を促し、注意力を高める働きをします。

簡単ではありませんが、ストレスを興奮にリフレーミングしたり、一歩下がって状況を再評価したり、ストレスをチャレンジとして扱うなど、いくつかのシンプルなテクニックを覚えれば、ノルアドレナリンのスイートスポットを見つけて、ストレスをパフォーマンスの向上に利用することができます。

燃え尽きを防ぐ

生産性に関する最大の誤解は、生産性で仕事の達成度合いを測ってしまうことです。

私たちは機械ではありません。素晴らしい仕事をしたかどうかは、仕事の量や質だけで決まるわけではありません。正しいことをしたかどうかが重要なのです。燃え尽きは、正しい仕事をしているときにはほとんど起こりません。燃え尽きは、自分にとって重要でない仕事に自分を押し込めているときに起きるのです。

燃え尽きを避けるために、常に自分自身に尋ねる必要があります。私は正しいことに取り組んでいるだろうか?

1日のうちに何度かリマインダーを設定してチェックインし、道から外れていないかを確認します。

私は、自分が最も脱線しやすくなる時間帯にリマインダーをセットしています。たとえば、脳が活性化し、意識がすぐに脱線しそうになる午前中の半ば。あるいは、エネルギーが消え始める早めの午後。また、夜、接続を切るべきタイミングや、個人的なプロジェクトに取り組むべきときを自分に知らせるようにしています。

立ち止まって地図をチェックするように、リマインダーで今自分が何をしているかをチェックすれば、迷子にもならず、燃え尽きを恐れることなく最終ゴールに向かって進んでいくことができます。

素晴らしい仕事を作るとは、仕事を「する」ということです。

それは、悪い習慣を捨て、儀式をつくり、ストレスと先延ばしに対処すること、適切な空間に身を置くこと、精神的にも物理的にも意味のあるものを創造することを意味します。

このリストが、あなたが正しい一歩を踏み出すのに役立つのを願っています。大変そうに見えるかもしれませんが、誰でもやればできることばばかりです。実行すれば、必ずその見返りが得られるでしょう。

10 guiding principles for doing your best work this year|Crew

Source: Crew 1, 2, 3, 4

Reference: Wikipedia