フリーアナウンサーの松本秀夫です。

野球実況歴30年、このコーナーでは喜怒哀楽、さまざまな心に響く球界よもやま話をご紹介します。

野球実況で大切なのは結果。アウトかセーフか、ストライクかボールか。その集計が3時間の中継なのはいうまでもありません。

ただし、しゃべりの醍醐味はそれ以上に『人間』が浮き彫りになった瞬間、つまり喜怒哀楽をどう描写するかです。

最近中継していて思うのは、お立ち台で涙を流す選手がやたらと多いこと。

6月1か月、私が実況した試合だけでも6月13日の巨人・菅野智之投手、18日の巨人・亀井義行選手、27日の中日・鈴木翔太投手と実に3回。

菅野投手は13連敗中に2戦続けてKO負けした悔しさが、ようやく勝った安堵感の中で込み上げたか。

亀井選手の場合は目の前でマギーが3回も敬遠された怒り、なのに2回続けて凡退した情けなさ、そして3回目にようやく逆転サヨナラ3ランで男を上げた喜び…いろいろ混じりあった涙。

巨人・亀井善行選手

鈴木投手はひと月白星を挙げられず苦しんだ末に故郷の浜松でようやく勝てた嬉しさでしょうか。

それぞれにドラマがあって実況冥利に尽きるシーンですが、それにしても続いたなと。

私はその場にいませんでしたが、さらに6月は中日の又吉克樹投手(6月6日)と大野雄大投手(同7日)が連日お立ち台で泣いていますからトータルで5回。

やっぱり涙の当たり月。まさに梅雨どきらしく(?)ヒーローが頬を濡らしました。

中日・大野雄大 選手

ところで放送席での、こうした涙に対する反応はさまざま。

もらい泣きをされる人もいらっしゃいました。一方で泣くのはいかがなものかという声があるのも事実。

「泣くときは人前じゃなかったな、帰りの車の中でした。号泣しましたよ(笑)」とは40代後半のある解説者さん。

はたまた「簡単に泣きすぎるんじゃないですか」と顔をしかめていらしたのは60代のベテラン解説者さん。

お立ち台の涙に関しては賛否両論でしょう。

個人的には現代の若者っぽくていいのかなと思います。AKB48やももクロのライブで泣く成人男性も多いと聞きますし、最近は自分自身涙もろくて、朝ドラをみて目を潤ませているくらいなので批判がましいことなんていえません(汗)

なによりカッコいい選手が泣いている姿は絵になります。最近はみんな大人しくて、キャラの立つ選手が少ないので、せめてこうした感情の発露があったほうが実況も盛り上がるというもの。

願わくばその涙を将来の糧にしてほしいと思います。

さぁいよいよオールスターゲーム。ペナントレース後半戦も感動的なドラマを期待しましょう。

<2017年7月>

スポーツアナウンサー 松本秀夫

松本秀夫 元ニッポン放送アナウンサー。17年4月よりフリーランスに。野球の実況を中心にバラエティー番組、執筆、イベント制作まで活動の幅を拡げている。趣味は釣りと、釣魚でやる一杯。