江戸吉原には朝食テイクアウトにご飯のお供もあった。吉原のB級グルメを紹介

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これまでの吉原グルメを扱った記事では、「これぞ吉原遊郭!」と言った華やかなスイーツや豪勢さが売りの珍味を扱ってきました。そこで4回目の今回は、やや趣向を変えて、ややお手軽なものを紹介していきます。

宴の翌朝はこれで決まり!山屋のすくい豆腐

楽しい宴の翌朝は軽くて胃もたれ、ひどい時には二日酔いから来る吐き気と頭痛に襲われ、朝食などとても食べられないものです。それは吉原で遊んだ遊び人も同じでした。

そんな彼らに愛好されたのが、吉原にあった『山屋豆腐』というお豆腐屋さんが扱うすくい豆腐でした。すくい豆腐自体は現代でも食べることが出来るますが、早朝に禿(かむろ:遊女見習いの女の子)が出来立てを買って来てくれるところに醍醐味があります。

お豆腐は出来立てが美味しいですが、それはすくい豆腐とて例外ではなく、おまけに爽やかなユズ風味までも付いているのですから、男性諸君の失われた食欲を取り戻してくれた事でしょう。

漬菜ご飯でホッと一息!遊女の朝食タイム

さて、すくい豆腐で二日酔いや胃もたれから解放された御客人を送り出した後は、遊女達には貴重な休息である、朝食の時間が待っていました。杉浦日向子さんによると、『非現実の天女を装わねばならない』遊女は、宴会中に食事をする事が無かったとのことです。そのため、『竹村伊勢』のスイーツが差し入れられた時に喜んだり、『台の物』を役得としてこっそりと食べたわけですね。

豪華な衣装を脱いで化粧を落とし、普段着になった彼女らが好んだ朝食は、川柳に『吉原の 素顔の中に 漬菜売』とあるように、菜の漬物をおかずにして食べる白米ご飯でした。経済的な理由もあるのでしょうが、現代でも忙しい時に高菜やキムチでごはんを掻きこんでいるのと同じで、そこはかとない多忙さと疲労感を感じてしまいます。

しかし、ここで思い出して頂きたいのが吉原における漬菜の扱いです。甘露梅の記事で紹介したように、漬菜は甘露梅と昆布巻きに並ぶ吉原の名物でした。珍味ではなく安価なものであっても、江戸のような大都市でしか食べられない白米ご飯と毎朝食べられる…。そうした見方をすれば、吉原の漬菜朝食は、今で言うB級グルメのような一種の自慢になっていたのかもしれませんね。