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 トヨタが東北に小型車の製造拠点を作る動きを取ってから、5周年を迎える。地場サプライヤーが生まれて東北に一大産業地帯を造り始めている。「アクア」「シエンタ」「C-HR」など約50万台の生産を行うようになった。そこには地場系列サプライヤーが生まれ、東北の復興に役立っているのだが、これが日本式系列のピラミッドの典型だ。一方で日産自動車はグローバル発注を基本として、ルノーによる買収後、系列サプライヤーは半減している。

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 トヨタの動きは東北の復興を推進する起爆剤になると共に、アメリカのラストベルトと呼ばれる衰退した自動車産業の城下町のように、日本経済が立ちゆくか否かのポイントとなろう。その意味では、日産はともかくも、ホンダの動きは日本企業として情けない。日本の経済を考えることだ。コマツ(小松製作所)は本社機能の一部地方移転を果たし、日本企業の日本社会に対する役割を自覚した動きを取っている。

■中間在庫を減らす

 この半世紀ほどの日本発の多種少量生産は、中間在庫を減らすことで、総資金量を大幅に減らし資金効率を数千倍に伸ばしたと考えられる。しかし、世界の製造業は、部品製造は系列でないサプライヤーからの納品であり、メガサプライヤーの出現が相次いでいる。

 「順序生産」など、さらなる中間在庫を減らす試みでは系列が有利であり、メガサプライヤーでは順次納品が出来ない場面が多いと思われる。それは利益率の低下をもたらし、かつて日産がトヨタに敗れ去った構図を繰り返すことになる。だが現代ではIoTによる受注システムの革命が起きようとしており、トヨタの東北での試みのような小規模生産の系列下請け部品工場が生き残れるのか懸念もある。

 現在トヨタでは系列サプライヤーに対して、外部にも販売するように勧めており、新技術開発費の資金回収期間を短くしようと懸命の努力が続いている。

 メガサプライヤーは各社に販売しているので生産台数が多く、資金回収が早いメリットがある。そのため日産、ホンダなど海外経営者が多い企業ほど、グローバル発注に傾いており、その動向が注目される。

■グローバル発注と日本的系列の競争

 日本的系列企業による生産体制であると、順次生産に対応するなど、中間在庫の減少には都合の良いシステムであり、利益率を上げる方向性では優れている。しかし、この中間在庫の減少は部品の大量生産が進むほど困難に陥るもので、海外から小ロットで搬入することには限界がある。少々部品値段が安くとも、ロットで納品される部品の取り回し経費は膨大で、とても採算の合うものではない。倉庫を設ければ、土地・建物・運搬手段・取り扱い人員などで、資金需要も大きく経理体質を悪化させる要因だ。

 系列は組み立てラインにつながった態勢を取れるので、中間在庫を最小限に出来ることで、その取り回し資金量を激減できるのだ。この資金効率の良さを日産のゴーン社長はじめ外国人経営者がよく理解していない節が見られる。

 当面の産業界の動きでは、この争いが最も関心のあるところである。日本経済の運命も決めるのであろう。